44822 「パレスチナ問題」最新経過(シャロン政権誕生以降

 (最新見直し2006.8.5日)

2001.3 【イスラエル、「リクード」党首のシャロン党首がイスラエル首相に当選、シャロン政権が誕生】
 シャロンは1928年生まれ。48年の第一次中東戦争(イスラエル独立戦争。アラブの呼称では、ナクバ=破局)に参加して以来、主要な戦争だけでも56年の第二次中東戦争、67年の第三次中東戦争(六日戦争)では装甲師団長としてシナイ半島侵攻作戦で名を馳せた。さらに、69年〜73年にかけてのいわゆる千日戦争(持久戦)を指揮し、73年の第四次中東戦争では(日本はアラブよりというより油寄りと揶揄された)では、戦車師団を率いてスエズ渡河作戦を指揮。73年に退役した後、ベギン首相率いるリクード党の結成に参画。翌年国会議員に。77年、ベギン内閣で農水相として入閣した後、外相、商工相など6つの大臣を経験。国防相在任中(81〜83)には、レバノン侵攻作戦を指揮した。ばりばりのナショナリストで、イスラエル建国以来、常に戦いの場に身を置き、華々しく活躍してきたイスラエル国民の「英雄」的存在。 
2001.6  テネットCIA長官、ジニ前中東軍司令官が国務長官特使となり、中東和平を模索する。
2001.7.21  イスラエルによる空からのレバノンのブルーライン侵犯が連日のように遂行され、レバノン領空を深く侵犯している。(〜2002.1.16)
2001.7.31  イスラエルが、ヨルダン川西岸、パレスチナ自治区ナブルスで、ハマス事務所にミサイル攻撃。幹部2名が死亡。
2001.8.27  パレスチナ解放民族戦線(PFLP)のムスタファ議長が暗殺された。昨年10.17日のイスラエルのゼエビ観光相暗殺も含めて泥沼が続く紛争にあってもわずかに残っていた「政治的指導者は狙わないというタブーがあっけなく崩れ去った」。
2001.9  【エルサレム共同】パレスチナ自治政府筋によると、自治区ガザで1日朝、パレスチナ情報機関高官の乗った車が出勤途中に爆発し、この高官が死亡、側近2人が重軽傷を負った。車に爆弾が仕掛けられていたとみられ、パレスチナ自治政府は「イスラエルによる暗殺」と激しく非難する声明を発表した。イスラエル放送によると、同国治安当局筋は暗殺を否定した。[毎日新聞9月2日] 車が爆発し死亡、側近2人が重軽傷
2001.9  エルサレム共同】イスラエル放送などによると、2日深夜から3日早朝にかけ、エルサレム市内や郊外のユダヤ人居住区で4発の爆弾が相次いで爆発、計5人が軽いけがをした。パレスチナ解放人民戦線(PFLP)の「アブ・アリ・ムスタファ連隊」を名乗る組織が、先月27日のイスラエル軍によるムスタファPFLP議長の暗殺に対する報復とする犯行声明を出した。エルサレムで爆発相次ぐ PFLPが報復テロ
(解説)
 
イスラエルのシャロン政権の登場、パレスチナ解放運動を担う幹部活動家に対するテロが激化した。これに対し、アラブ側もイスラエルの諸都市で爆弾テロを繰り返し、泥沼の様相を見せていた。

2001.911 【米国の主要施設へ同時多発テロ発生】
2001.12.3 【エルサレムなどで連続自爆テロ発生】 アラファト議長はテロを抑えられないと語る。
2001.12.3 【イスラエルが自治政府を「テロ支援団体」と宣言。12.13日にはアラファト議長との関係断絶を決定、矢継ぎ早に強硬策を打ち出す】 
2001.12.16 【アラファト議長は、パレスチナ人に対イスラエル武装行動をやめるよう要請】

 その後一時小康状態が保たれたが、02年に入り再びテロが連発、議長が指示した「停戦」は完全に破綻し、パレスチナ和平は絶望の道を転がり続ける。
2002.1.17  イスラエルのレバノン領空侵犯は連日のように続行している。1月、ヒズボラがこれらの領空侵犯に対空砲火で応じ始めた。(2002.7.12日)
2002.3 【米国が調停に乗り出すも不調に終わる】 

 
米国のチェイニー副大統領やジニ中東特使が現地に赴くも、事態打開につながる道筋はみえてこない。

【第5次中東戦争勃発】
 2002.3.29日、イスラエル軍がヨルダン川西岸のパレスチナ自治区に対して全面的な侵攻作戦を開始し、ラマラに突入した。以降、多方面作戦を開始する。
2002.3.29 【アヤート・アクラスさんが自爆決起】

 エルサレムで18歳の高校生アヤート・アクラスさんが自爆決起した。死の前日に撮ったビデオで、「アラブの指導者たちに告ぐ。目を覚ませ。任務を全うせよ。パレスチナの少女たちが戦っているのをただ座視しているアラブ諸国の兵士たち、恥を知れ!」(ニューズウィーク4・17)と訴えていた。
2002.3.30 スラエル軍、ヘブロン侵攻、パレスチナ自治政府議長府、通信途絶状態に陥る

 イスラエル軍はナブルス、ベイトジャラにも侵略戦争を拡大。
2002.3.31 イスラエルのシャロン首相が戦争状態宣言、西岸全域に侵攻

 
イスラエルのシャロン首相が、国民向けのテレビ演説を行い、「イスラエルは戦争状態にある。対テロ戦争を遂行する」と述べ、対パレスチナ軍事作戦の強化を宣言した。首相はまた、アラファト・パレスチナ自治政府議長を「和平の障害」などと強い調子で批判、敵意をむき出しにした。この演説を受け、イスラエル軍は新たにヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘム、ベツレヘム、トゥルカレム、カルキリヤと西岸全域に侵攻、軍事作戦を拡大した。
2002.4.2 聖誕教会攻防戦始まるジェニン侵攻

 イスラエル軍は2日夜、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムにあるイエス・キリストの生誕地とされる聖誕教会(キリスト教徒の聖地で、紀元325年に建てられた由緒ある古式の教会)の直近まで侵攻、パレスチナ人武装集団と激しい銃撃戦を繰り広げた。イスラエル軍は武装集団側が教会敷地内に陣取り、発砲とパイプ爆弾投てきをしていると主張。一方、パレスチナ側は同軍が教会近くに攻撃を仕掛けたと非難している。

 同軍はまた、西岸北部のジェニンにも新たに侵攻した。ジェニンへの侵攻では、イスラエル軍はまず12台の戦車を市内に突入させ、以後も続々と部隊が入った。イスラエルの大規模軍事作戦は3日未明で6日目に突入、西岸のパレスチナの主要8都市のうち5市を制圧する勢い。
ラマラで、ジェニンで、ナブルスで、過激派掃討名目での戦車による破壊攻撃が遂行された。
2002.4.3 イスラエルの大規模軍事作戦は3日未明で6日目に突入、西岸のパレスチナの主要8都市のうち5市を制圧する勢い
4.3  ローマカトリック教会のサバ・エルサレム総大司教(パレスチナ人)は、「イスラエル兵は世界で最も重要で象徴的な教会を包囲している。状況は悲劇的だ」と非難した。ジェニンへの侵攻では、イスラエル軍はまず12台の戦車を市内に突入させ、以後も続々と部隊が入った。
2002.4.6  【イスラエル軍がラマラの議長府に対し、砲撃を開始

 侵攻したイスラエル軍は、アラファト・パレスチナ自治政府議長が監禁状態に置かれているヨルダン川西岸ラマラの議長府に対し、砲撃を開始した。
2002.4.7

【イスラエル軍、ナブルス集中攻撃−−パレスチナ人死者200人に】

 イスラエル軍が、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ナブルス旧市街に武装ヘリや戦車を展開してパレスチナ過激派拠点への集中攻撃を加速させた。西岸ジェニンの難民キャンプでも戦闘が続いており、パレスチナ側の死者が急増している。イスラエル軍司令官は、ロイター通信に数日前からのナブルスでの過激派掃討作戦の結果、武装したパレスチナ人30人以上が死亡したと語った。同軍のモファズ参謀総長も同日朝の閣議で、29日の侵攻開始以来のパレスチナ人死者は約200人、負傷者も1500人に達したと述べた。パレスチナ赤新月社は6日未明から夕方までに子どもを含むパレスチナ人16人が死亡、27人が負傷したことを確認したが、戦闘が激しい地域の被害状況は不明という。

 イスラエル放送などによると、侵攻作戦によるイスラエル軍の死者は計11人、負傷者143人に上っている。また、先月末から続くレバノンのイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ」のロケット砲攻撃に対し、北部国境周辺にイスラエル軍が兵力を集めているとの情報もある。(毎日新聞2002年4月8日東京朝刊から)

2002.4.12  パウエル米国務長官は12日、エルサレムでシャロン・イスラエル首相らと会談、パレスチナ衝突問題での本格的な調停を開始した。会談後の共同記者会見でシャロン首相は、パレスチナ自治区に対する大規模軍事作戦について「作戦ができる限り早く終わることを願っている」と述べるにとどまり、自治区からの全面撤退の有無や時期を明言しなかった。
2002.4.17 【米国務長官の仲介失敗−−危機深刻化さらに】
 国際社会の圧力を受け、ブッシュ米大統領が送り込んだ長官は、シャロン首相の強硬な態度を軟化させることができず交渉は失敗に帰した。

イスラエル軍の即時撤退と停戦協議入りを目標としていたが、イスラエル軍がヨルダン川西岸の主要都市を制圧する事態はほとんど改善されなかった。事実はイスラエルの軍事行動を既成事実化させ、 ブッシュ米政権が公正な仲介者たりうるか、という根本的な疑問が強まるのが避けられなくなった。
2002.4.17 「ジェニン虐殺」調査決議を要請 アラブ諸国が国連安保理に
 イスラエル軍がヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプでパレスチナ人を多数殺害した疑いが持たれている事件で、アラブ諸国は17日、国連安全保障理事会各国に対し、実態調査を求める決議を採択するよう非公式に要請した。これに対し、イスラエル寄りの米国が同日、反対の意向を示し、「安保理はすでに中東問題で三つの決議を採択しており、これ以上の決議は必要ない」と反論した。しかし、国連は18日に安保理非公式協議を招集、アナン国連事務総長が、先に提案した国際治安部隊の派遣問題について説明する。アラブ諸国の提案も、この場で話し合われることになりそうだ。ジェニン事件について、イスラエル側は「虐殺は起きていない」と否定している。しかしイスラエル軍は、国連など国際機関の立ち入りや、ジャーナリストの自由な取材を認めていない。
2002.4.19 国連調査団派遣を採択・ジェニン虐殺疑惑、米も賛成

 国連安全保障理事会は19日、ヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプで起きたとされるイスラエル軍による「虐殺」疑惑を調べるため、アナン事務総長が主導する国連調査団を現地に派遣することを事実上認める決議案を全会一致で採択した。

 採択に先立ち事務総長は訪米中のペレス・イスラエル外相と電話協議し、イスラエル側がキャンプの情報提供に全面協力する意向を表明したことなどから、決議案に反対の姿勢を見せていた米国も賛成に回った。採択後、米国のネグロポンテ国連大使は「事務総長のイニシアチブを歓迎する」と記者団に語った。

2002.4.19  イスラエル軍がガザにも侵攻。
2002.4.20

【イランを訪問中の江沢民国家主席が、イランのハタミ大統領と会談】

  会談では、両国関係や共に関心を寄せる国際問題及び地域問題について、踏み込んだ意見交換を行った。 江主席は「両国はともに文明発祥の地であり、両国の人民は2000年余のいにしえの時代から『シルクロード』を通じて行き来があり、世界の文明進歩に大きな影響を与えた。両国は国交締結30周年以来、政治、経済貿易、文化の各分野で友好協力関係を絶えず深めた。中国とイランはともに発展途上国であり、多くの国際問題や地域問題に関して、同一または同様な見解を抱いている。両国関係や地域的、国際的取り組みにおける調整や協力を更に強化し、両国の根本的利益を守ることは、地域や世界の安定や平和に有利に働く」と述べた。

  会談終了後、江主席とハタミ大統領は両国の6分野における協力を記した合意書の調印式に出席した。6分野の合意書は、@石油・天然ガス分野の協力枠組に関する合意書、A二重課税回避に関する合意書、B郵便、通信、情報技術協力に関する覚書、C海運協定、D2003−2005年の文化交流実施計画、E両国間の商務理事会設立に関する協力合意書。   「人民網日本語版」2002年4月21日
2002.4.21  イスラエル軍が西岸自治区からの撤退を発表。
2002.4.28

アラファト氏監禁、解除へ

 パレスチナ自治政府のアラファト議長は28日夜、ゼエビ・イスラエル観光相の暗殺犯を米英の監視のもとで服役させるという米国の妥協案の受け入れを表明した。イスラエル政府も同案受け入れを決めており、3月29日の侵攻以来1カ月にわたるアラファト議長の監禁は数日中に解除される見通しになった。

 妥協案受け入れは自治政府当局者が明らかにした。米提案は昨年10月に起きたゼエビ観光相の暗殺犯ら6人を米英の治安部隊の監視下に置くかわりに、議長府を包囲しているイスラエル軍が撤退し、アラファト議長に移動の自由を認める内容。

 イスラエル放送によると、ベンエリエザー国防相は29日、イスラエル軍は数日中にラマラから撤退し、同時に議長の監禁を解くと言明した。自治政府のアベドラボ文化情報相は暗殺犯らを一両日中に自治区のエリコにある刑務所に収監すると述べた。29日午後にも米英の先遣隊が自治区入りし、パレスチナ側と協議を開始する。

2002.4.28

アラファト氏監禁、解除へ

 パレスチナ自治政府のアラファト議長は28日夜、ゼエビ・イスラエル観光相の暗殺犯を米英の監視のもとで服役させるという米国の妥協案の受け入れを表明した。イスラエル政府も同案受け入れを決めており、3月29日の侵攻以来1カ月にわたるアラファト議長の監禁は数日中に解除される見通しになった。

 妥協案受け入れは自治政府当局者が明らかにした。米提案は昨年10月に起きたゼエビ観光相の暗殺犯ら6人を米英の治安部隊の監視下に置くかわりに、議長府を包囲しているイスラエル軍が撤退し、アラファト議長に移動の自由を認める内容。

 イスラエル放送によると、ベンエリエザー国防相は29日、イスラエル軍は数日中にラマラから撤退し、同時に議長の監禁を解くと言明した。自治政府のアベドラボ文化情報相は暗殺犯らを一両日中に自治区のエリコにある刑務所に収監すると述べた。29日午後にも米英の先遣隊が自治区入りし、パレスチナ側と協議を開始する。

2002.4.30 【ジェニン調査団解散へ・国連事務総長、安保理に意向】

 国連のアナン事務総長は、パレスチナ自治区ジェニン難民キャンプでの虐殺疑惑に関する国連調査団について「解散に傾いている意向を安全保障理事会に伝えた」と記者団に語った。1日の安保理の協議の結論を待って、正式に決める。

 調査団派遣は4月19日の安保理決議に基づいて決められたが、イスラエル政府が協力を拒否し再三延期を強いられた。事務総長が主導し、国際社会が後押しする形で進められた調査団が白紙撤回に追い込まれる見通しになったことで、イスラエルに対する批判が強まりそうだ。

2002.5.1

【イラク副首相、国連を二重基準と批判】  

 バグダッドからの報道によるとイラクのアジズ副首相は1日、国連がパレスチナ自治区ジェニン難民キャンプへの調査団派遣に失敗する一方で、イラクに査察受け入れを強く迫るのは「二重基準をとっている証拠だ」と批判した。副首相は「イスラエルが調査団受け入れに抵抗したのに対し、事務総長は一体何をしたのか」とアナン事務総長の対応に不満を表明した。

 事務総長は同日、国連本部でサブリ・イラク外相と大量破壊兵器開発疑惑を巡る国連査察の再開などについて2回目の協議を開く予定。イラクはパレスチナ問題への国連の対応を材料に自国への制裁解除を強く求める見通し。

2002.5.2 

【アラファト議長解放・イスラエル軍、ラマラ撤退】  

 イスラエル軍は5.2日未明(日本時間2日朝)までにヨルダン川西岸のラマラから撤退し、3.29日の自治区侵攻以来1カ月以上にわたって監禁してきたパレスチナ自治政府のアラファト議長を解放した。自治政府は1日夜、イスラエル観光相の暗殺犯ら6人をエリコの刑務所に移送し、米英両国の監視下に置いた。

 6人の移送は、1・昨年10月に起きたゼエビ観光相の暗殺犯や武器密輸事件にかかわった自治政府の財務担当者を米英の監視のもとで服役させる。2・イスラエルはアラファト議長の移動の自由を認める――との米国提案に沿った措置で、米英両国が用意した車両に分乗し、エリコにある自治政府の刑務所に到着した。その後イスラエル軍の戦車や軍用車両が撤退を始めた。

2002.5.2

【国連事務総長、ジェニン虐殺調査団の解散を発表】  

 国連のアナン事務総長は2日、虐殺疑惑が出ていたヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニン難民キャンプに派遣する予定だった国連調査団の解散を正式に発表した。緒方貞子前国連難民高等弁務官ら著名な人道問題専門家をそろえ旗揚げした同調査団はイスラエル側の強い抵抗で現地入りできないまま解散する異例の展開となった。

 調査団はアナン事務総長が主導し、安全保障理事会がお墨つきを与える形で発足。疑惑解明への期待を裏切ることになる解散の最終決断はどちらがするか。事務総長が解散の意向を表明してから3日間、双方が責任を押し付け合うような場面の連続だった。

 事務総長は解散表明後「解散に傾いているが安保理の意見を聞くまで結論は出さない」と何度も繰り返した。安保理は1日、2日と、解散か調査継続かを巡り長時間協議したが結論が出ない。

 協議の過程で安保理は態度を明確にする決議案の採択を断念。議長が事務総長に「解散に同意する」との手紙を出し決着を図る動きもあったが、結局「何も行動しない」(国連外交筋)という選択肢を取った。

2002.5.2

米上下両院、イスラエル支持決議を圧倒的多数で可決】  

 米上下両院は、中東紛争をめぐってイスラエルを支持する決議を圧倒的な多数で可決した。パレスチナによる自殺テロを非難し、イスラエル軍による対抗措置を事実上、擁護する内容で、仲介役に腐心するブッシュ大統領の中東政策にも影響しそうだ。下院の決議案はアラファト・パレスチナ自治政府議長を名指しで「テロへの支援を続けている」と批判。米政府にイスラエルへの追加支援を求めるなど、上院よりも激しい内容になっている。

2002.5.3
【ジェニン虐殺:国際人権擁護団体が独自調査結果を発表】

 ヨルダン川西岸パレスチナ自治区のジェニン難民キャンプでの虐殺疑惑をめぐり、国際人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」(本部・ニューヨーク)は2日、独自調査結果を発表した。イスラエル軍の侵攻によってこれまでに死亡が確認されたパレスチナ住民52人のうち22人が武装勢力とは関係ない一般住民だったことが判明、「虐殺を立証する証拠はなかったが、明らかに戦争犯罪に相当するケースが見られた」と指摘した。 

 ジェニン難民キャンプの被害が国際的に認知された機関によって総合調査されたのは初めて。同団体は7日間に及ぶ現地調査で、これまでに軍の侵攻によって死亡が確認されたパレスチナ住民の身元を特定、個別調査を行った。また、一連の攻撃による建物被害については140軒が全壊、200軒が大破、住民(人口1万5000人)の約4分の1に当たる4000人以上が住居を失ったという。

 報告書ではまた、非戦闘員である一般住民が軍によって「人間の盾」にさせられたり、負傷したのに軍によって救急措置が妨害され、死亡した具体例を紹介。「住民の多くは故意、または不法な状態で殺された」と結論付けた。

 「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は78年に発足した人権擁護を目的とする国際的な非政府組織(NGO)。ボスニア・ヘルツェゴビナやコソボ、チェチェン、アフガニスタンなどの各紛争でも人道違反や戦争犯罪に関する調査実績を持つ。

 ジェニン難民キャンプの虐殺疑惑をめぐり、アナン国連事務総長が2日、調査団解散を決め、国連人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は「虐殺はなかった」と指摘した。パレスチナ側が主張する虐殺疑惑に対する追及はトーンダウン必至の情勢となった。だが、ヒューマン・ライツ・ウオッチは、パレスチナ武装勢力とは関係ない一般住民が殺害された例をあげ「人道違反」の疑いを指摘しており、今後もイスラエルとパレスチナ双方のせめぎあいが続きそうだ。

 パレスチナ自治政府はこれまで「数百人が犠牲となった」と主張していたが、ヒューマン・ライツ・ウオッチの調査で確認できた犠牲者は52人だけだった。イスラエルは今後、この点について、パレスチナ側の「誇張」を批判する可能性がある。

 だが、報告書は、白旗を掲げて歩きながら射殺された男性や、住居から退去を許されないままブルドーザーに家屋ごと押しつぶされた男性、ケガをしながら2日間、救急活動が受けられないまま死亡した女性などの殺害状況に関する証言を列挙した。戦闘にからむ巻き添え犠牲者といえる例が多く、「虐殺の証拠はなかった」との結論に落ち着いた。

 一方、イスラエル軍が「攻撃対象は武装勢力だけ。パレスチナ側が住民を人間の盾にとった」と強調する点に関しては、軍が8人の住民をバルコニーに立たせながら武装勢力に応戦したなどの証言を元に、「軍の方こそ、住民を人間の盾にした」と非難。多数の負傷者が発生しながら、救護活動を妨害した点についても「軍は国際法に基づく人道的な処置を怠った」と指摘した。

 バルカン紛争の場合、国連安保理決議で旧ユーゴ国際戦犯法廷(オランダ・ハーグ)が開設され、現在、一連の戦犯容疑で起訴されたミロシェビッチ前ユーゴ連邦大統領らに対する裁判が進められている。今回のジェニン難民キャンプのケースで同様の容疑に問われるかどうかは微妙な上、米国が反対している以上、国連安保理決議を受けた戦犯法廷に持ち込める可能性は薄い。また、常設の国連機関として7月にハーグに発足予定の国際刑事裁判所への起訴も考えられるが、基本条約に署名しただけのイスラエル側がどこまで協力するかは不透明だ。

 国連調査団の解散を受け、アラファト・パレスチナ自治政府議長は2日、「ジェニンをはじめ、今回のイスラエル軍侵攻による被害状況を国際社会の人権団体などに調査してもらいたい」と語った。[毎日新聞5月3日] ( 2002-05-03-21:35 )

2002.5.3

アラファト議長「挑発的行為はイスラエル」  

 中東訪問中の山崎拓自民党幹事長は、3日午前(日本時間同日午後)、ヨルダン川西岸ラマラのパレスチナ自治政府議長府で、イスラエル軍による監禁から解放されたばかりのアラファト議長と会談した。同議長は「イスラエルは依然としてパレスチナ人の家屋、インフラの破壊、攻撃を継続している。自分の監禁解除は実現したが、同じく重要な聖誕教会の問題は未解決だ」と強調した。

 山崎氏は小泉純一郎首相の親書を手渡し(1)テロを停止するため一層努力してほしい(2)日本は対パレスチナ人道支援を継続する―などとする川口順子外相のメッセージを伝えた。その上で自爆テロの停止を要請したが、同議長は「挑発的な行為を行っているのはイスラエルだ」と反論した。

 山崎氏はパウエル米国務長官の外交努力を信頼するよう要請したのに対し、アラファト議長は「本当に真剣な努力を行ったと思う。米国の外交努力は評価している。パレスチナ側も国際社会と協調しつつ今後も努力していきたい」と指摘した。

 さらに、中東和平プロセスでの日本の積極的な役割に期待感を表明。ジェニン難民キャンプでの虐殺疑惑に関する国連調査団の解散については「残念に思う」と述べた。

 同行筋によると、議長にとっては、現地駐在大使らを除いて解放後初の海外要人との会談になるという。山崎氏は議長との会談後の同日午後、エルサレムでイスラエルのペレス外相と会談する。

2002.5.5 【パレスチナ・聖誕教会立てこもり 交渉難航、こう着続く−−発生から1カ月】

 ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムにある聖誕教会で続くパレスチナ武装勢力などによる立てこもり事件は4月2日の発生から1カ月が過ぎ、こう着状態に陥っている。パレスチナとイスラエルとの間で続く交渉は難航し、4日午前には教会から出てきたパレスチナ人1人が包囲するイスラエル兵士に狙撃され、死亡した。教会周辺には外出禁止令が敷かれたままで、イスラエルの軍事作戦が一段落した中、キリスト教徒の聖地だけが置き去りになっている状態だ。

 キリストの生地として知られる聖誕教会では、パレスチナ側と軍がナセル・ベツレヘム市長を立ち会いに4月23日以来、断続的に解放交渉を続けている。パレスチナ側が武装勢力のガザ移送を提案しているのに対し、イスラエル側は全員の投降を前提に(1)イスラエルでの裁判(2)外国への亡命――を提示しているという。これまでに断続的に解放や投降が進んだが、依然、中には170人以上がいるとみられる。

 これまでの交渉で、軍もパレスチナの救助団体が食料や水を搬入することは認めているが、銃撃戦が頻発していることもあり、軍は最近、搬入を厳しく制限し始めた。教会内に入った人の証言では慢性的な食料不足で、「残り少ない雨水を飲み、草を食べている状態」だという。

 パレスチナ側は4日午後から再開された交渉で、ナセル・ベツレヘム市長は新たな調停案を提示したものの、同日夕までに合意に至っていない。提案は国際監視団の下に武装勢力をヨルダン川西岸エリコのパレスチナ側刑務所に収監するというもの。(毎日新聞2002年5月5日東京朝刊から)
2002.5.8
シャロン首相:パレスチナ独立国は「時期尚早」 米大統領会談

 訪米中のシャロン・イスラエル首相は、ホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談した。会談後の会見で、シャロン首相はパレスチナ独立国家建設は「時期尚早だ」と指摘するとともに、自治政府の改革の必要性を強調した。首相はこれまで条件付きながらパレスチナ独立国家について容認する立場を示していたが、大規模軍事作戦で多数の庁舎を破壊するなど自治政府を崩壊の危機に追い込んだことを受け、軌道修正を図ったとみられる。

 両首脳はテロ阻止のためにパレスチナ治安組織を再編する必要があるとの認識で一致し、ブッシュ大統領はこの作業を支援するためテネット中央情報局(CIA)長官を現地に派遣することを決めた。ブッシュ大統領は、テネット長官派遣について、テロを取り締まるためには指揮系統が分散しているパレスチナ治安組織を再編・統合せねばならないためと指摘した。

 また、米政府高官は、会談で自治政府改革の問題に多くの時間が割かれたと明言。自治政府は、テロとの対決や国際社会からの支援の使途の透明性確保、民主的機構の構築など「今はしていないこと」をしなければならないと指摘した。これらは米政府が、シャロン首相が敵視する「アラファト体制」の改変を視野に入れていることを暗示している可能性があり、注目される。

 シャロン首相は、自ら提唱した中東和平のための国際会議についてもブッシュ大統領と話し合ったと明らかにし、同会議の実現を望んでいると述べた。[毎日新聞5月8日] ( 2002-05-08-12:58 )

2002.5.8 【テルアビブ近郊で自爆テロ16人死亡、60人負傷 ハマス犯行声明】

 【エルサレム森忠彦】イスラエル・テルアビブ南郊のリションレツィオンで7日午後11時(日本時間8日午前5時)すぎ、ビリヤード場などが入った商業ビルで自爆テロがあり、犯人を含め16人が死亡、約60人が負傷した。イスラム原理主義組織「ハマス」が犯行声明を出した。

 武装パレスチナ人によるイスラエル領内での自爆テロは先月12日にエルサレム市内で起き、6人が死亡して以来。当時、米国ではシャロン・イスラエル首相とブッシュ米大統領が会談中で、シャロン首相は日程を繰り上げ、急きょ帰国することを決めた。3月下旬からの大規模軍事作戦が一段落していたが、今回のテロを受け、イスラエル側が再び軍事作戦を強化する可能性もある。

 今回の自爆テロ現場はテルアビブから約10キロ南に位置する新興商業地区。爆発は3階建てビルの最上階にあるビリヤード場で起こり、爆発当時は大勢の若者が集まっていた。3階部分が大破し、床が崩壊する状態で、がれきの下敷きになった人も多かった模様だ。爆破規模が大きいことから、犯人が体にパイプ爆弾を巻きつけた自爆ではなく、カバンに入れた爆弾を爆発させたとの見方もある。

 ホワイトハウスでシャロン首相との会談を終えたブッシュ大統領は「あきれてものも言えない」と露骨に不快感を表明した。

 一方、パレスチナ自治区ベツレヘムの聖誕教会で続いていた立てこもり事件も、パレスチナ人武装集団の身柄引き渡しに関してイスラエル政府とパレスチナ自治政府の条件が合意に達し、国外追放となる13人の引き受け先として有力視されるイタリアとの政治交渉が続いていたが、この先行きにも影響を与える恐れがある。(毎日新聞2002年5月8日東京夕刊から)
2002.5.9 イスラエル首相:テロ掃討へ軍事行動を承認 近くガザ侵攻か

 【エルサレム小倉孝保】シャロン・イスラエル首相は8日夜(日本時間9日未明)、米国から帰国し、治安担当閣議を招集した。閣議はテルアビブ近郊で7日に起きた自爆テロを受けてパレスチナに対する報復策を協議し、テロ掃討のための軍事行動を取ることを承認した。イスラエル軍部隊が8日夜からパレスチナ自治区ガザ周辺に集結しているとの情報もあり、近くガザ侵攻が行われる可能性も出てきた。

 閣議は4時間以上に及び、新たな作戦の詳細について協議した。閣議が出した声明によると、「テロ掃討作戦」について首相、国防相に一任したという。ただ、詳しい作戦内容は不明だ。

 イスラエル・メディアによると、閣議開催と並行して多くのイスラエル軍部隊がガザ周辺に集結、政府の正式指令を待っているという。

 同軍がテロ掃討を目的に3月末以来、1カ月余り続けた「守りの壁」作戦は、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区を対象にしていた。ガザへ本格侵攻すれば、イスラエルが自治区全域に作戦を拡大することになる。

 イスラエル治安当局は、イスラム原理主義組織「ハマス」が犯行声明を出した7日の自爆テロについて、犯人がガザ出身者だという情報を得て、政府に報告した模様だ。しかし、軍消息筋などによると、大量のパレスチナ難民を抱える人口密集地ガザで、ハマスを含むパレスチナ人武装勢力を徹底掃討するのは西岸以上に困難だという。エジプトとの国境に近いガザ南部で武力衝突が激化した場合、エジプト軍との緊張を高める恐れもあり、侵攻は局地的になる可能性が強い。

 一方、同メディアによれば、ブッシュ米大統領はシャロン首相との会談で、アラファト・パレスチナ自治政府議長を名目だけの指導的地位に置いたまま、自治政府改革を行うことで議長の一極支配を弱める考えを説明した。シャロン首相はこれに従い、早急な議長追放の動きに出ない方針に切り替えた模様だ。[毎日新聞5月9日] ( 2002-05-09-11:18 )

2002.6  イスラエル政府は、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区を壁によって取り囲み管理すると発表。
2002.7  イスラエルによるレバノン領空侵犯は続く。(〜2003.1.14日)
2003.1.15

 イスラエルによる執拗なレバノン領空侵犯とヒズボラの対空砲火が続いている。(〜2003.7.23日)

2003.4.30

 米国と欧州連合(EU)、国連、ロシアの4者が、パレスチナ紛争の最終解決に向けイスラエルとパレスチナ自治政府の双方に示した新和平案。計画は05年までの3段階に区分され、年末までの第2段階で暫定的な国境線を持つパレスチナ国家を樹立。最終段階でイスラエル、パレスチナ間の恒久的な地位協定締結を目指す。

2003.6.5  中東歴訪中のブッシュ米大統領は、ヨルダンのアカバで、和平仲介のためイスラエルのシャロン首相、パレスチナ自治政府のアッバス首相との3者会談を行った。終了後の共同記者会見で、アッバス首相は反イスラエル武装闘争の終結に努力すると約束し、シャロン首相はパレスチナ自治区内の一部ユダヤ人入植地の移転に直ちに着手すると明言した。いずれもパレスチナ国家樹立、イスラエルとの平和共存という究極的な目標に向けてブッシュ大統領が履行を促した新和平案「ロードマップ」の第1段階にあたる措置であり、中東情勢は新局面を迎えた。

 ブッシュ大統領は同日まずアブドラ・ヨルダン国王と個別会談。引き続きシャロン首相、アッバス首相の順で個別に会談し、最後に両首相との3者会談に臨んだ。終了後、アブドラ国王を含む4人が並んで記者会見し、それぞれ声明を発表した。

 アッバス首相は「我々が無条件で受け入れた新和平案は、平和のための新たな機会になる」と指摘し、パレスチナ側の義務として「インティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)の武装化を終わらせるため全力を尽くす。占領と苦痛の終結という目標は平和的手段によって達成しなければならない」と述べた。

 シャロン首相は、パレスチナ人を統治するのはイスラエルの利益に合致しないと述べ、民主的なパレスチナ国家の樹立こそイスラエルの長期的安全保障に寄与するとの見解を表明。「パレスチナ国家独立のためのヨルダン川西岸領域の重要性を理解する」と述べたうえで、範囲や数は明言しなかったものの「無許可の入植地」の撤去に即時着手すると明言した。

 ブッシュ大統領は両首相の声明を歓迎するとともに、アッバス首相の登場により中東に変化の希望が訪れたと指摘。「聖なる地は共有されねばならない」などと指摘しつつ、新和平案の着実な履行を重ねて求めた。

 また、その履行推進のために米大使が率いる監視団を派遣すると明言。パウエル国務長官とライス大統領補佐官(国家安全保障担当)にも中東和平問題に最優先で対処するよう命じたことを明らかにした。

 この日の会談の最大の成果は、00年9月末以来2年8カ月余りにわたって流血の対立を続け、和解不能とも見えたイスラエル、パレスチナ双方の首相が、「ロードマップ」という同じ軌道の上に乗って前進することをブッシュ大統領の面前で確認し合った点にある。

 ただ、両首脳の声明にもかかわらず、テロ根絶や大規模な入植凍結などは容易でないとみられ、具体的な履行状況が当面の焦点になる。    ◇

 【3首脳の会見内容の骨子】

アッバス首相

一、我々の目標はイスラエルとパレスチナ国家が平和的に共存することだ。

一、あらゆる手段を使ってインティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)の武装化を終わらせる。

シャロン首相

一、民主的なパレスチナ国家の樹立は、イスラエルの恒久平和に結び付く。

一、イスラエルは無許可のユダヤ人入植地から即時撤退する。

ブッシュ大統領

一、聖なる地はイスラエルとパレスチナによって共有されるべきだ。

一、ロードマップ促進のため監視団を派遣する。

2003.7.24  イスラエルによるレバノン領空侵犯とヒズボラの応酬が続行している。(〜2004.1.19日)
2003.8  エジプトで、「シオン賢者の議定書」は偽書ではないとの立場からドラマ製作したテレビ局のドキュメントを、アメリカの中止要請にも拘わらず放映。
2003.10  国連本会議で、非難決議採択される。
2003.11  アナン国連事務総長が違法だと見解表明。
2003.12  国際司法裁判所に委ねられる。
2004.1.21  イスラエル空軍によるレバノン上空侵犯とヒズボラの対空砲火が続く。(2004.7.21日)
2004.7.21  イスラエルによるレバノン領空侵犯が続行。イスラエル当局は、イスラエルが必要と見なす場合はいつでも領空侵犯を行うと言明した。 (〜2005.1.20日)
2004.11.11  ヤセル・アラファト氏が逝去。
2005.1.21

 イスラエルのジェット、ヘリコプター、および無人偵察機によって領空侵犯が繰り返される。以降も続く。6年前のイスラエルのレバノン撤退以来、イスラエルは、一日たりとも、北方の隣人に穏やかな日を与えたことがない





(私論.私見)