4489−2 アラブ諸国家の内部事情

 さて、現在は基本的にはイスラム教という共通の宗教的価値観を共有し、更にコーランの言葉、・アラビア語を共通語として話すために、我々日本人など外部の世界のものから見ると、つい「アラブは一つ」との印象を抱いてしまう。

 しかしながら、その底流にある民族意識は決して一つではない。エジプト人はピラミッドを築いたファラオの子孫であることを誇り、イラク人は勇猛なアッシリアやバビロニア帝国の栄光に憧れ、イラン人はペルセポリスに宮殿を輝かせたペルシアの光輝を望み、リビア人は勇将ハンニバルに率いられた、カルタゴの戦勝の再現を願っている。

 武力の強大なアラブ諸国間の駆け引きの間にあたって、サウジアラビアは、マホメット以来のメッカの守護者としての威厳を維持しようとする。また弱国とはいえ、レバノンはフェニキア商人の繁栄を再現しようとし、シリア4000年来のダマスカスを根城に東西の戦略に睨みを効かそうと狙い、そして、イスラエルはダビデ王の建国事業を継承しようとする。

 20世紀からは名馬が競馬場のスタート地点に横並び一線にレース開始を待っている光景に似ている。一度はエジプトのナセルがアラブを統一をしようとして失敗、イランのパーレビー国王は功を焦り、シーア派の革命に挫折、そのシーア派のホメイニ師ですらイスラム世界に宗教革命を及ぼそうとしたが夢かなわなかった。その後のイラクのサダムフセインの野心的な領土拡大戦争は未だ記憶に新しいところだ。






(私論.私見)