444−25 官房機密費考






2002年4月13日(土)「しんぶん赤旗」

官房機密費の詳細な使途 明るみに

宮沢内閣・加藤官房長官時代

高級背広代、パーティー、せん別…「国家機密」に値するものなし

志位委員長が内部文書公表


 日本共産党の志位和夫委員長は十二日午後、国会内で記者会見し、官房機密費の詳細な使途を明らかにした内部文書を独自に入手したとのべ、全資料を公表しました。志位委員長は、「機密費問題という政治の闇にメスをいれることは、日本の政治腐敗を一掃するうえで避けて通れない」として、機密費の使用実態の公開など三点を小泉首相に要求するとともに、国会で機密費問題を集中的に解明する場をもうけて国民にたいする責任を果たすことを提案(別項)しました。


写真
官房機密費の実態を示す文書を公表する志位委員長=12日、衆院第1議員会館

官房機密費の主な使途と金額
(単位‥万円、肩書は当時)
国会対策 3574(公明党の権藤恒夫、二見伸明、鶴岡洋、黒柳明氏らに「背広代」計356、自民党の総務会メンバー39人への「背広代」1170、自民党の河本敏夫氏、海部俊樹前首相に各300、自民党参議院幹事長、副幹事長6人に「背広代」180、自民党の粕谷茂・党政治改革本部長代理に290など)
パーティー 3028(自民、社会両党議員の「励ます会」「出版記念」「シンポジウム」など)
せんべつ 2043(綿貫民輔幹事長に200、うち小泉純一郎、熊谷弘両副幹事長に各50など)
官房長官室手当、秘書官室手当 1662(毎月10日付で110〜120)

 志位委員長は公表文書について精査した結果、宮沢喜一内閣で加藤紘一氏が官房長官を務めていた時期(九一年十一月から九二年十二月)の内閣官房機密費の会計記録の一部であり、官房長官が自由裁量で使った機密費の使用明細であることを十分な根拠をもって確認できたとのべました。

 公表した資料は、(1)同時期の十四カ月分の金銭出納帳(2)これを整理した月別の収入・支出表(3)および目的別の分類表です。(2)と(3)は内閣専用の用箋(ようせん)=便箋=に記されています。記録されている機密費総額は、一億四千三百万円にのぼっています。収入のほぼ全額が「長官より」とされ、一件の例外を除いてすべて百万円単位で入金されていました。

 志位氏はこの資料がしめす機密費の実態について、「そのほとんどは、国民の税金の支出として許されない、不当きわまりないものである」と指摘しました。

 第一は、「国会対策費」という分類で、三千五百七十四万円が支出されていることです。おもなものでは「英国屋(権藤、二見、鶴岡)160万5000円」、「英国屋(黒柳明)100万円」など、公明党議員の名前の記載があり、自民党向けでも、「総務会メンバー39人(背広)1170万円」などの記録が残っています。

 これらは、自民党の党内対策、野党対策など、党略的目的のために使われていたことをしめすものです。

 第二は、政治家への政治資金のばらまきです。「パーティー」と分類された三千二十八万円の多くは政治家向けで、「励ます会」「出版記念会」「シンポジウム」などに支出されていました。これは事実上の政治献金として機密費が党略的に使われていたことをしめしています。

 第三は、私的費用への流用です。「長官室手当」「秘書官室手当」などで総額千六百六十二万円が毎月十日の職員給与支給日にあわせて支出されており、給与に上乗せするヤミ給与の疑いが強いこと、「長官地元入り経費」二百四十五万円、「日比谷高校会費(泰平会)」一万円など、私的に流用されていることをあげました。

 志位氏は「この資料の全体をつうじて、『国家の機密』として弁明しうる支出項目は、一つもなかった」として、政府が機密費について「内政、外交を円滑に遂行するため、機動的に使用する経費」などとしていることにてらしても、「とうてい説明のつかないものである」と強調しました。

 また、資料には多くの人名が出てくるが、「文書の真実性の保障としてあえて全文を公表したのであって、名前が記載されているということだけで、受け取った人の政治的・道義的責任を問題にするものではない」と強調。「公表した最大の目的は、『国家機密』の名のもとに、国民の税金を勝手放題なやり方で不当に流用してきた歴代政府の責任を追及し、政治腐敗の根源をなす腐ったシステムを日本の政界から根絶するところにある」とのべました。

 志位氏はさらに、入手した文書について、収入、支出、政治的背景の三つの角度から、その真実性を検証する裏付け調査をしたとして、その内容と結果について説明しました。


全容を公開し、税金の党略的・私的流用やめよ

日本共産党の提案


〈小泉首相にたいして〉

(1)機密費の使用実態を公開せよ

(2)党略的・私的流用を今後行わないことを約束せよ

(3)「上納」問題の真相を調査し、公表せよ

〈国会にたいして〉

機密費問題を集中的に解明する場を設け、国民への責任を果たす


機密費

 予算では「報償費」として計上されています。戦前、会計検査の対象から外され、使途がほとんど不明だった「機密費」の系統をひくものです。

 歴代政府は「報償費」の目的について、「内政、外交を、円滑かつ効果的に遂行するため、その都度の判断で機動的に使用する経費であり、国政の遂行上不可欠のもの」と説明してきました。

 支出先の証明や使用目的の公開も不要で、領収書もいりません。官房機密費であれば、大臣官房の会計課長が官房長官に支出した段階で、国の予算支出は終わりとされているからです。そのため会計検査院の検査も形だけで、官房長官の支出先までは及びません。

 政府は一貫して使途の公表を拒否しつづけています。二〇〇二年度予算では官房機密費が十四億六千万円、外交機密費が三十三億四千万円。官房機密費の計上額は、じつは表向きで、外務省機密費から官邸に「上納」しているとの疑惑がもたれています。

 



官房機密費の使途明細 共産、入手文書公表

会見する共産党の志位委員長
資料を示しながら、会見する共産党の志位委員長=12日午後、東京・永田町で

帳簿の一部
共産党が公表した帳簿の一部

 共産党の志位和夫委員長は12日、衆院議員会館で記者会見し、衆院議員を辞職した加藤紘一氏が宮沢内閣の官房長官だった当時に使っていた官房機密費の使途明細などとする文書を公表した。支出総額は1億4386万円で、与野党の議員に対する背広代など国会対策費に3574万円、政治家らのパーティー券購入に3028万円が使われたとされる。文書が事実であれば、これまで公開されたことのない機密費の使途の一端が明らかになったことになる。

 共産党が公表した文書は、(1)金銭出納帳(2)月別の収入・支出表(3)支出目的別の分類表の3点で、91年11月から92年12月の1年2カ月分の記録。(1)は市販のノートが使われているが、(2)(3)は欄外に「内閣」の文字がある。志位氏は文書の提供者や提供時期は明らかにしなかった。文書では、与野党の政治家や官僚らの名前が記載されている。

 文書によると、収入総額は1億4384万円で、ほぼ全額が「長官より」とされ、1件の例外を除き、100万円単位で入金されていた。

 支出項目で一番多かったのが国会対策費。当時、野党だった公明、民社両党議員に対する高級紳士服専門店の背広などの贈答も記載されている。パーティー券の購入は大半が自民党議員を対象としているが、社会党議員の名前も見られ、野党対策の側面をうかがわせる。購入額は1人当たり3万円から300万円まで幅がある。

 このほか、毎月10日前後に「長官室手当」「秘書官室手当」の名目で計1662万円の支出がある。共産党は官房長官室の職員や秘書官に対する、正規の給与に上乗せした「ヤミ給与」の疑いがあると指摘している。

 当時の機密費は年間約15億5000万円で、少なくとも約1割がこうした経費に充てられていたことになる。

 92年4月28日の項目には、「餞別(せんべつ) 綿貫100小泉、熊谷50」の記載がある。共産党の調べでは、自民党の綿貫民輔幹事長(現衆院議長)、小泉純一郎副幹事長(現首相)、熊谷弘副幹事長(現民主党国対委員長)が翌日から東欧訪問に出発している。小泉首相は訪問先の中国で記者団に対し、「大臣経験者が人からもらうかね。10年前のことは覚えてないね」と語った。

 共産党の会見を受け、加藤氏の事務所は「政府は官房機密費の具体的な使途は、一貫して公表していない。今回の指摘にもコメントは差し控える」との談話を出した。福田康夫官房長官は記者会見で「どこから出てきたのか、誰から入手したのか、一切明らかにされていない。資料が本物かどうかを含め、お答えしようがない」と述べた。ただ、少なくとも現在は機密費をパーティー券の購入や餞別に使っていないことを明言、「長官室手当」も存在しないと説明した。

 文書の信憑性(しんぴょうせい)について共産党は、出納帳に記載された収入、支出の状況を個別に点検し、パーティーの開催日や香典を送った葬儀の日付などが正しかったとして、公表に踏み切ったとしている。(21:26)


官房機密費、与野党議員に支出・共産党が資料公表
 共産党は12日、宮沢喜一内閣時代に加藤紘一官房長官(当時)が使っていた官房機密費(報償費)を記録した内部文書とみられる資料を公表した。1991年11月から92年12月までに約1億4000万円が使われ、「国会対策費」などの名目で与野党の国会議員らに支出されていたことが支出先を含めて明記されている。文書が実際の記録なら機密費のあり方が問われよう。

 資料は市販のノートを使った「金銭出納帳」と内閣用箋(ようせん)に記された「月別の収入・支出表」「目的別分類表」の三種類でいずれも写し。志位和夫委員長は12日の記者会見で「ある人物から提供された」と語った。

 機密費の総額は収入1億4384万円、支出1億4386万円。支出の内訳をみると、「国会対策費」(3574万円)として海部俊樹元首相ら当時の自民党幹部や、野党だった公明、民社両党幹部の名前が明記されている。高級紳士服店の店名も記載されており、志位氏は「高級服を仕立てて贈ることが国会対策として広く行われていた」と指摘した。(日経)



機密費使途文書、与野党に困惑広がる
 共産党が12日、内閣官房機密費の使途に関する文書を公表したことで、与野党には「なぜ10年前の文書が今ごろ出てくるのか」(自民党閣僚経験者)と困惑が広がっている。自民党は「これが機密費の会計帳簿である証拠もない」との党見解を発表したが、機密費問題は後半国会の火種として浮上しそうだ。

 公明党の冬柴鉄三幹事長は「どういう趣旨か分からないし、どういう性格かも分からない」と強調。保守党の二階俊博幹事長も「入手経路や信ぴょう性が不明だ」と疑問を投げかけた。当時、官房長官だった加藤紘一氏の事務所は「政府は機密費の使途について一貫して公表していないと思う。コメントは差し控えたい」としている。党幹部らの名前が挙がった野党側の反応は複雑だ。民主党の菅直人幹事長は「共産党もこれだけ出す以上は確信があるのだろう」としながらも、同党議員の名前も明記された点に関しては「リストそのものの性格がはっきりしない」と明言を避けた。(日経)



官房長官、真偽不明と確認避ける
 福田康夫官房長官は12日の記者会見で、官房機密費の使途を記したとみられる内部文書が明らかになったことについて「なかなか答えにくい。誰が資料を作ったのか、真偽がどうなのか一切分からず、お答えしようがない」と述べ、資料が実態を表しているかどうかの確認を避けた。

 資料に官邸職員らへの手当が含まれている点に関しては「よく分からないが。いま現在は手当はないと思う」と表明。政治家のパーティー券購入や餞別への支出についても「ちょっと(適正な使途と)違う」と指摘し、現在はそうした支出はないと言明した。過去にさかのぼった調査に関しては「文書保管の規定で10年前のは(資料が)ないのではないか」と否定的な見解を表明。今後の機密費の使途公開についても「それは無理だ。使途を明らかにすることが国政上、外交上いろいろと支障をきたすことに理解をいただかないといけない」と強調した。(日経)






機密費文書は「個人の記録」…官房長官



 福田官房長官は12日の記者会見で、共産党が公表した宮沢内閣当時の官房機密費(内閣報償費)の使途に関する「内部文書」について、内容の真偽の確認は避けるとともに、「出納記録は個人のものでしょう。体裁から考えても、公式のものではない」と述べた。政府の公式文書ではなく、当時官房長官を務めた加藤紘一・元自民党幹事長の関係者が作成した私的文書である可能性を示唆したものだ。

 これに関連し、自民党小里グループの議員秘書は「文書の筆跡は、当時の加藤官房長官の関係者のものでほぼ間違いない」と語った。

 また、福田長官は会見で、機密費による国会議員のパーティー券購入やせんべつについて、「現在はそうした使われ方はしていない」と述べた。官邸職員の「ヤミ給与」と指摘された「官房長官室手当」についても、「現在はそういうものはない」と語った。

 一方、文書で支払先として名指しされた国会議員のうち、自民党の古賀誠・前幹事長は12日、「書いてある以上はもらっていたのではないかと思う」と述べ、加藤氏から50万円の資金提供を受けた事実を大筋で認めた。民主党の江田五月参院議員も「加藤氏がパーティー券購入などの形で協力してくれたことはある。私は記憶していないが、事務担当者は50万円(受け取った)との記憶がある」と述べた。

 ただ、中国訪問中の小泉首相は、自分に50万円が支出されたとの記載について、「10年前(のこと)は覚えてない」と記者団に述べた。また、他の大半の議員は「よく分からない」などと事実関係の確認を拒否した。

 官房機密費が「政界工作費」として使われていた実態を詳細に記したとされる文書の事実関係を認める議員が複数いたことで、今後、機密費の見直しを求める声が強まる可能性もある。

(読売4月13日01:53)


4月12日 22:13

官房機密費:野党の歯切れ悪く 菅氏「本物か判断できない」

 共産党が公表した内閣官房文書について、他の野党の反応も歯切れのいいものではなかった。

 民主党の菅直人幹事長は「興味深いものが書かれているが、本物かどうかこちらで結論が出せない。機密費は外務省分を含めると数十億円になる。全体の問題はもっとけたが大きいのではないか」と語った。同党幹部の名前が掲載されていることについても「資料の性格がはっきりしないので、はっきりするのを見たい」と述べるにとどめた。

 社民党の福島瑞穂幹事長は「機密費は最小限必要かもしれないが、項目を明らかにし、予算として見えるようやっていくべきだ。国対政治で機密費を使うのは間違っている」と語った。

 一方、政府首脳は「仮にあったとしても10年前。歴史上のことだ。今さら昔のことをほじくり返しても仕方がない」と語り、現政権とは直接の関連性はないことを強調した。

[毎日新聞4月12日] ( 2002-04-12-22:14 )



4月13日 2:40

官房機密費:出納帳に「小泉副幹事長」名 「覚えていない」

 【博鰲(ボアオ、中国・海南島)三岡昭博】小泉純一郎首相は12日、共産党が発表した文書に、首相が自民党副幹事長だった92年4月、50万円の餞別(せんべつ)を受けたとの記述があることについて説明した。「10年前のことは覚えてないけど、誰が私にくれたの? 私は10年前、もう大臣やっちゃってるでしょう。大臣経験者が人からもらうかね。あげることはあっても、もらうことはないと思うけどね。何でそんな話出てきたの。10年前、ひと昔だろ」と語った。滞在先のホテルで記者団の質問に答えた。

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-02:41 )



4月13日 1:34

官房機密費:主な目的別使途

◆共産党が公表した「官房機密費」の主な内訳◆

  支出目的       金額(万円)

国会対策費         3574

各種「手当て」       3170

政治家などの「パーティー」 3028

政治家、官僚らへの「餞別」 2043

ゴルフ代など「経費」    1298

香典費            243

お祝い            120

花代             113

見舞い・出張         103

結婚式             60

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-01:34 )



4月13日 1:34

官房機密費:マスコミ関係者の名前も記載

 共産党が12日公表した「金銭出納帳」には、マスコミ関係者が受け取った記載もあった。92年11月12日に香典として5万円の支出先とされたジャーナリストの田原総一朗氏は「その時期に妻の父が亡くなっており、以前から親交があった加藤氏から香典をいただいたのだと思う。個人の支出と思ったから受け取ったのであろうし、機密費から出ていたとすれば迷惑な話。返すことも考えたい」と語った。

 92年6月25日に「パーティー」の費目で10万円の支出先とされた岩見隆夫・毎日新聞特別顧問は「記載は、同僚などが実行委員会を作り開いてくれた日本記者クラブ賞受賞のパーティーだと思う。事務局を担当していただいた人の記憶では、会費は1万円で、それ以上の金額を出された方もいたようだが、10万円ものお祝いをいただいた覚えはないとのことです」と説明している。

 また、92年9月28日付で「9/26毎日新聞講演(収入50万円)」との記述がある。これは、同年9月26日、浦和市(現在のさいたま市)に加藤官房長官(当時)を招いて開いた「毎日新聞政経懇話会」(現在は毎日政経文化セミナーと改称)の講演料。同会は92年6月にスタート。各界の著名人らを講師に迎え、同県内の法人・個人会員、募集した読者らを対象に毎月1回、講演を開催している。

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-01:36 )



4月13日 2:19

官房機密費:「与野党のなれ合い」克明に

 「首相の裏金」と言われ、長くベールに包まれてきた官房機密費の一端が12日、共産党が公表した「内部資料」で明らかになった。資料からうかがえるのは、カネが介在した露骨な「与野党なれ合い政治」だ。「政治とカネ」が大きな焦点になっている今国会。自民党をはじめ、公明、民主、社民党など無関係ではいられない各党は、今後、国民の厳しい視線にどう応えていくのか。

 共産党が公表した資料は、「内閣用箋」と記された支出目的別の分類表も含まれている。

 このうち、「国会対策費」は17件。共産党によると、原本には計2521万円と記されているが、集計ミスとみられ、同党の集計では3574万円となる。与野党の政治家に贈ったとみられる「背広仕立て代金」などがに記されている。

 主なものでは、当時公明党の参院議員団長だった黒柳明氏の背広代に100万円(91年11月26日)、当時、同党選対副委員長だった鶴岡洋参院議員会長ら3幹部の背広代として160万5000円(同14日)との記載がある。

 91年11月27日は衆院国際平和協力特別委員会で自民党が公明党の協力ほ得て、PKO法案を採決した日にあたる。このため、共産党は「高級服を贈るのは、法案に賛成してもらうための懐柔策だ」と指摘。「この高級服を贈る方法は『国会対策』として広く行われていたことは以前から指摘されてきた。今回の資料が官房機密費の会計記録の一部であることを裏付けるものだ」と説明している。これに対し、鶴岡氏は「身に覚えのない話だ。そんな事実はない」と否定している。

 このほか目立つのは当時の宮沢派議員への支出。政権派閥が「カネ」の面でも優遇されている疑念を抱かせている。

 また、91年12月下旬に、自民党の河本敏夫・元副総理(故人)や、海部俊樹・前首相に300万ずつを支払ったことを示す記述もあった。共産党は、88年12月にリクルート疑惑で蔵相辞任に追い込まれた宮沢喜一氏が、3年後に首相となった背景として「海部氏の首相続投断念と、自民党総裁選で河本派が竹下派とともに宮沢氏を支持したことがあった」との見方を示した。

 支出目的別の資料の中で「パーティー」に分類されているのは77件、計3028万円が支出された。「励ます会」「出版記念」などの名目で開かれた政治家のパーティー券購入や寸志に充てられたものとみられ、自民党議員だけでなく野党議員にも支払われたことが記されている。共産党は「77人中13人の政治家のパーティー開催日が支出日と符合していることが検証された」と説明。パーティー券購入は「政治家への政治資金のばらまきだ」と批判した。

 最も高額だったのは自民党の久世公尭参院議員と楢崎泰昌前参院議員に対する300万円。野党でも民主党の中野寛成副代表(当時民社党政審会長)に50万円を支出した記載があるほか、当時、社会党の若手議員が結成していたグループ「ニューウェーブの会」にも100万円を払ったとの記録があった。中野氏の事務所では「覚えていないが調査したい」とコメントした。

 一方、「餞別」に分類されたのは20件で総額2043万円。自民党幹部や官僚、官邸警護官など多岐にわたる。共産党によると、当時の官職を特定できた5人への餞別が、すべて異動日と符合していた。このうち「餞別 綿貫100、小泉、熊谷50」と記され、200万円が支出された92年4月28日の翌日には自民党の綿貫民輔幹事長(現衆院議長)が小泉純一郎副幹事長(現首相)、熊谷弘副幹事長(現民主党国対委員長)とともに、自民党としての東欧諸国訪問に出発している。

 また、「香典」は21件で総額243万円のうち、共産党が新聞各紙に掲載された訃報(ふほう)によって特定できたのが9件。その他に同党として事実関係が確認できたものとして、「長官地元入り経費」で245万円が支出された92年8月29、30両日、加藤氏は「後援会会合のため」、官房長官就任後、初めて地元の山形県鶴岡市に帰っている。ゴルフ場名が記載され44万円が支出された同年5月24日、自民党執行部を招いた「接待ゴルフ」が茅ケ崎市のスリーハンドレッドで行われている。公私混同の批判も出そうだ。

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-02:19 )




4月13日 2:19
官房機密費:選挙対策や外交工作の全容分からず

 今回の資料(金銭出納帳)は、首相官邸が札束の行き交う国会対策の中心になっている実態をうかがわせた。だが、資料で判明した総額は、当時の官房機密費予算の1割に満たず、選挙対策や外交工作といった全容は依然ベールに包まれている。外務省の外交機密費から年間20億円も官邸に上納されていた不明朗なカネの流れも明らかになっていない。

 公表資料の支出責任者は、当時の宮沢内閣の官房長官で、先に議員辞職した加藤紘一氏だ。共産党幹部の一人は「加藤氏の証人喚問に備え、加藤マネーの動きを調べていた」と今回の経緯を説明する。

 このため、与党内からは「官邸ではなく、加藤事務所が作った出納帳ではないか」との見方が出ているが、官房機密費が、スーツやワイシャツの仕立券に形を変え、時には現金のまま、国会運営に影響力のある与野党議員に配られているという証言は、今までもあった。今回、その一端を示す文書が表に出てきた意味は大きい。

 ただ、資料によれば、国会対策や餞別(せんべつ)、パーティー券購入などの他の支出を見ると、民間での慶弔費に相当する項目が多い。しかも、該当する時期の官房機密費は、決算ベースで91年度=15億7989万円、92年度=15億5910万円に上る。

 この期間、自民党は参院選挙で議席を伸ばした。国会はPKO(国連平和維持活動)法案や政治改革法案で激動し、当時の竹下派の分裂も起きた。「水面下では、もっと激しい政界工作が繰り広げられていたのではないか」との証言もある。

 政府は、官房機密費では工作費が足りないため、外交機密費の上納を慣行化していたことが、すでに毎日新聞などの調査で明らかになっている。以前、共産党が公表した官邸の内部文書は、89年度までの「上納」実績を明記していた。今回の資料は、その2年後のものだが、30億円以上もの巨額なカネがどう使われたのか闇の中だ。 【伊藤智永】

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-02:19 )



4月13日 2:19
官房機密費とは?:02年度予算で14億6000万円

 正式名称は「内閣官房報償費」。官房長官が取扱責任者で、「国政への寄与」などを名目に支出される。会計検査院に対する使途の証明が免除されており、首相や官房長官が領収書なしでほぼ無条件に使えるとされる。国会議員の海外旅行のせんべつや会食費のほか、野党に対する国会対策費に使われているとの指摘が絶えなかった。首相の海外出張経費として支出された官房機密費を外務省の元室長が私的に流用していた事件で、改めて不透明さが浮き彫りになった。02年度予算では、約14億6000万円が計上されている。

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-02:19 )



4月13日 2:22
官房機密費:自民は黙殺 公明「私的メモ」 与党、否定に躍起

 共産党が公表した文書に関し、一部関係者が金銭授受を認めているが、自民党は「資料の入手先などは一切明らかにしていない。会計帳簿である証拠もない。事実関係が不明である以上、コメントすべきことはない」との談話を発表、黙殺する構えでいる。「自民党に懐柔された」と指摘された公明党も「私的なメモのようなもの」(幹部)と打ち消しに躍起だ。

 与党の空気は「仮にあったとしても10年前。歴史上のことだ。今さら昔のことをほじくり返しても仕方がない」という政府首脳の言葉に代表されている。これまでも官房機密費の使い道は明らかにしておらず、政府・与党は今後も同様にしのぐ方針でいるが、世論の批判は高まりそうだ。

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-02:24 )



4月13日 10:19

官房機密費:民主・江田氏 50万円受領認める

 共産党が、91年11月から92年12月までの官房機密費の収支の一部として「金銭出納帳」と題する文書を公表したことについて、パーティーへの50万円の支出の記載がある江田五月民主党参院議員(当時社民連)は12日夜、これを認めるコメントを発表した。この中で「(当時官房長官の)加藤(紘一)氏がパーティー券購入かお祝いかの形で、協力してくれたことはあると思う。担当者は50万円との記憶がある」としている。

[毎日新聞4月13日] ( 2002-04-13-10:19 )



「他の長官時代も調査必要」 官房機密費で鳩山民主代表

 民主党の鳩山由紀夫代表は13日、徳島県知事選の応援で訪れた徳島市内で記者会見し、共産党が公表した加藤紘一氏が官房長官だった当時の官房機密費の使途明細とされる文書について、「様々な方の国会での意見開陳を求めていきたい。官房長官経験者は現閣僚の中にも数名おられるし、そうした方からもきちんと聞くことが必要だ」と述べ、国会で追及する考えを明らかにした。 鳩山代表は「文書はそれなりに信ぴょう性があると思う。機密費としては、(背広代など)みじめな金の使い方だ」と批判した。(朝日12:01)


日本共産党

2002年4月16日(火)「しんぶん赤旗」

信頼性が裏付けられつつある

筆坂書記局長代行が会見で指摘

機密費文書


 日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は十五日、国会内で定例の記者会見を行いました。

 筆坂氏は、志位和夫委員長が十二日に公表した、官房機密費の詳細な使途を記した内部文書について、テレビ番組で評論家の田原総一朗氏が義父の葬儀で香典が送られていたことを明かすなど、「ますます信頼性が裏付けられつつある」と指摘しました。

 同文書の公表にあたって、小泉純一郎首相にたいし、(1)機密費の使用実態の公開(2)今後党略的・私的流用を行わないこと(3)「上納」問題の解明―の三点を提起したことを踏まえ、直接の面会を申し入れているが、回答がないことを明らかにし、「(政府は)官邸にかけられた重大な疑惑について、コメントもせず、調べる気もない。ひたすら逃げるというのでは許されない」と強調しました。

 筆坂氏は、野党のなかでも民主党の鳩山由紀夫代表が機密費の「上納」問題の解明の必要性に言及し、社民党の福島瑞穂幹事長も日本共産党が発表した内部文書について「信ぴょう性がある」と発言していることを指摘。

 機密費問題については、成立した二〇〇二年度予算の審議において、四野党が共同でおこなった組み替え要求で、「上納」問題を含めて徹底的に解明することが野党の合意事項にもなっていることをあげ、「今後、他の野党三党にも機密費問題の究明を提起していきたい」と述べました。

 また、十六日に閣議決定が予定されている有事法制関連法案について、今後、党内に闘争本部を設置し、国会論戦でも特別のチームを立ち上げ、阻止のたたかいを強める決意を述べました。

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テレビ朝日系「スクランブル」でも…機密費文書「これはホンモノ」



日本共産党

2002年4月16日(火)「しんぶん赤旗」

官房機密費

「この通り、本当だよ」

二見 当時・公明党政審会長 が認める


 二見伸明・自由党前衆院議員は十五日夕放映のTBS系「ニュースの森」のインタビューで、志位委員長が公表した機密費文書に関し、「英国屋(権藤、二見、鶴岡)一、六〇五、〇〇〇」(=百六十万五千円、九一年十一月十四日)の記載について、「もらったのもこの通り、本当だよ」と改めて認めました。当時、二見氏は公明党政策審議会長でした。

 二見氏はその経過について、加藤紘一氏の内閣官房長官就任祝いをやった後に、「議員会館に加藤官房長官の使いがきて、このあいだのお礼だといってもってきた。機密費を使ったと言ってくれれば、それなら返そう、ポケットマネーならありがとう」とのべました。

 



日本共産党

2002年4月16日(火)「しんぶん赤旗」

「メガトン級の衝撃」

機密費文書 不正流用の実態解明を

テレビ朝日系番組 筆坂書記局長代行が主張


 「混乱続きの政界にメガトン級の衝撃が走っている。共産党が、官房機密費の出納帳だといわれる文書を公表した」―十四日放送のテレビ朝日系「サンデー・プロジェクト」で、司会者が日本共産党の公表した「機密費文書」の衝撃の大きさをこう伝えました。番組では、この問題をめぐって各党代表が討論、日本共産党は筆坂秀世書記局長代行が参加しました。

 同文書は、加藤紘一前衆院議員が官房長官を務めていた当時の官房機密費の使途を示すもの。

 筆坂氏は公表した理由について、「これで名前の出た個々人の責任を問うということではない。これを受け取った人は機密費かどうか分かりっこない人もいる」とのべた上で、「官房機密費は税金であるにもかかわらず、不正な流用がされていた。与野党が実態を解明する立場に立つべきだ」とのべました。

田原氏 「加藤紘一」名で5万円

 司会の田原総一朗氏は、文書に同氏への「香典五万円」と記載されていたことにふれ、「加藤紘一」「五万円」と書かれた香典袋を示して、義父が亡くなった際、加藤氏側から香典をおくられた事実を紹介しました。

 民主党の菅直人幹事長は「江田五月参院議員もパーティーをしたときに、加藤氏から祝儀がきたことをスタッフが覚えている。それが機密費かどうかは分からないが、(公表文書と事実が)符合している所が多いので、それなりの信ぴょう性がある」とのべました。

 筆坂氏は、何人もの政治家が加藤氏側からの金品の受け取りを認めていることをあげ、「加藤事務所のコメント(別項)がふるっている。『政府は官房機密費の使途について、一貫して公表していない。従ってコメントを控える』。つまり、これが機密費だということを認めている」と指摘しました。

朝日編集委員 「原資は機密費」

 朝日新聞編集委員の星浩氏は、文書の信ぴょう性について「加藤氏が毎月数百万円ずつ入金していることは、この原資は明らかに官房機密費だと思う。信ぴょう性は90%の確率でほぼ現物だ」とのべました。

 公明党の冬柴鉄三幹事長は、同文書に、同党議員に対して背広代の負担などが記載されていたことについて、「そんなものはもらっていない」と全面否定。しかし、筆坂氏が「政審会長を務めた二見(伸明前衆院議員、当時公明党)さんも認めている」と指摘すると、「二見さんはいまよそ(自由党)の人だ」とのべたものの、「彼は再選したときに、加藤さんからお祝いをいただいた。お祝い返しをした。それに対して、加藤さんから、背広の生地をもらった」とのべ、加藤氏側からの提供があったことを認める羽目に陥りました。

 番組では、宇野内閣の官房長官を務めた塩川正十郎・現財務相が昨年一月に同番組の取材に答え、「(機密費を)野党対策に使っていることは事実だ」「現ナマでやるのと、一席の代をこっちが負担するとか、いろいろある」「だいたい百万円単位で袋に入れてある」とのべたことを紹介。番組のナレーターが「公表された文書と驚くほどの一致」と指摘しました。

 これに対し、与党側は、「宇野内閣は二カ月で終わった。野党対策をしていたら、もうちょっと持っていたんじゃないの」(保守党・野田毅党首)、「二カ月の宇野内閣の官房長官で、こんなことがいえるのか」(公明党・冬柴鉄三幹事長)と、塩川氏の発言を否定するのに躍起。田原氏から「そんないいかげんな人を財務大臣にしていいのか」と突っ込まれると、山崎氏は「過去のことは分からない」というのがやっとでした。

 官房機密費がパーティー券購入やせんべつなどに党略的に流用されていることについて、山崎氏は「あるとすれば、趣旨に反する」とのべざるをえませんでした。

「上納」と同じ内閣用箋

 外交機密費の官邸への「上納」疑惑について、筆坂氏は、公表文書で出納帳の整理が内閣の用箋(ようせん)に書かれていることを指摘。日本共産党が昨年二月に公表した「上納」の実態を記載した内閣官房の内部文書も同じ用箋に書かれていたことをあげ、「上納を裏付ける文書と今回の文書がまったく同じ便せんに書かれているということからいっても、上納疑惑はいっそう深まった」と強調しました。

 筆坂氏は「われわれは、機密費がゼロでいいとは思わない。しかし、いま出ているものは、出すのが恥ずかしいから、機密にしているような中身だ」とのべ、全容解明とともに、機密費をチェックし、原則的に公開する制度を考えるべきだと主張しました。

 菅氏は「当然、表に出していい種類のものは、機密費からはずすべきだ」と主張。自由党の藤井裕久幹事長は、機密費流用について「趣旨に反する」と批判。社民党の福島瑞穂幹事長は「国会対策費として機密費を使うことは政治をゆがめる」とのべました。


 機密費文書にたいする加藤紘一事務所のコメント全文(十二日) 「政府は官房機密費の具体的な使途について、一貫して公表していないと思います。従って、今回の指摘につきましてもコメントは差し控えさせていただきたいと思います。」



機密費文書94年に「赤旗」既報、山崎氏が批判

 共産党が公表した官房機密費に関する「内部文書」と同じ文書の一部が1994年9月に同党機関紙ですでに報じられていたことが15日、わかった。公明党の冬柴幹事長が同日、明らかにした。自民党の山崎幹事長は記者会見で、「今ごろ何らかの意図をもって二番煎じ的に出されたということだ。共産党の真意はわからない。機密費(に関する文書)ではない。意味不明の文書だ」と共産党の対応を批判した。文書に記載されたカネが機密費であることに疑問を呈するとともに、7年以上も以前に入手した資料を最近手に入れたかのようにして発表したとして問題視したものだ。

 これに対し、共産党の筆坂秀世書記局長代行は15日の記者会見で、「内容は一緒で、(当時の記事を)見る限りは同じ帳簿だ」と認めた。さらに、「(文書を)我々が知り得たのはもっと後で、赤旗に出たことを全部知っている訳ではない。官房機密費という名前が出てくるようになったのは最近だ」と説明した。

 94年9月5日付け「赤旗」は、1面トップで「自民党役員の実力者が、宮沢内閣の閣僚当時に公明党などの野党有力議員の背広代を払っていた。実力者側近の出金メモから判明した」などと報じている。国会議員の名前と金額などが書かれた手書きの文書も写真付きで掲載されている。

(読売4月15日23:14)

4月16日 19:16
官房機密費:
一部文書を機関紙で既報 全内容は初めてと志位氏


 共産党の志位和夫委員長は16日の記者会見で、12日に同党が「宮沢内閣当時の官房機密費の文書」として公表したものの一部が94年9月5月付の同党機関紙「赤旗」に掲載されていたことについて、「12日の会見でそういう経過を含めてきちんと明らかにしておけばよかった」と述べた。

 今回の公表に対しては、自民、公明両党から「二番せんじ」などと批判が出ている。志位氏は文書の入手経過に関連し、赤旗では94年当時、「内閣官房機密費との認識はなく、自民党首脳が自分の政治資金を他党幹部らにばらまいているという認識で報道した」と説明。そのうえで今年3月11日付「しんぶん赤旗」に再び文書の一部が掲載された時点で、「我々はこれを見て問題の重大性を知り、赤旗から資料を取り寄せ、全体の検討作業にとりかかった」と語った。

 与党側の批判に対しては「(文書の)全内容を発表したのは今回が初めてで、二番せんじでも何でもなく、文書の客観的な真実性はもはや動かない」と反論した。

[毎日新聞4月16日] ( 2002-04-16-19:17 )



日本共産党

2002年4月17日(水)「しんぶん赤旗」

志位委員長の記者会見


 日本共産党の志位和夫委員長が十六日、国会内で行った記者会見で、機密費問題にかんする発言(大要)と記者との一問一答は次の通りです。


 機密費の問題について、いくつかの点をのべたいと思います。

 十二日に、私が会見で公表した、機密費の詳細な使途を明らかにした内部文書は、たいへん大きな反響を呼び起こしています。

機密費にかんする文書の真実性は、いよいよ動かしがたいものに

写真
記者会見する志位委員長(右)と筆坂書記局長代行=16日、国会内

 私たちは、公表の段階で、すでに多角的な検証をおこない、その真実性は十分な根拠をもって裏付けられたとのべましたが、その後の全体の状況を見ますと、幾人もの方が、自分はたしかにもらっていたと証言されています。もちろん機密費とはわからずにもらっていたという方が多いわけですが、それは、そういう場合が多いだろうと私たちは予想していたことでした。受け取った側の証言がつぎつぎに出てきているというのが、たいへんに重要な注目される動きです。

 そういう反応とは別ですが、私がとりわけ注目した反応は、加藤紘一事務所のコメントです。「政府は官房機密費の具体的な使途について、一貫して公表していないと思います。したがって今回の指摘につきましてもコメントは差し控えさせていただきます」というコメントを出したのです。

 これはたいへん重要な当事者の発言です。すなわち、ここにいう「今回の指摘」というのは私たちがおこなった指摘です。これについてコメントを差し控える理由として、機密費について公表してはならないことになっているからだと言うことになりますと、加藤事務所、加藤氏ご本人の口から、あの文書は機密費に関する文書だということが、このコメントでは事実上出ているのです。私はこれはたいへん決定的なコメントだと思って読みました。

 このように、私たちが先日発表した機密費に関する文書の真実性は、いよいよ動かしがたいものになったと考えます。

無責任な政府の対応――「出所不明」ということで逃げることはできない

 これにたいする、政府の対応ですが、率直にいってたいへん責任のない対応をやっていると思います。

 首相の対応は「記憶にない」ということですまそうというものです。もちろん首相に、五十万円の「せん別」が渡ったということ自体の究明も必要なのだけれども、私が首相におこなった問題提起は、この五十万円の問題だけではなくて、ああいう党略的な私的な機密費の流用が現実にどのようにやられていたのか、きちんと調査をして、全容を明らかにすべきだということなのです。これはごまかしで避けて通れない問題です。

 福田官房長官の会見の様子を見ますと「出所不明なので、調査する考えはない」という一点張りですが、これもなりたたないことです。私たちは十分な根拠をしめしてあの文書を示しています。出所不明だから調べないというんですけれども、出所が明らかにできない性質だということは、私たちはかねがねいっています。その文書がどこから出たかにかかわりなく、文書それ自体によって、その客観的な真実性が十分証明されたと私たちは提起しているわけですから、「出所不明」ということによって、逃げることはできないと、いっておきたい。

首相には真実を調査し、公開する重大な責任がある

 この間、疑惑がかけられた場合には、自らの責任で国民に説明すべきだということを、首相も官房長官も繰り返し、鈴木さんのときも、加藤さんのときも、辻元さんのときも言いつづけてきたわけです。

 今度は首相官邸に深刻な疑惑がかけられているわけです。ああいう血税の党略的な私的な流用がやられていたという疑惑がかけられているわけです。

 これは十年前ということでは、すまされない。たとえば、その後の官房長官でも党略的な流用をおこなっていたという発言をしている方が、村山内閣の官房長官などいらっしゃいます。ですから連綿として続いている可能性があるわけです。その全容を明らかにしなかったら、この問題についての疑惑は晴れません。

 こうして、首相官邸そのものが疑惑の対象にされているのですから、疑惑がかかったら自ら責任をもって究明すべきという、これまでの発言からしても、自らきちんと真実を調査し、公開するべき重大な責任があるということを、重ねて言いたいと思います。

機密費文書の入手と、その扱いの経過について

 機密費文書の入手の経過について、いくつかの報道もあったので、この機会にのべておきたいと思います。

 第一に、「しんぶん赤旗」は、一九九四年九月までにこの文書を入手していたわけですが、当時は機密費であるという認識がなく、自民党の首脳部が自分の政治資金を他党にばらまいているという認識で、その主旨の報道を裏付ける文書として使ったというのが経過でした。機密費という国民の税金がこんな無法なやり方で使われているとは、夢にも思っていなかったというのが、九四年当時の報道の実情です。

 ですから、報道をみていただければわかるように、自民党の実力者が公明党、民社党、社会党の議員に金品をばらまいているということが書かれておりますが、その原資がどこであるかについては、言及されていません。

 このときの政治状況についていうと、日本共産党を除く「オール与党」体制が問題になり、なれ合い国会という問題が深刻だったのです。こういう時期だっただけに、どこにお金が渡ったかというところが注目点になって、それを裏付ける資料としてあの資料を使い、報道したのが当時の経過でした。

 第二に、機密費問題が国政の重大問題となるなかで、「しんぶん赤旗」編集局が最近この資料を改めて点検した。そして、機密費の資料であることを「しんぶん赤旗」編集局として確認して、三月十一日付の「しんぶん赤旗」で編集委員会の責任で報道した。機密費の資料という主旨で、この資料の部分的な報道をおこなったというのがつぎの経過でした。

 第三に、われわれはこれをみて、問題の重大性を知り、「しんぶん赤旗」編集局から資料の全体を取り寄せ、部分的な報道は中止させて、資料の真実性の検証など全体的な検討作業にとりかかりました。その検証作業を通じて、あの資料について真実性の確信をえたので、先(十二日)の発表に踏み切ったというのが、全体の経過です。

機密費文書としての全内容公表は初めて――「二番煎じ」というけちつけは通らない

 自民党の山崎拓幹事長などが、「今度の発表は二番煎(せん)じだ」と、この文書の真実性を弱め、否定するために、あれこれと発言しているようですが、この文書を機密費の文書だということをわれわれとして認識し、その根拠も示し、全内容を発表したのは今回が初めてのことです。「二番煎じ」でもなんでもない、まさに今回初めてそうした公表にいたったというのが経過です。

 その文書自体の客観的な真実性は、もはや動かないところにきていると思います。ですから、姑息(こそく)な、「二番煎じ」とかというけちつけをしないで、みずからきちんと調査し、真相を公表して、この政治悪をなくすという対応を、政府・与党がとるべきだと重ねていいたいと思います。

記者団との一問一答

 ――十二日の委員長の会見で経過をどうして説明しなかったのですか。

 志位 率直に言いまして、あの時の私たちの気持ちは、あの文書そのものの客観的な真実性を検証し、明らかにすることに集中し、その結果を明らかにすれば十分だろうという認識でおりました。しかし、いまからふりかえりますと、あの会見で経過も含めてきちんと明らかにしておけば良かったと考えています。

 ――公明党の冬柴幹事長は、九四年の「しんぶん赤旗」報道を根拠に、政治団体の出納簿じゃないかといっていますが。

 志位 九四年当時は、機密費と認識できなかったけれども、その後、機密費についての認識が深まったわけです。昨年から今年にかけて、いろいろな人が証言をしました。塩川正十郎さんとか、野坂浩賢さんなどの官房長官経験者の重大な証言もありました。それから国会での追及で新事実も明らかにされました。そういう経過のなかで認識が深まり、そういう目で見てみると、この文書は、あきらかに機密費の使途の詳細を示した文書だという認識に到達したわけです。だから、私たちの八年前の認識を根拠にして、ここ(九四年の記事)に機密費と書いていないから機密費ではないという議論は、およそ通用しない話です。

 それから、公明党がしきりに「個人の文書だろう」といいます。しかし、文書が個人的なものであるか、公的なものであるか、それが問題ではないのです。機密費の使い方として、ああいう乱脈と不正がおこなわれていたかどうかが問題なのです。この点では事実はすでに明りょうです。ですから、個人的なメモだから取るに足らないとか言う議論も通用する議論ではありません。