452312 | ロッキード事件の見方その1ーキッシンジャーかく語りきー |
(最新見直し2007.2.3日)
(れんだいこのショートメッセージ) | ||
ロッキード事件の捜査は初めからある意図を持った「国策」に添って遂行された。「国策」を指揮発動させたのは米国務長官キッシンジャー頭目とするネオ・シオニストである。ロッキード事件の解明にはこの視点を持つことが肝要である。思えば、ロッキード事件騒動を通じて、戦後日本の支配上層部の人材が転換した。それは、悪貨が良貨を駆逐する愚の時代を切り開いた。2006年初頭現在未だこの流れにある。この視点を持つことが肝要である。 ロッキード社からの金の流れには「児玉ルート」、「丸紅ルート」、「全日空ルート」の三つがあったが、事件の中心人物である児玉誉士夫の「児玉ルート」の捜査は手加減された。ロッキード社との交渉の通訳を務めた福田太郎も6月に肝硬変悪化理由で急死したことにより迷宮入りした。トライスターの売り込み工作資金が30億円、防衛庁が購入する対潜哨戒機P3Cオライオンに関わる売り込み工作資金が25億円、合わせて55億円の賄賂が我が国の政界に流れ込んだとされる主たる方面の疑惑は追求されず、「丸紅ルート」の6億円の行方に絞られていった。 このような特殊な意図によって作り出された「ロッキード事件」は、れんだいこには見えるものが有るが、見えない者にとっては今に至るも五里霧中の中にある。「2チャンネルのニュース議論」での角栄スレッドに於ける議論などを見ると、未だに「角栄有罪説」に凝り固まっている連中が居ることに驚かされる。というか、何らかの政治的意図をもって反角栄プロパガンダを仕掛けているとしか思えない論調で、「そう信じたいが故にそう信ずる」弁論を披瀝し続けている。 世の中には白黒つけられないもの、つけてはならないものもあるが、逆に白黒つけねばならないものもある。「ロッキード事件」はいつまでも「闇」にしてはいけないと考える。蛇足すれば、変なことだが、白黒つけられないもの、つけてはならないものにイキがり、つけねばならないものを曖昧にする風潮が有る。さしづめ小泉首相の「人生いろいろ論法」はその典型だろう。 ロッキード事件の解明は、これを世界史的に見れば、日本人民の能力が問われている。「ロッキードの罠」を見抜く力、国際金融資本ネオ・シオ二ズムの軍門に下るのか跳ね除けるのか、戦後日本の主権を保持し得るのか等々が問われている。問題をこのように認識し、立ち向かう以外には解けない。 佐藤昭子の「私の田中角栄日記」は、角栄のロッキード事件観を次のように記している。
佐藤昭子の「田中角栄ー私が最後に伝えないこと」は、角栄のロッキード裁判観を次のように記している。
これらによると、角栄は、ロッキード事件に於ける5億円収賄は冤罪であると明瞭に語り、故に徹底的に闘うとしていたことになる。今日に於いても諸説あるところであるが、れんだいこは、本人のこの観点に立って解析することが真相に迫る道筋であると思っている。冤罪的刑事事件の場合にその全てを被疑者の側から見ることが正しいという保証はないが、ロッキード事件の場合には被疑者角栄の側から見るほうが正しく見えると思っている。 以下、この観点から解析して見ることにする。 2005.1.28日、2006.2.24日再編集 れんだいこ拝 |
【「ロッキード事件」の背景諸説、角栄の罪状諸説考】 |
ロッキード事件に於ける角栄の罪状についても見方が分かれており、次のような諸説がある。まず、1・有罪説、2・無罪説、3・冤罪説の3説に分かれている。「1・有罪説」は、れんだいこには理解不能であるが、「司法(検察、裁判所)は正義の味方であるとしてか、取り締まり歓迎説とでも云うべきか、角栄の5億円収賄徹底弾劾、諸悪の元凶懲罰による見せしめ効果説」に依拠しているように見える。派生的に金権政治批判イデオロギーが絡み、この観点を擁護している。 ちなみに、当時のマスコミはこぞって日頃の「不偏不党」をかなぐり捨て、露骨に「1・有罪説」を説いて廻った。しかしながら、かって首相職に在った重みのある当人が頑として否定しているという複雑な容疑段階にも拘らず司法判断前の「1・有罪説」論評は何を根拠にしていたのだろう。 ロッキード事件の背景事情をA・国際的要因とB・国内的要因に分類すれば、次のような事由が挙げられている。国際的要因として1・ニクソン裏金説、2・国際金融資本による謀略的粛清説。国内的要因として、3・角栄の金権体質複合型政治献金説、4・昭和天皇忌避説、5・官尊民卑犠牲説、6・ハト派対タカ派(田中・大平派対タカ派系福田・中曽根派)の政争収監説等々。 「1・有罪説」は、上記の事由の任意なものを結びつけて角栄の犯罪を問おうとしている。本サイト全体で論証しているのでここでは考察を割愛する。以下、「2・無罪説」、「3・冤罪説」の諸説を検討する。 「2・無罪説」は、「1・有罪説」理論をナンセンスとして退け、別の事由を挙げて角栄救済論を打ち出しており、それも「単なる政治献金説」、「角栄評価説」(有能故にこれしきのことで罪を被せられてはならない説)、「公訴手続きが違法故に無効説」、「証拠不十分説」に分かれる。 「3・冤罪説」は、「2・無罪説」で足りず更なる角栄救済論を打ち出しており、それも「角栄不関与説」と「完全デッチアゲ説」に分かれる。れんだいこは、後者見解に立っており、「ネオ・シオニスト奥の院指令による完全デッチアゲ冤罪説」を採っている。 |
【1・国際的要因説その1、「ニクソン裏金作り説」】 | ||
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【1・国際的要因説その2、「国際金融資本による謀略的粛清説」】 | |||
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【「国際金融資本による謀略的粛清説」補強、文明子・氏の鋭い指摘「キッシンジャーかく語りき」】 | |
文明子・著「朴正熙と金大中」(共同通信社刊、2001・2月)に次のように記されているとのことである。(「2チャンネルの田中角栄スレッド」より)
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![]() 文明子・氏のこの指摘は驚愕的に貴重である。意訳概要「ロッキード事件は、国際金融資本の表エージェントであるキッシンジャーが、日米同盟よりも日中同盟化に傾斜し始めた田中角栄に危機感を覚え、『生意気である』として失脚させたものである」ことを、キッシンジャー自らの口から公言させているからである。 世の諸氏は、この「キッシンジャー証言」に触れてもなお、「角栄征伐は金権批判運動として正しかった」と居直り続けるのだろうか。れんだいこには、「キッシンジャーシナリオに踊らされたボンクラ運動でしかなかった」ように映ずる。 2005.1.10日 れんだいこ拝 |
Re:れんだいこのカンテラ時評その178 | れんだいこ | 2006/05/29 | |||||
【「キッシンジャーのジャップ呼ばわりしてまでの田中首相批判」考】 2006.5.26日、シンクタンク「国家安全保障公文書館」が国立公文書館から入手した文書により、1970年代の米外交政策を主導したキッシンジャー大統領補佐官(後に国務長官)が、日中国交正常化交渉を押し進める当時の田中首相に対し、日本人への極みの蔑称(べっしょう)であるジャップ呼ばわりしてまて「最悪の裏切り者と非難していた」ことが判明した。 キッシンジャー氏の反角栄的な対日観は解禁済みの公文書から既に明らかになっているが、ここまで露骨な表現で敵がい心を露にしていたことが判明したのは初である。こたびの機密漏洩はそういう史的価値がある。 共同通信が「キッシンジャー氏、田中元首相をジャップ 」の見だしで次のように報じている(2006.5.26日)。
河北新報が「ジャップは裏切り者 72年にキッシンジャー氏 」の見だしで次のように報じている(2006.5.26日)。
太田龍・氏の「時事評論」の2006.5.30日付「 今、公開されたキッシンジャーの一九七二年の発言の意味」は次のように記している。
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【「国際金融資本による謀略的粛正説」補強、「ロックフェラーの暗躍」】 | |
次のような指摘為されている。(「2チャンネルの田中角栄スレッド」より)
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![]() この指摘も鋭い。角栄失脚の背景に、「池田〜角栄ラインで日本経済は急成長し、容易に手を出せなくなった」ことがあり、竹下ー金丸を唆(そそのか)して田中派解体を策した、とのことである。「その後は経世会支配の総理大臣の指導の下、日本経済は着々とロックフェラーに侵食されている」とあるのも鋭い。 2005.1.10日 れんだいこ拝 |
【「国際金融資本による謀略的粛正説」補強、「日米欧三極委員会暗躍」】 | ||||
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![]() この指摘も鋭い。角栄失脚の背景に、「日米欧三極委員会の暗躍」があり、三木政権以降露骨に日本政界を操り始めたことを示唆している。 2005.1.10日 れんだいこ拝 |
【太田龍・氏の指摘「第四次対日侵略戦争論」】 | |
太田龍・氏は、2006.1.20日付け「時事評論、吉川、関岡著「国富消尽」。吉川、関岡著「国富消尽」。これは貴重な良書であるが、しかし、現象論に過ぎない」で次のように述べている。これを部分転載しておく。
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【宇野正美氏の指摘「ワン・ワールド主義者の指令論」】 | |||
宇野正美氏は、著書「戦後50年 日本の死角」の中で次のように述べている。
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【児玉ー中曽根ー松野ラインのP3C贈収賄事件犯罪を角栄にすり替えた説】 | ||
ロッキード事件の真相は、角栄の5億円授受にあるのではなく、児玉ー中曽根ー松野ラインによるP3C贈収賄事件を角栄にすりかえたのではないのか、という推定が成り立つ。れんだいこはこの見解に辿り着いたが、佐藤昭子氏の「田中角栄ー私が最後に伝えたいこと」も次のような見解を披瀝している。
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【2・主として国内的要因説その1、「昭和天皇忌避説」】 |
昭和天皇が角栄を嫌い、その意向が宮内庁より伝わり角栄が失脚へと導かれた、という説。確か、角栄がテレビに映ると御機嫌を不快にしスイッチを切ったとか。 |
![]() 「昭和天皇忌避説」については目下、裏づけ取り中。但し、この説が裏付けられたとしても主因にはならないだろう。 |
【2・主として国内的要因説その2、「官尊民卑犠牲説」 】 | ||
角栄は、日本のエスタブリッシュメント守旧派官僚連合によって、「成り上がりもの」故に捕捉失脚せしめられた、とする説。
コーチャンらの免責の仕方にも疑問を提起し次のように述べている。
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![]() いわゆる成り上がり者成敗説であるが、この説が裏付けられたとしても同様に主因にはならないだろう。 |
【2・主として国内的要因説その3、「ハト派対タカ派の政争収監説」 】 |
福田勢力との抗争説で、田中−福田の対立には、戦後日本の二つの思潮が反映していたという観点。これに拠れば、首相の座を退いた角栄に対して、「池に落ちた犬を更に打つ」かのように政争が仕掛けられ、角栄は収監―法廷により羽交い絞めされたことになる。 |
![]() 「政争収監説」は有力で、れんだいこは、ロッキード事件は、「国内政争」と「国際金融資本による謀略的粛清」のドッキングで引き起こされた事件ではなかったか、という仮説に立っている。 |
【3・冤罪説その1、「角栄不関与説」】 | |
丸紅の5億円贈賄は為されていたが、角栄はこれに関与していなかったので知らなかった、とする説。「5億円を受け取ったが、榎本秘書止まりで、田中氏自身は本当に知らなかったという説」で補強されている。 2002.3.16日付け毎日新聞・岩見隆夫「近聞達見」は次のように記している。
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![]() 「角栄不関与説」は、冤罪なら当たり前のことで、それを敢えて「角栄不関与説」とするからには5億円授受を認めたうえで、角栄を擁護しようとしている説として打ち出されていることになる。れんだいはこの説を採らない。 |
【3・冤罪説その2、「完全デッチアゲ説」】 | |
丸紅の角栄に対する5億円贈賄はデッチアゲであるとする説。これによると、ロッキード事件は米日支配層協働による稀代の謀略であったことになる。 砂辺功・氏は、著書「田中角栄 怒涛の大構想」の中で次のように記している。
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![]() れんだいこはこの説を採っており、「5億円を受け取り説は冤罪であり、真相は児玉ー中曽根ー松野ラインの方が臭いのではないのか。それが意図的に角栄ラインへと捻じ曲げられている」との仮説を立てている。砂辺氏の指摘は、れんだいこも然りと思う。 いずれにせよ、この「ロッキード事件」を通じて戦後日本社会に豊潤に胚胎していたルネサンスの息吹が封殺されたことは疑いない。日本史上白眉な有能異能政治家がかくして葬られた。そして、日本政治の水準が「戦前並みの元の木阿弥」に戻ってしまった。それを思えば、フランス革命のようにバスチーユ監獄の襲撃から始まる政権動乱を人民自身の手で行わなければならないのかも知れない。「お与えのルネサンスの享受」は滅びが早い、という気がする。 2003.10.3日 れんだいこ拝 |
【広瀬隆氏の「ロッキード事件の人脈に反旗をひるがえした国士」に見られる混乱性について】 | ||||||||||
広瀬隆氏は、「ロッキード事件の人脈に反旗をひるがえした国士」で次のように述べている。これに逐次コメントつけて見る。
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別サイトとして、【徳本栄一郎ー五十嵐仁−立花隆の御用漫談考】
別サイトとして、【キッシンジャー考】
(私論.私見)