幕末維新(回天運動)の研究

 更新日/2017(平成29).5.8日
 (れんだいこのショートメッセージ)
 2005年現在の小泉売国傀儡政治を批判するには、「幕末回天運動」から説き起こさないと見えるものが見えてこないと思うようになった。そこでこのサイトを「れんだいこ論文集」の中に取り込み検証していくことにする。

 「幕末維新(回天運動)」の歴史的評価を廻っての定説が確立されていないように見える。驚くべきは、いわゆる左派運動からの評価が低く、それも日共系歴史家のそれが公式的に悪評価している。かの偉業を偉業と認めず価値を落としこめる理論を流布させて得意になっているとは。かような観点に汚染されればされるほど日本左派運動が逼塞せしめられるのも致し方なかろう。案の定、そういう仮面派に指導された左派運動の末路は今日ある通りのものとなっている。

 れんだいこが既成の「幕末維新(回天運動)論」に異議を唱え、その再評価に向う。意図するところは、弁証法歴史学の原則に則って時代を叙述することである。革命派を仮面した本質反革命派による「幕末回天運動否定評価」の愚挙を許さず、正当に位置を定めることである。

 本稿の特徴は、明治維新を幕末維新と明治維新の二本立てで捉える視角を設けたことと、幕末維新を幕末回天運動と捉えたことにある。これにより、明治維新を評する視座が広くなった。これもれんだいこ史観の功績としたい。

 2009.5.10日、備仲(びんなか)臣道氏と礫川(こいしかわ)全次氏の対談「攘夷と皇国−幕末維新のネジレと明治国家の闇」(批評社)が発刊された。内容に対する興味以前に幕末維新という表記に注目し、取り寄せ読了した。資料的な面で貴重な情報が紹介されており有難かった。これにより当サイトも書き換えて行くことになるだろう。著者に謝す。但し、歴史観的な見立てについては、司馬史観批判については解せるが、著者の独眼流的な面では同意できない面が多い。なぜなら、太田龍史観的なネオシオニズム論を全く持っていないからである。その点が立論を色あせたものにしていると感じた。

 それはともかく、幕末維新という流れを措定し、これを明治維新と判然と区別させ、明治維新が幕末維新の流れをネジレさせているという見方には全く同感である。問題は、どうネジレさせているかという更なる見立てになるが、これ以上問う必要はないのかも知れない。幕末維新の流れをネジレさせた明治維新という構図を打ち出したことに功績があるのだから。これにつき、書評に記しておくことにする。

 2005.4.3日、2009.5.27日再編集 れんだいこ拝

 2002.6.1日付け日経新聞文化欄に、「幕末の主役たちに新視点」(文化部・松本治人)なる見出しの歴史評論が掲載されている。それによると冒頭に「『幕末』に関する『異説』が相次いでいる。新たな視点から従来のイメージとは違う坂本竜馬や高杉晋作ら志士の素顔を探ったり、朝廷の役割を見直したりといった研究が成果をあげているほか、中国ではこれまで否定的だった吉田松陰の再評価も進んでいる」とある。

 れんだいこが注目するのは、紹介されている家近良樹大阪経済大学助教授の近著「孝明天皇と『一会桑』」(文春新書)における新見解である。それによると、「明治維新は進歩的な薩長両藩の粘り強い一貫した倒幕運動ではなく、追い詰められた対幕府強硬派が最後に逆転した結果」であるとの見解を披瀝しているとのことである。家近氏は他にも、「明治天皇の父、孝明天皇に注目。閉鎖的で極端な攘夷主義者とされてきた従来のイメージを覆し、情報に敏感で積極的な天皇像を描いた。さらに、巧みな人事政策で宮中内部を掌握し、一橋慶喜を自らの代弁者に使う辣腕政治家の一面を掘り起こした」とある。

 中国の郭連友・北京日本学研究センター助教授による吉田松陰論も注目される。今春発行の季刊誌「日本思想史」(ぺりかん社)で、清末の改革思想家に与えた松陰の影響を検証し、「戦後、松陰は中国では『軍国主義者』とみなされてきたが、郭氏は『逸早く近代的な民生思想を確立した革命家』と見る」とある。

 江戸時代の朝廷と幕府との関係における新視点も注目される。「朝廷が官位の叙任権などを通じて幕府に対し一定の政治力を保持していた」という見方も出てきた、とある。概要「志士たちの往復書簡や村方の庄屋文書などの実証的な研究も進み、今後は幕末・維新を、19世紀の世界史全体の中にどう位置付けるのかの視点が必要になる」と、青山氏は指摘している、ともある。

 従来の「王政復古史観」や「マルクス主義史観」から解き放たれた視座の構築が始まったということだろうか。もっとも、れんだいこ史観によれば、「俗流マルクス主義史観」との決別という視座で間に合うようにも思える。

 2002.6.1日 れんだいこ拝


目次
項目
幕末志士写真集
Re大塩平八郎の乱
幕末前史(西欧列強の開国要請と幕府の対応、国内の動き
幕末通史1、ペリー艦隊来航以降の国情
補足・ペリー艦隊来航考
幕末通史2、改革か回天か、新政体創出を廻る激闘
幕末通史3、薩長同盟から大政奉還まで
幕末通史4、大政奉還から江戸城無血開城まで
幕末史年表
別章【幕末志士列伝
別章【剣客伝
別章【水戸学の影響、尊王攘夷思想の発酵
安政の大獄考
大塩平八郎の乱
水戸天狗党の乱
ええじゃないか運動
国学の影響
陽明学の影響(「陽明学その現代的再生考」)
西洋学の影響
「妙見(みょうけん)信仰」の影響
黒船来航の衝撃
幕末時の政治意識の高さ解析考
錯綜する理論状況の中から
新宗教の相継ぐ誕生
体制側の内部改革
皇室側の内部事情
雄藩の藩史及び藩政改革とその後
倒幕派のイニシアチブ抗争
幕府の長州征伐
「薩長同盟」以降の流れ
守るも攻めるもテロの流れ
新撰組考
別章【幕末維新に於けるフリーメーソン暗躍考
明治維新のグランドデザイン
回天運動の大局観
もう一つの幕末維新
幕末当時の社会風景
幕末政変王朝交代論考
孝明天皇暗殺考
大室寅之祐→明治天皇考
Re「西郷頼母史観考
転載「ゴルゴ14氏の維新の立役者たちの正体(上)」
北白川宮能久親王(きたしらかわのみや よしひさ しんのう)考
16代/徳川家達(いえさと)考
大田垣連月尼考
別章【二宮尊徳考
別章【外国人の幕末日本諜報記
インターネットサイト
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(私論.私見)