オバマの米国大統領就任演説

 (最新見直し2009.1.22日)

 (れんだいこのショートメッセージ)

 2009.1.22日 れんだいこ拝


【オバマの米国大統領就任式考】
Re::れんだいこのカンテラ時評521 れんだいこ 2009/01/22
 【オバマの米国大統領就任式考】
 
 2009.1.20日、米国の前上院議員にして大統領選に勝利していた民主党のバラク・オバマ(47)氏がワシントンの連邦議会議事堂前で大統領就任式に臨み、「奴隷解放の父」エイブラハム・リンカーン第16代米大統領が1861年の宣誓で使ったのと同じ聖書に左手を置き、「私、バラク・フセイン・オバマは、合衆国大統領の職務を誠実に遂行し、全力を尽くして合衆国憲法を維持、保護、擁護することを厳粛に誓う」と宣誓を行い、第44代米国大統領に就任した。これにより、米国史上初の黒人大統領が誕生した。副大統領には、ジョゼフ・バイデン前上院議員(66)が就任した。

 米国大統領は、就任式後に最初の大統領演説を行うのが恒例である。式典最大のヤマ場で、任期4年間の政権運営に向けた所信を表明し、国民を導く決意を示す。名演説として名高いのはゲティスバーグでの名文句「人民の人民による人民の為の政治」で知られる第16代のリンカーン、「自分が国家のために何ができるかを問いたまえ」と訴えた第35代のケネディらが有名。演説のうまさに定評があるオバマ大統領の就任演説も、どんな文句が飛び出すのか世界中から注目されていた。

 以下、「オバマの大統領就任演説(れんだいこ和訳文)」をサイトアップする。新聞各社の訳を転載すると著作権法違反だというそしりを気にせねばならぬので、れんだいこ訳を市場提供する。まことにケッタイナ時代になった。これは引用転載リンクフリーにしているので自由に使って欲しいと思う。

 オバマ演説を聴いてどういう感慨を持つかは各自の自由である。以下、れんだいこの感想を発信しておく。この草稿を、オバマ自身が書き上げたものかライターがいるのかどうかは分からない。文章がやや込み入っており、簡明さを売りにするオバマ文言としては異例の気がしないでもない。

 それはそれとしてはっきりしていることは、これが現代政治の最先端且つ最深部の識見だということであろう。さすがに米国は米国であって、ロシアは無論、他のどの諸国の指導者ももかような見識を示し得ない。遠く及ばないというべきか。これに匹敵するものがあるとすれば、れんだいこの知る限り日本の鬼才政治家・田中角栄の「1973.9月、新しい日本への道」であろう。角栄の面目躍如の感がある。その角栄は内外圧力で葬られて久しいが、米国が今、田中角栄政治の入り口に立とうとしている。実際にどうなるかは別にしてそう思えなくもない。

 それにしても、現代日本政治の貧相がかわいそうでならない。米国大統領は、大統領就任宣誓式で、「憲法に従い、誠実に任務を遂行する」を声明し署名する。つまり、法治主義を宣誓するしきたりになっている。こたびの米国大統領選と勝利したオバマの大統領就任式の経緯を見て得た収穫はこのことだった。これに比べて、日本の首相は、世界に冠たる名憲法をいただきながら軽んじ、否憲法改正を平然とのたまう。法治主義の国に於いては本来有り得てならないことが、平然と罷り通っていることになる。

 これを思えば、日本でもせめて首相就任式では、「第99条(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」を読み上げさせなければならぬ、そう思った。こらっ麻生、聞いとるか。お前はまぁたいしたことはないが、こらっ小泉、中曽根、手前は恥ずかしくないのか。爪の垢でも煎じて飲めとはこのことだ。

 ついでに云っておこ。こらっ読売、産経、憲法改正の旗を振るのは勝手だが、法治主義を理解せぬ者がいくら過激派学生を批判してもテロ退治をけしかけても資格がなかろうが。こらっ朝日、毎日、日経よ、日本の首相就任式ではなぜ憲法第99条宣誓しないのかぐらいは筆にしておけ。どいつもこいつも性根が腐っとる。インテリ云うても肩書きで云うとるだけで、本当にインテリかどうかは全く別問題だ、そういうことになる。

 2009.1.22日 れんだいこ拝

【オバマの大統領就任演説(和訳文)】
Re::れんだいこのカンテラ時評522 れんだいこ 2009/01/22
 【オバマの大統領就任演説(れんだいこ和訳文)】

 オバマ新大統領の就任演説全文は次の通り。

 REMARKS OF PRESIDENT BARACK OBAMA〈英語全文〉Inaugural Address Tuesday, January 20, 2009 Washington, D.C.

 親愛なる市民の皆さん。私は今日、私達の前にある職務に対して厳粛な気持ちを抱きながらここに立っています。あなた方から与えられた信頼に感謝し、我々の祖先が支払った犠牲を心に留めながら。私は、ブッシュ大統領の我が国への奉仕、並びに大統領がこの政権移行期間に示した寛容さと協力に感謝します。

 これで44人の米国人が大統領就任宣誓を行うことになりました。宣誓は、繁栄の隆盛期や平和で静かな時に行われたこともありました。しかし、しばしば暗雲が垂れこめる時や荒れ狂う嵐の時にも行われました。こうした折、米国は、指導者たちの技量や理念だけに頼ることなく、私達人民が祖先の理想に忠実で、建国の文言に正直であることによって乗り切って参りました。ずっとそうやって参りました。この世代の米国人も同様にしなければなりません。

 私達が危機の最中にいることは、今や誰もが知る通りです。私達の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争中です。経済はひどく弱体化しています。それは、一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、厳しい決断をし損ない、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果でもあります。

 家は失われ、職はなくなり、ビジネスは閉じられております。我々の健康保険制度は金がかかり過ぎております。学校は余りにも本来の役目をし損なっております。さらに、私達のエネルギーの消費の仕方が敵を強化し、私達の惑星を脅かしているという証拠が日増しに増え続けております。

 これらは、データと統計に基づく危機の指標です。予測は困難ですが、間違いなく深刻なのは、私達の国土に広がる自信の喪失です。米国の凋落(ちょうらく)は避けがたく、次の世代はうなだれて過ごさなければならないというぬぐいがたい恐怖に見舞われております。

 今日、私はあなた方に告げます。私達が直面している試練は現実のものです。試練は深刻で数多い。この試練は容易に又は短期間で対処できるものではありません。しかし、米国よ、わかって欲しい。これらの試練は対処されるのです。

 この日、私達は、恐怖ではなく希望を、紛争と不一致ではなく目的を一つにする為の選択をして集っております。この日、私達は、ささいな不満や偽りの約束、非難や言い古された定説を終わらせることを宣言致します。それらは、私達の政治をあまりにも長い間阻害して参りました。

 私達の国はなお若い。しかし、聖書の言葉には、子どもじみたことに幕を閉じる時が来るとあります。私達の忍耐に富んだ精神を再確認し、より良い歴史を選ぶ時が来ました。貴重な才能と、世代から世代へと引き継がれてきた尊い考えを発展させる時が来ました。それは、すべての人は平等で、自由で、あらゆる手段により幸福を追求する機会を授けられているという神の与え給うた約束のことです。

 私達の国の偉大さを再確認する時、私達は、偉大さが決して与えられたものではないことに気づきます。それは勝ち取らなければならないのです。私達の旅は、近道でも安易なものでもありませんでした。私達の行路には、仕事より娯楽を好み、富と名声の喜びだけを求めるような、邪悪な者のための道筋はありませんでした。むしろ、私達の旅には、危機に立ち向かう者、仕事をする者、生産者が居ました。それらの人々は、著名な人たちというより、しばしば無名の働く男女で、長い険しい道を繁栄と自由を目指して導いて参りました。

 私達のために、彼らは、わずかな荷物をまとめ、新たな生活を求めて大洋を旅して参りました。私達のために、彼らは額に汗してせっせと働き、西部に移住し、むち打ちに耐えながら、硬い大地を耕しました。私達のために、彼らは、(独立戦争の戦場の)コンコードや(南北戦争の)ゲティスバーグ、(第2次大戦の)ノルマンディーや(ベトナム戦争の)ケサンのような場所で戦い、命を落としました。

 しばしば、これらの男女は、私達がより良い生活を送れるように、手の皮がすりむけるまでもがき、犠牲になって働いてまいりました。彼らは米国を、個人の野望を合わせたものより大きく、生まれや富や党派の違いの全てを超越する偉大なものとみなしておりました。

 これが今日も我々が続けている旅なのです。私達は依然として地球上で最も繁栄し、力強い国で在り続けています。私達の労働者は、このたびの危機が始まった時と比べ生産性を低くしたわけではありません。精神は相変わらず創意に富んでおります。私達が生みだす物やサービスは先週や先月、昨年と同様相変わらず必要とされております。能力も衰えておりません。しかし、同じ手を用いるだけで、狭い利益にこだわり、面倒な決定を先送りしております。そんな時代は確実に終わったのです。今日から立ち上がり、私達はホコリを払って、米国再生の仕事に向かって着手しなければなりません。

 いたるところに為すべき仕事があります。経済状態は、大胆かつ迅速な行動を求めております。そして私達は、新規の仕事の創出のみならず、新たな成長の礎を整えるべく行動せねばなりません。道路や橋や電線やデジタル通信網の建設に向かうべきです。それらは、商業に役立ち私達を結び付けます。科学を本来あるべき地位に戻し、テクノロジーの威力を用いて医療の質を引き上げながら且つそのコストは減らさねばなりません。太陽、風や土壌を利用して自動車を動かし、工場を動かすべく向かわねばなりません。新時代の要請に合うよう学校や単科大、大学を変えていかねばなりません。私達はこれらすべてのことができるし、やって行くことになるでしょう。

 私達の抱負の大きさについて疑念を抱く人がいます。私達のシステムは余りにも多くの大きな計画に耐えられないと指摘する人達です。そういう人達は、この国が何を成し遂げたてきたかを忘れてしまっています。そういう人達は、想像力が共通の目的と出合った時、必要が勇気と結びついた時、自由な男女がいかほどのことを為し得るのかを忘れています。

 皮肉屋が理解し損なうのは、彼らがよって立つ地面が動いてしまっているということです。長い間、私達を虜にしてきた陳腐な政治議論はもはや通用しません。私達が今日問うべきことは、政府の大小ではありません。政府が機能するかどうかなのです。政府が、家族が人並みの給与の仕事を見つけたり、負担できる(医療)保険や、それなりの退職資金を手に入れることの助けになるかどうかなのです。

 答えがイエスの場合は、その施策を前進させます。ノーならば終わりとします。公金を管理する者は賢明適切に支出し、悪弊を改め、誰からも見えるようにガラス張り業務を行うのです。それによって初めて、国民と政府の間に生き生きとした信頼を回復できるのです。

 問うべきなのは、市場の良しあしではありません。富を作り自由を広げる市場の力に比肩するものはありません。しかし、このたびの危機は、監視がなければ市場が統制を失ってしまい、国家が豊かな者ばかりを優遇するようなことでは繁栄を長続きすることができないということを再確認させてくれました。経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、繁栄の広がりや、意欲のある人にどれだけ機会を広げられるかの能力にも関わっております。それらは慈善として為されるものではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としての拠りどころなのです。

 我々の共通の防衛についてですが、私達は、安全と理想とを天秤(てんびん)にかけるという誤った選択を拒否致します。建国の父たちは、私達の想像を超える危機に直面して、法の支配と人権を保障する憲章を起案しました。憲章は、何世代もの血の犠牲によって拡充されました。

 これらの理想は、今日でも世界を照らしており、私達は便宜主義的な都合で手放したりはしません。今日(の就任式を)見ている他国の国民や政府ら、巨大都市から私の父が生まれた小さな村までの人たちが、米国が、平和と尊厳の未来を求めるすべての国々、すべての男女と子供の友人であり、私達がもう一度、指導力を発揮していく用意があることを知っています。

 前の世代は、ファシズムや共産主義に対してミサイルや戦車だけではなく、強固な同盟と強い信念を持って対峙(たいじ)したことを思い出しましょう。彼らは、力だけでは守れず、好きに振る舞う資格を得たのではないことも理解していました。逆に、力は慎重に使うことで増すことを理解していました。私達の安全は、大義の正当性や模範を示す力、謙虚さ、自制心から生みだされるものなのです。

 私達は、この遺産の継承者です。こうした原則にもう一度導かれることで、私達は、一層の努力や、国家間の一層の協力や理解が求められる新たな脅威に立ち向かうことができるです。私達は、イラクをイラク国民に委ねる責任ある撤退、アフガニスタンに苦労しながらも平和を築くことを始めます。古くからの友やかっての敵とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化を食い止めるためたゆまず努力致します。

 私達は、私達の生き方について取り繕いしないし、それを守ることを躊躇(ちゅうちょ)しません。目的の推進を図る為にテロを引き起こし、罪のない人を虐殺する人々に対して告げます。私達の精神は今、より強固であり、壊すことはできないと。あなたがたは、私達より長く生き延びることはできません。私達は、あなたたちを打ち破ります。

 私達のつぎはぎ細工の遺産は強みであって、弱みではありません。私達は、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、それに神を信じない人による国家です。私達は、あらゆる言語や文化で形作られ、地球上のあらゆる場所から集まっています。私達には、南北戦争や人種隔離という苦い経験を味わっており、その暗い時代から抜け出て、より強くより団結するようになっています。私達は信じています。古くからある憎しみはいつかなくなり、民族を隔てる境界も消えることを。世界が小さくなる中で、私達に共通の人間愛が現れることになることを。米国が、新しい平和の時代に先駆ける役割を果たさねばならないことを。

 イスラム世界よ、私達は、相互理解と尊敬に基づく新しく進む道を模索します。紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする国々の指導者よ、人々は、あなた方が何を築けるかで判断するのであって、何を破壊するかで判断するのではないことを知るべきです。腐敗や欺瞞、さらには異議を唱える人を黙らせることで権力にしがみつく者よ、あなたたちは、歴史の誤った側にいます。私達は、あなた方が握ったこぶしを開くなら手をさしのべます。

 貧しい国の人々よ、私達は誓います。農場に作物が実り、きれいな水が流れ、飢えた体に栄養を与え、乾いた心を満たすため、共に取り組むことを。私達と同じように比較的満たされた国々よ、私達が国境の向こう側の苦悩にもはや無関心でおることや、影響を考慮せず世界の資源を消費することはできません。世界は既に変わったのです。故に、我々も世界と共に変わらなければなりません。

 私達の前に広がる道について考える時、私達は、今この瞬間にもはるかかなたの砂漠や遠くの山々をパトロールしている勇敢な米国人たちに、心からの感謝をもって思いをはせます。彼らは、アーリントン(国立墓地)に眠る英雄たちが時代を超えてささやくように、我々に語りかけています。私達は、彼らを誇りに思います。それは、彼らが我々の自由を守ってくれているからだけではなく、奉仕の精神、つまり自分自身よりも大きい何かの存在の意味を見いだす意思を体現しているからです。これこそが時代を決するこの時に、私達すべてが持たねばならない精神です。

 政府はやれること、やらなければならないことをやるが、詰まるところ、わが国がよって立つのはアメリカ国民の信念と決意に関わっております。堤防が決壊した時、見知らぬ人をも助ける親切心であり、友人が職を失うのを見て、傍観するのではなく自らの労働時間を削ってでも助け合おうとする労働者の無私無欲の心です。これにより暗黒の時を切り抜けることができます。煙に覆われた階段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の意思です。これが最終的に私達の運命を決めるのです。

 私達の挑戦は新しいものになるでしょう。私達がそれに立ち向かう手段も新しいものになるでしょう。しかし、私達の成功は、勤労や正直さ、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観にかかっています。これらは、昔から変わらぬ真実です。これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきました。

 必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることです。いま私達にに求められているのは、新しい責任の時代に入ることです。米国民一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることです。困難な任務に全力で立ち向かうことほど精神を満たし、人格を磨くことはありません。

 これが市民精神の真価であり約束なのです。これが我々の自信の源なのです。神が、我々に未知の運命を形作るよう命じている命題なのです。

 これが我々の自由と信条の意味なのです。なぜ、あらゆる人種や信条の男女、子どもたちが、この意義ある広場の至る所で祝典のため集えるのか。そして、なぜ60年足らず前なら地元のレストランで食事することを許されなかったかもしれない父親を持つ男が今、最も神聖な宣誓を行うためにあなた方の前に立つことができるのか。

 だから、この日を記憶に刻むことにしましょう。我々が誰なのか、どれほど長い旅をしてきたのかを。米国誕生の年、酷寒の中で、愛国者の小さな一団は、氷が覆う川の岸辺で、消えそうなたき火の傍らに身を寄せ合いました。首都は見捨てられました。敵は進軍してきました。雪は血で染まりました。私達の革命の結末が最も疑わしくなった時、私達の祖国の建国の父祖は、次の言葉を人々に読むよう命じました。

 「酷寒の中、希望と美徳しか生き残ることができない時、共通の脅威に気づいた町も田舎もそれに立ち向かうために進み出た、と未来の世界で語られるようにしよう」

 アメリカよ。私達自身が共通の脅威に直面している時に、私達自身の苦難の冬に、時を超えたこれらの言葉を思い出しましょう。希望と美徳を抱いて、この凍てつく流れに再び立ち向かい、どんな嵐が訪れようとも耐えましょう。

 そして、我々の子孫に言い伝えられるようにしようではありませんか。私達が試された時、旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなかったと。そして、地平線と神の慈しみをしっかりと見つめ、自由という偉大な贈り物を受け継ぎ、未来の世代に無事に届けた、と。ありがとう。神の祝福が皆さんにあらんことを。そして、神の祝福がアメリカ合衆国にあらんことを。

 2009.1.22日 れんだいこ拝

【オバマの大統領就任演説(和英対訳)】
 オバマ新大統領の就任演説全文は次の通り。
 REMARKS OF PRESIDENT BARACK OBAMA〈英語全文〉Inaugural Address Tuesday, January 20, 2009 Washington, D.C.

 My fellow citizens:

 I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors.

 I thank President Bush for his service to our nation, as well as the generosity and cooperation he has shown throughout this transition.

 市民の皆さん。私は今日、私達の前にある職務に対して厳粛な気持ちを抱きながらここに立っています。あなた方から与えられた信頼に感謝し、我々の祖先が支払った犠牲を心に留めながら。

 私は、ブッシュ大統領の我が国への奉仕、並びに大統領がこの政権移行期間に示した寛容さと協力に感謝します。

 Forty-four Americans have now taken the presidential oath.

 The words have been spoken during rising tides of prosperity and the still waters of peace.

 Yet, every so often the oath is taken amidst gathering clouds and raging storms.

 At these moments, America has carried on not simply because of the skill or vision of those in high office, but because We the People have remained faithful to the ideals of our forbearers, and true to our founding documents.
 

 So it has been. So it must be with this generation of Americans.

 これで44人の米国人が大統領就任宣誓を行うことになりました。宣誓は、繁栄の隆盛期や平和で静かな時に行われたこともありました。しかし、しばしば、暗雲が垂れこめるときや荒れ狂う嵐のときにも行われました。こうした時、米国は、指導者たちの技量や理念だけに頼ることなく、我々人民が祖先の理想に忠実で、建国の文言に正直であることによって乗り切って参りました。ずっとそうやって参りました。この世代の米国人も同様にしなければなりません。

 That we are in the midst of crisis is now well understood.

 Our nation is at war, against a far-reaching network of violence and hatred.

 Our economy is badly weakened, a consequence of greed and irresponsibility on the part of some, but also our collective failure to make hard choices and prepare the nation for a new age.

 Homes have been lost; jobs shed; businesses shuttered.

 Our health care is too costly; our schools fail too many; and each day brings further evidence that the ways we use energy strengthen our adversaries and threaten our planet.

 私達が危機の最中にいることは、今や誰もが知る通りです。私達の国家は、暴力と憎悪の広範なネットワークを相手に戦争中です。経済はひどく弱体化しています。それは、一部の者の強欲と無責任の結果であるだけでなく、厳しい決断をし損ない、国家を新しい時代に適合させそこなった我々全員の失敗の結果でもあります。

 家は失われ、職はなくなり、ビジネスは閉じられております。我々の健康保険制度は金がかかり過ぎます。学校は余りにも荒廃しています。さらに、我々のエネルギーの消費のしかたが我々の敵を強化し、我々の惑星を脅かしているという証拠が、日増しに増え続けております。

 These are the indicators of crisis, subject to data and statistics.

 Less measurable but no less profound is a sapping of confidence across our land - a nagging fear that America's decline is inevitable, and that the next generation must lower its sights.

 これらは、データと統計に基づく危機の指標です。予測は困難ですが、間違いなく深刻なのは、私達の国土に広がる自信の喪失です。米国の凋落(ちょうらく)は避けがたく、次の世代はうなだれて過ごさなければならないというぬぐいがたい恐怖です。

 Today I say to you that the challenges we face are real.

 They are serious and they are many.

 They will not be met easily or in a short span of time.

 But know this, America - they will be met.

 今日、私はあなた方に告げます。我々が直面している試練は現実のものです。試練は深刻で数多い。この試練は容易に又は短い期間で対処できるものではありません。しかし、米国よ、わかってほしい。これらの試練は対処されるでしょう。

 On this day, we gather because we have chosen hope over fear, unity of purpose over conflict and discord.

 On this day, we come to proclaim an end to the petty grievances and false promises, the recriminations and worn out dogmas, that for far too long have strangled our politics.

 この日、私達は、恐怖ではなく希望を、紛争と不一致ではなく目的を一つにする為の選択をして集っております。

 この日、私達は、ささいな不満や偽りの約束、非難や言い古された定説を終わらせることを宣言致します。それらは、私達の政治をあまりにも長い間阻害して参りました。

 2

 We remain a young nation, but in the words of Scripture, the time has come to set aside childish things.

 The time has come to reaffirm our enduring spirit; to choose our better history; to carry forward that precious gift, that noble idea, passed on from generation to generation: the God-given promise that all are equal, all are free, and all deserve a chance to pursue their full measure of happiness.

 私達はなお若い国家です。しかし、聖書の言葉には、子どもじみたことに幕を閉じる時が来るとあります。我々の忍耐に富んだ精神を再確認し、より良い歴史を選ぶ時が来ました。貴重な才能と、世代から世代へと引き継がれてきた尊い考えを発展させるときが来ました。それは、すべての人は平等で、自由で、あらゆる手段により幸福を追求する機会を授けられているという神の与え給うた約束のことです。

 In reaffirming the greatness of our nation, we understand that greatness is never a given.

 It must be earned.

 Our journey has never been one of short-cuts or settling for less.

 It has not been the path for the faint-hearted - for those who prefer leisure over work, or seek only the pleasures of riches and fame.

 Rather, it has been the risk-takers, the doers, the makers of things - some celebrated but more often men and women obscure in their labor, who have carried us up the long, rugged path towards prosperity and freedom.

 私達の国の偉大さを再確認する時、私達は、偉大さが決して与えられたものではないことに気づきます。それは勝ち取らなければならないのです。私達の旅は、近道でも安易なものでもありませんでした。私達の行路には、仕事より娯楽を好み、富と名声の喜びだけを求めるような、邪悪な者のための道筋はありませんでした。むしろ、私達の旅には、危機に立ち向かう者、仕事をする者、生産者が居ます。それらの人々は、著名な人たちというより、しばしば無名の働く男女で、長い険しい道を繁栄と自由を目指して導いて参りました。

 For us, they packed up their few worldly possessions and traveled across oceans in search of a new life.

 For us, they toiled in sweatshops and settled the West; endured the lash of the whip and plowed the hard earth.

 For us, they fought and died, in places like Concord and Gettysburg; Normandy and Khe Sahn.

 私達のために、彼らは、わずかな荷物をまとめ、新たな生活を求めて大洋を旅して参りました。

 私達のために、彼らは、額に汗してせっせと働き、西部に移住し、むち打ちに耐えながら、硬い大地を耕しました。

 私達のために、彼らは、(独立戦争の戦場の)コンコードや(南北戦争の)ゲティスバーグ、(第2次大戦の)ノルマンディーや(ベトナム戦争の)ケサンのような場所で戦い、命を落としました。

 Time and again these men and women struggled and sacrificed and worked till their hands were raw so that we might live a better life.

 They saw America as bigger than the sum of our individual ambitions; greater than all the differences of birth or wealth or faction.

 しばしば、これらの男女は、私達がより良い生活を送れるように、手の皮がすりむけるまでもがき、犠牲になって働いてまいりました。彼らは米国を、個人の野望を合わせたものより大きく、生まれや富や党派の違いの全てを超越する偉大なものとみなしておりました。

 This is the journey we continue today.

 We remain the most prosperous, powerful nation on Earth.

 Our workers are no less productive than when this crisis began.

  Our minds are no less inventive, our goods and services no less needed than they were last week or last month or last year.

 Our capacity remains undiminished.

 But our time of standing pat, of protecting narrow interests and putting off unpleasant decisions - that time has surely passed.

 Starting today, we must pick ourselves up, dust ourselves off, and begin again the work of remaking America.

 これが今日も我々が続けている旅なのです。私達は依然として地球上で最も繁栄し、力強い国で在り続けています。私達の労働者は、このたびの危機が始まった時と比べ生産性を低くしたわけではありません。精神は相変わらず創意に富んでおります。私達が生みだす物やサービスは先週や先月、昨年と同様相変わらず必要とされております。能力も衰えておりません。しかし、同じ手を用いるだけで、狭い利益にこだわり、面倒な決定を先送りしております。そんな時代は確実に終わったのです。今日から立ち上がり、私達はほこりを払って、米国再生の仕事に向かって着手しなければなりません。

 For everywhere we look, there is work to be done.

 The state of the economy calls for action, bold and swift, and we will act - not only to create new jobs, but to lay a new foundation for growth.

 We will build the roads and bridges, the electric grids and digital lines that feed our commerce and bind us together.

 We will restore science to its rightful place, and wield technology's wonders to raise health care's quality and lower its cost.

 We will harness the sun and the winds and the soil to fuel our cars and run our factories.

 And we will transform our schools and colleges and universities to meet the demands of a new age.

 All this we can do. And all this we will do.

 いたるところに為すべき仕事があります。経済状態は、大胆かつ迅速な行動を求めております。そして私達は、新規の仕事の創出のみならず、新たな成長の礎を整えるべく行動せねばなりません。道路や橋や電線やデジタル通信網の建設に向かうべきです。それらは、商業に役立ち私達を結び付けます。科学を本来あるべき地位に戻し、テクノロジーの威力を用いて医療の質を引き上げながら且つそのコストは減らさねばなりません。太陽、風や土壌を利用して自動車を動かし、工場を動かすべく向かわねばなりません。新時代の要請に合うよう学校や単科大、大学を変えていかねばなりません。私達はこれらすべてのことができるし、やって行くことになるでしょう。

 Now, there are some who question the scale of our ambitions - who suggest that our system cannot tolerate too many big plans.

 Their memories are short. For they have forgotten what this country has already done; what free men and women can achieve when imagination is joined to common purpose, and necessity to courage.

 私達の抱負の大きさについて疑念を抱く人がいます。私達のシステムは余りにも多くの大きな計画に耐えられないと指摘する人達です。というのは、彼らはこの国が何を成し遂げたてきたかを忘れてしまっています。そういう人達は、想像力が共通の目的と出合った時、必要が勇気と結びついた時、自由な男女がいかほどのことを為し得るのかを忘れています。

 What the cynics fail to understand is that the ground has shifted beneath them - that the stale political arguments that have consumed us for so long no longer apply.

 The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works - whether it helps families find jobs at a decent wage, care they can afford, a retirement that is dignified.

 Where the answer is yes, we intend to move forward. Where the answer is no, programs will end.

 And those of us who manage the public's dollars will be held to account - to spend wisely, reform bad habits, and do our business in the light of day - because only then can we restore the vital trust between a people and their government.

 皮肉屋が理解し損なうのは、彼らがよって立つ地面が動いてしまっているということです。長い間、私達を虜にしてきた陳腐な政治議論はもはや通用しません。私達が今日問うべきことは、政府の大小ではありません。政府が機能するかどうかなのです。政府が、家族が人並みの給与の仕事を見つけたり、負担できる(医療)保険や、それなりの退職資金を手に入れることの助けになるかどうかなのです。

 答えがイエスの場合は、その施策を前進させます。ノーならば終わりとします。公金を管理する者は賢明適切に支出し、悪弊を改め、誰からも見えるように業務を行うのです。それによって初めて、国民と政府の間に生き生きとした信頼を回復できるのです。

 Nor is the question before us whether the market is a force for good or ill.

 Its power to generate wealth and expand freedom is unmatched, but this crisis has reminded us that without a watchful eye, the market can spin out of control - and that a nation cannot prosper long when it favors only the prosperous.

 The success of our economy has always depended not just on the size of our Gross Domestic Product, but on the reach of our prosperity; on our ability to extend opportunity to every willing heart - not out of charity, but because it is the surest route to our common good.

 問うべきなのは、市場の良しあしではありません。富を作り自由を広げる市場の力に比肩するものはありません。しかし、このたびの危機は、監視がなければ市場が統制を失ってしまい、国家が豊かな者ばかりを優遇するようなことでは繁栄を長続きすることはできないということを再確認させてくれました。経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、繁栄の広がりや、意欲のある人にどれだけ機会を広げられるかの能力にも依存しております。それらは慈善として為されるものではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としての拠りどころなのです。

 As for our common defense, we reject as false the choice between our safety and our ideals.

 Our Founding Fathers, faced with perils we can scarcely imagine, drafted a charter to assure the rule of law and the rights of man, a charter expanded by the blood of generations.
 我々の共通の防衛についてですが、私達は、安全と理想とを天秤(てんびん)にかけるという誤った選択を拒否致します。建国の父たちは、私達の想像を超える危機に直面して、法の支配と人権を保障する憲章を起案しました。憲章は、何世代もの血の犠牲によって拡充されました。
 Those ideals still light the world, and we will not give them up for expedience's sake.

 And so to all other peoples and governments who are watching today, from the grandest capitals to the small village where my father was born: know that America is a friend of each nation and every man, woman, and child who seeks a future of peace and dignity, and that we are ready to lead once more.

 これらの理想は、今日でも世界を照らしており、私達は便宜主義的な都合で手放したりはしません。今日(の就任式を)見ている他国の国民や政府ら、巨大都市から私の父が生まれた小さな村までの人たちが、米国が、平和と尊厳の未来を求めるすべての国々、すべての男女と子供の友人であり、私達がもう一度、指導力を発揮していく用意があることを知っています。

 Recall that earlier generations faced down fascism and communism not just with missiles and tanks, but with sturdy alliances and enduring convictions.

 They understood that our power alone cannot protect us, nor does it entitle us to do as we please.

 Instead, they knew that our power grows through its prudent use; our security emanates from the justness of our cause, the force of our example, the tempering qualities of humility and restraint.

 前の世代は、ファシズムや共産主義と、ミサイルや戦車だけではなく、強固な同盟と強い信念を持って対峙(たいじ)したことを思い出しましょう。彼らは、力だけでは守れず、好きに振る舞う資格を得たのではないことも理解していました。代わりに、慎重に使うことで力が増すことを理解していました。私達の安全は、大義の正当性や模範を示す力、謙虚さ、自制心から生みだされるものなのです。

 We are the keepers of this legacy.

 Guided by these principles once more, we can meet those new threats that demand even greater effort - even greater cooperation and understanding between nations.

 We will begin to responsibly leave Iraq to its people, and forge a hard-earned peace in Afghanistan.

 With old friends and former foes, we will work tirelessly to lessen the nuclear threat, and roll back the specter of a warming planet.

 私達は、この遺産の継承者です。こうした原則にもう一度導かれることで、私達は、一層の努力や、国家間の一層の協力や理解が求められる新たな脅威に立ち向かうことができのです。私達は、イラクをイラク国民に委ねる責任ある撤退、アフガニスタンに苦労しながらも平和を築くことを始めます。古くからの友やかっての敵とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化を食い止めるためたゆまず努力致します。

 

 We will not apologize for our way of life, nor will we waver in its defense, and for those who seek to advance their aims by inducing terror and slaughtering innocents, we say to you now that our spirit is stronger and cannot be broken; you cannot outlast us, and we will defeat you.

 私達は、私達の生き方について言い訳しないし、それを守ることを躊躇(ちゅうちょ)しません。目的の推進を図る為にテロを引き起こし、罪のない人を虐殺する人々に対して、我々は告げます。私達の精神は今、より強固であり、壊すことはできないと。あなたがたは、我々より長く生き延びることはできません。私達は、あなたたちを打ち破ります。

 For we know that our patchwork heritage is a strength, not a weakness.

 We are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus - and non-believers.

 We are shaped by every language and culture, drawn from every end of this Earth; and because we have tasted the bitter swill of civil war and segregation, and emerged from that dark chapter stronger and more united, we cannot help but believe that the old hatreds shall someday pass; that the lines of tribe shall soon dissolve; that as the world grows smaller, our common humanity shall reveal itself; and that America must play its role in ushering in a new era of peace.

 私達のつぎはぎ細工の遺産は強みであって、弱みではありません。私達は、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒、それに神を信じない人による国家です。私達は、あらゆる言語や文化で形作られ、地球上のあらゆる場所から集まっています。私達には、南北戦争や人種隔離という苦い経験を味わっており、その暗い時代から出てきて、より強く、より団結するようになっています。私達は信じています。古くからある憎しみはいつかなくなり、民族を隔てる境界も消えることを。世界が小さくなる中で、私達に共通の人間愛が現れることになることを。米国が、新しい平和の時代に先駆ける役割を果たさねばならないことを。

 To the Muslim world, we seek a new way forward, based on mutual interest and mutual respect.

 To those leaders around the globe who seek to sow conflict, or blame their society's ills on the West - know that your people will judge you on what you can build, not what you destroy.

 To those who cling to power through corruption and deceit and the silencing of dissent, know that you are on the wrong side of history; but that we will extend a hand if you are willing to unclench your fist.

 イスラム世界よ、私達は、相互理解と尊敬に基づく新しく進む道を模索します。紛争の種をまいたり、自分たちの社会の問題を西洋のせいにしたりする国々の指導者よ、人々は、あなた方が何を築けるかで判断するのであって、何を破壊するかで判断するのではないことを知るべきです。腐敗や欺き、さらには異議を唱える人を黙らせることで、権力にしがみつく者よ、あなたたちは、歴史の誤った側にいます。私達は、あなた方が握ったこぶしを開くなら手をさしのべます。

 To the people of poor nations, we pledge to work alongside you to make your farms flourish and let clean waters flow; to nourish starved bodies and feed hungry minds.

 And to those nations like ours that enjoy relative plenty, we say we can no longer afford indifference to suffering outside our borders; nor can we consume the world's resources without regard to effect.

 For the world has changed, and we must change with it.

 貧しい国の人々よ、私達は誓います。農場に作物が実り、きれいな水が流れ、飢えた体に栄養を与え、乾いた心を満たすため、ともに取り組むことを。私達と同じように比較的満たされた国々よ、私達が国境の向こう側の苦悩にもはや無関心でおることや、影響を考慮せず世界の資源を消費することはできません。世界は既に変わったのです。故に、我々も世界と共に変わらなければなりません。

 As we consider the road that unfolds before us, we remember with humble gratitude those brave Americans who, at this very hour, patrol far-off deserts and distant mountains.

 They have something to tell us today, just as the fallen heroes who lie in Arlington whisper through the ages.

 We honor them not only because they are guardians of our liberty, but because they embody the spirit of service; a willingness to find meaning in something greater than themselves.

 And yet, at this moment - a moment that will define a generation - it is precisely this spirit that must inhabit us all.

 私達の前に広がる道について考える時、私達は、今この瞬間にもはるかかなたの砂漠や遠くの山々をパトロールしている勇敢な米国人たちに、心からの感謝をもって思いをはせます。彼らは、アーリントン(国立墓地)に眠る英雄たちが時代を超えてささやくように、我々に語りかけています。私達は、彼らを誇りに思います。それは、彼らが我々の自由を守ってくれているからだけではなく、奉仕の精神、つまり、自分自身よりも大きい何かの存在の意味を見いだす意思を体現しているからです。これこそが時代を決するこの時に、私達すべてが持たねばならない精神です。

 For as much as government can do and must do, it is ultimately the faith and determination of the American people upon which this nation relies.

 It is the kindness to take in a stranger when the levees break, the selflessness of workers who would rather cut their hours than see a friend lose their job which sees us through our darkest hours.

 It is the firefighter's courage to storm a stairway filled with smoke, but also a parent's willingness to nurture a child, that finally decides our fate.

 政府はやれること、やらなければならないことをやるが、詰まるところ、わが国がよって立つのはアメリカ国民の信念と決意に関わっております。堤防が決壊した時、見知らぬ人をも助ける親切心であり、友人が職を失うのを見て、傍観するのではなく自らの労働時間を削ってでも助け合おうとする労働者の無私無欲の心です。これにより暗黒の時を切り抜けることができます。煙に覆われた階段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の意思です。これが最終的に私達の運命を決めるのです。

 Our challenges may be new.

 The instruments with which we meet them may be new.

 But those values upon which our success depends - hard work and honesty, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism - these things are old.

 These things are true.

 They have been the quiet force of progress throughout our history.

 我々の挑戦は新しいものになるでしょう。我々がそれに立ち向かう手段も新しいものになるでしょう。しかし、私達の成功は、勤労や正直さ、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観にかかっています。これらは、昔から変わらぬ真実です。これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきました。

 What is demanded then is a return to these truths.

 What is required of us now is a new era of responsibility - a recognition, on the part of every American, that we have duties to ourselves, our nation, and the world, duties that we do not grudgingly accept but rather seize gladly, firm in the knowledge that there is nothing so satisfying to the spirit, so defining of our character, than giving our all to a difficult task.

 必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることです。いま私達にに求められているのは、新しい責任の時代に入ることです。米国民一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることです。困難な任務に全力で立ち向かうことほど精神を満たし、人格を磨くことはありません。

 This is the price and the promise of citizenship.

 This is the source of our confidence - the knowledge that God calls on us to shape an uncertain destiny.

 これが市民精神の真価であり約束なのです。これが我々の自信の源なのです。神が、我々に未知の運命を形作るよう命じている命題なのです。

 This is the meaning of our liberty and our creed - why men and women and children of every race and every faith can join in celebration across this magnificent mall, and why a man whose father less than sixty years ago might not have been served at a local restaurant can now stand before you to take a most sacred oath.

 これが我々の自由と信条の意味なのです。なぜ、あらゆる人種や信条の男女、子どもたちが、この意義ある広場の至る所で祝典のため集えるのか。そして、なぜ60年足らず前なら地元のレストランで食事することを許されなかったかもしれない父親を持つ男が今、最も神聖な宣誓を行うためにあなた方の前に立つことができるのか。

 

 So let us mark this day with remembrance, of who we are and how far we have traveled.

 In the year of America's birth, in the coldest of months, a small band of patriots huddled by dying campfires on the shores of an icy river.

 The capital was abandoned.

 The enemy was advancing.

 The snow was stained with blood.

 At a moment when the outcome of our revolution was most in doubt, the father of our nation ordered these words be read to the people:

 だから、この日を記憶に刻むことにしましょう。我々が誰なのか、どれほど長い旅をしてきたのかを。米国誕生の年、酷寒の中で、愛国者の小さな一団は、氷が覆う川の岸辺で、消えそうなたき火の傍らに身を寄せ合いました。首都は見捨てられました。敵は進軍してきました。雪は血で染まりました。私達の革命の結末が最も疑わしくなった時、私達の祖国の建国の父祖は、次の言葉を人々に読むよう命じました。

 "Let it be told to the future world...that in the depth of winter, when nothing but hope and virtue could survive...that the city and the country, alarmed at one common danger, came forth to meet [it]."

 「酷寒の中、希望と美徳しか生き残ることができない時、共通の脅威に気づいた町も田舎もそれに立ち向かうために進み出た、と未来の世界で語られるようにしよう」

 America. In the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words.

 With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come.

 Let it be said by our children's children that when we were tested we refused to let this journey end, that we did not turn back nor did we falter; and with eyes fixed on the horizon and God's grace upon us, we carried forth that great gift of freedom and delivered it safely to future generations.

 アメリカよ。私達自身が共通の脅威に直面している時に、我々自身の苦難の冬に、時を超えたこれらの言葉を思い出しましょう。希望と美徳を抱いて、この凍てつく流れに再び立ち向かい、どんな嵐が訪れようとも耐えましょう。

 そして、我々の子孫に言い伝えられるようにしようではありませんか。私達が試された時、旅を終わらせることを拒み、後戻りすることも、くじけることもなかった、と。そして、地平線と神の慈しみをしっかりと見つめ、自由という偉大な贈り物を受け継ぎ、未来の世代に無事に届けた、と。

 Thank you. God bless you and God bless the United States of America.

 ありがとう。神の祝福が皆さんにあらんことを。そして、神の祝福がアメリカ合衆国にあらんことを。


【オバマの大統領就任演説考】
Re::れんだいこのカンテラ時評523 れんだいこ 2009/01/23
 【オバマの大統領就任演説考】

 オバマの大統領就任演説をどう評するべきか、以下これを記しておく。個々の内容にコメントするのは深入りし過ぎで要点を見失う怖れがあるので、同演説に見て取れるオバマ大統領の政治姿勢、識見、政策について検証しておくことにする。

 結論から云えば、右顧左眄的な要領を得ない内容になっていることを指摘せざるを得ない。こういう場合の政治座標軸として有益なのは、本質的に守旧派なのか革新派なのか、タカ派なのかハト派なのか、右派なのか左派なのか、外治主義なのか内治主義なのか、国際派なのか民族派なのか等々であろうが、オバマ演説はいずれも両股天秤に掛けているところに特徴が認められる。

 現代世界の政治経済文化総体を動かしている国際金融資本帝国主義の行動計画アジェンダに対する立ち位置も重要な判定軸となるが、これに照らしてみても今ひとつはっきりしない。突出させた自由礼賛的言辞は、連中のイデオロギーと共通するフリーメーソン思想、イルミナティ思想を基調にしているように見えるが、他方で厳しくブッシュ的な過激主義に陥ることを戒めている。もっとうまくやるべきだとする観点からあれこれ言及しているようにも見えるが、ブッシュ政治批判を通じてフリーメーソン思想、イルミナティ思想の非を間接的に衝いているようにも聞こえる。

 アメリカ政治を評するもう一つの重要なファクターとして、国際金融資本勢力のアジェンダともまた違う、いわばもう一つのアメリカ即ち多様な価値と文化を認める人種のるつぼとしてのアメリカの建国精神を称揚せんとしている面も見受けられる。この観点から有色人種の社会的進出と人材登用にエールしている面もある。

 つまり結論として、オバマの大統領就任演説は、一筋縄で解けない様々な観点からの政治姿勢、識見、政策を散りばめているところに特徴があるということになる。従って、オバマの正体は未だよく見えない、就任演説では明らかにならないとすべきだろう。これが計算ずくの演出なのかジレンマに陥っているのかは分からない。

 米国国民は、オバマの就任演説に歓呼するより、なにやら高邁な教えを説かれた気がしているのではなかろうか。興奮の中の静寂で聞いたのではなかろうか。この訓戒が本物なのかトリッキーなものなのか追って見えて来るだろう。れんだいこは、米軍のイラクからの撤退スピード、派遣兵のアフガン横滑りに向かうのか否や、総じて軍事費の大幅削減に向かうのか否やで正体がはっきりすると思っている。

 その際、日本がどのように取り込まれ、肩代わりさせられるのか。これに自公民がこぞって向かうよう仕組まれているのは確かであろう。米国の軍事費削減、日本の更なる国際軍事貢献深のめりだけはご免とすべきだが、どうせマスコミがそういう風に誘導してくれるだろう。そういえば、海上自衛隊がまた派遣されるそうな。これを拙速とする声が聞こえない。そういう絡みで日本政治の動向にも目が放せない。とりあえず以上、感想を記しておく。

 2009.1.24日 れんだいこ拝

【「中核派のオバマ米大統領就任演説批判」】
 2009.1.22日付けの中核派ホームページにオバマ大統領就任演説評「オバマの米大統領就任演説を弾劾する!」がサイトアップされている。れんだいこは、評者の観点とは違うが、日本左派運動がこういう風にクイックリーに時評を出すべきだと思う観点から評価するので転載しておくことにする。

 2009年1月22日15:56

 オバマの米大統領就任演説を弾劾する!

 1月20日、オバマが米大統領就任式で行った演説は、オバマが労働者階級の完全な敵であり、労働運動の反革命的圧殺者として登場したことを示す許しがたいものだ。とりわけ決定的なのは、現在の大恐慌に対して労働者階級は「無私の精神」をもってアメリカ資本主義を救うために進んで犠牲になれ、と絶叫し、ワークシェアリングなどをその具体例として持ち出していることだ。以下、その部分を引用して暴露・弾劾する。

 オバマは演説の中で次のように言っている。
 「政府ができることはやらねばならないが、結局は、米国のよりどころは、国民の信念と決意である。それは、堤防決壊の時に見知らぬ人を助ける親切や、仲間が職を失うのを傍観するよりも自分の労働時間を減らすという労働者の無私の精神である。それは、煙が充満する階段を突進する消防士の勇気であり、そしてまた子どもを育てる親の意思である。それが、最終的にわれわれの運命を決定するのだ」

 オバマはここで、労働者階級に対して「無私の精神」を絶対的に、無条件に要求しているが、資本家階級には全く要求しない! まさにこれがワークシェアリングの本質だ。
 さらに、ここでオバマが引き合いに出している「堤防決壊の時に見知らぬ人を助ける親切」とは、ハリケーン・カトリーナに襲われた時のことだ。堤防決壊は、技術者の事前の警告を無視して公共予算をカットした結果だった。事後の救助も政府は切り捨て、むしろ暴力的に弾圧した。今、被災に乗じた公共住宅の取り壊し、都市再開発などが大問題になっている。これらを居直り、住民同士の「親切」=助け合いだけで解決しろということだ。
 「煙が充満する階段を突進する消防士の勇気」とは、9・11で破壊されたニューヨークの世界貿易センタービルでの救助活動のことだ。ここで有害物質を吸い込んで病気になるなどの労災にあった消防士への補償を消防士組合が要求しているが、無視されている。「無私の精神」でやるのだから補償などなくて当然ということであり、労災補償の破壊である。
 「子どもを育てる親の意思」という言葉も、すべては個人責任でやれ、というものだ。クリントン政権時に、1935年に制定されたAFDC(被扶養児童家族援助法)のシステムがドラスチックに改悪されて、「個人責任及び労働機会法」が作られた。仕事につけなかったり、まともな収入を得られなかったりすることが「個人責任」とされ、通算5年以上になると母子手当がカットされる。これをもっと徹底してやるという宣言だ。
 要するに、労働者階級は資本家階級を救うためにどんな犠牲も「喜んで」引き受けるべきだ、というのがオバマ演説の核心だ。オバマはこのことを、演説の最後で再度、次のように強調している。

 「今われわれに必要なことは、新たな責任の時代――一人ひとりのアメリカ人が自分自身に対して、わが国に対して、そして世界に対して義務を引き受けるということだ。いやいやではなく、喜んで引き受けるということだ。困難な任務に自分のすべてを捧げるほど、われわれの魂を満たすものはない」

 日帝ブルジョアジーと一切の体制内勢力は今や、このオバマ演説をこぞって礼賛し、「これに学べ」と叫んでいる。ふざけるな! オバマを怒りを込めて打倒し、プロレタリア世界革命に真一文字に突き進もう。


【太田龍・氏の分析】
 太田龍・氏は、「時事寸評」の2009.1.21日付け論考№2673「オバマ米大統領の登場。まぎれもないそれはファシズムだ、それは、ポストモダンファシズム以外の何物でもない」で次のように述べている。これを転載しておく。(編集替え責任れんだいこ)
オバマ米大統領の登場。まぎれもないそれはファシズムだ、それは、ポストモダンファシズム以外の何物でもない。   更新 平成21年01月21日00時13分
平成二十一年(二〇〇九年)一月二十日(月)(第二千六百七十三回)

○W・G・タープレイが「オバマ―危険な正体」(太田龍監訳、成甲書房)で 警告したように、ブッシュの警察的行政的官僚的監視国家的独裁体制を「ファシズム」と定義してはならない。ファシズムの第一前提は、下からラジカルな大衆運動、大衆動員であり、第二は、全国民団結のスローガンであり、第三は、指導者の熱烈な雄弁である。

○オバマ体制は、ファシズムのこの三つの基本的要件を充たしている。つまり、オバマ体制は、或る程度、情報に通じた人々にとっては、疑問の余地なく、タープレイの著作の示す如き意味での、ポストモダンファシスト時代を開幕した。まず、この事実を、今、日本民族有志は、認識しなければならない。

○この「ポストモダンファシズム」の本質的アジェンダは何か。それは、「グローバルファシズム体制」即ち、 ワンワールド、NWO、世界人間牧場=世界国家の実現を日程に上げることである。イルミナティサタニスト世界権力は、米国支配システムの中核として、第一次世界大戦後、CFR(外交問題評議会)を創設した。このCFRは、既に、二〇一〇年までに、北米(カナダ、米国、メキシコ)の統合と、その通貨としての「アメロ」を創設することを、米国議会と政府に命令した。

○「アメリカン・フリープレス」二〇〇九年一月十九日号は、アメロのコインのデザインが幾つか作られて居る、としてその中の一つのデザインを示している。それは、羽根を広げた鷲が北米の図の上に。ユニオン・オブ・ノース・アメリカ。20アメロ。とある。

○二〇一〇年と言えば、来年である。CFRの米議会に対する命令は、CFR上部機関である、三百人委員会の決定であるだろう。当時事寸評は、既に、何度か、CFRの二〇一〇年北米連合のアジェンダについて説明した。EU(ヨーロッパ連合)と北米連合(NAU)。これは、NWOへの巨歩と成るべく設計されてある。そしてこの二つの地域連合は、イルミナティ=三百人委員会によって、完璧に支配されている。

○EUと北米連合から、世界通貨の実現へ。オバマ体制には、イルミナティ=三百人委員会によって、このアジェンダが優先順位の第一位、として、与えられているであろう。

○このように見てくると、イルミナティの世界的マスコミの一つ、「ニューズウィーク(日本版)」、2009年1月28日号。これは示唆するところが多い。「アメリカンドリームの終焉」  「ラティーノが(アメリカの)未来を左右する」……(了)

【注】
◎W・G・タープレイ著、太田龍監訳、成甲書房 「オバマ、危険な正体」
◎日本義塾出版部でも取扱中。





(私論.私見)