441332 61年宮顕綱領」考

【「61年宮顕綱領」決議過程の暴力性考】
 「61年綱領」の胡散臭さが追求され始めている。宮地氏の「共産党、社会主義問題」で、著・小山弘健(宮地編集)「61年綱領採択めぐる宮本顕治の策謀「第8回大会・61年綱領の虚像と実像により「61年綱領」の策定過程が集中的に取り扱われている。それを読めば、信じられないほどの暴力的な編成過程を通じて決議されたのが「61年綱領」誕生秘話であることが知られよう。党員ないし左派関係者は驚愕するだろうか、あるいは何も知らされていなかった無知を恥じることになるだろうか。

 これにより、従来不破が党大会記念講話で自画自賛していた「61年綱領」過程の変調さとこれをまことに饒舌していた詭弁ぶりが白日の下に晒されることになった。れんだいこに云わせれば、不破の正体を知る機会でもある。問題は、その詭弁ぶりの故意的な悪質さに有る。自己批判すれば済むようなものではなく、叩き出す以外に無い、それが出来るか出来ないかが左派的能力を証することになるだろう。不破のソフトスマイルは一見好紳士的である。しかし、スマイルの奥に潜んでいるのはとてつもない革命事業絞殺のサディズムである。今後は不破のジキルとハイド的関係のヌエ性が分析されていかねばならぬだろう。

 情報元となった「革命運動の虚像と実像」の著者小山弘健氏は神山派のイデオローグである。神山派は日共党内における右派系の一分派であるからして、「革命運動の虚像と実像」にはそうした立場上による観点の曖昧さが投影しており、その分析はまだまだぬるい。但し、克明に史実を遺してくれたことに感謝する。そこで、この情報を下敷きにしながら日本左派運動の再生という観点から必要な個所にコメントしておくことにする。

 2003.6.22日 れんだいこ拝


【「61年宮顕綱領」の欺瞞性考】


「61年綱領」(第8回党大会、1961年7月27日決定の日本共産党綱領】(より)

(1)

 日本共産党は、第1次世界大戦後における世界労働者階級の解放闘争のたかまりのなかで、10月社会主義大革命の影響のもとに、わが国の進歩と革命の伝統をうけついで、1922年7月15日、日本労働者階級の前衛によって創立された。

 党は、当時の日本の支配体制の特殊性にもとづいて、ブルジョア民主主義革命を遂行し、これを社会主義革命に発展転化させて、社会主義日本の建設にすすむという方針のもとにたたかってきた。その後の事態の発展は、この方針が基本的にただしかったことを証明した。

 党は、さまざまなきびしい試練に直面したが、労働者階級の不屈の力にたより、マルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義にもとづいて、日本人民解放のためにたたかってきた。

 党は、日本人民を無権利状態においてきた絶対主義的天皇制の軍事的警察的支配とたたかい、天皇制をたおし民主的自由をかちとるためにたたかってきた。

 党は、半封建的地主制度をなくし、土地を農民に解放するためにたたかってきた。

 党は、独占資本主義の搾取によってくるしめられている労働者階級の生活を徹底的に改善するためにたたかい、またすべての勤労人民、知識人、婦人、青年の権利の獲得と生活の改善のためにたたかってきた。

 党は、進歩的革命的文化の創造と普及のためにたたかってきた。

 党は、日本帝国主義のロシア革命と中国革命への干渉戦争に反対し、第2次世界大戦にみちをひらいた中国にたいする侵略戦争に反対し、世界とアジアの平和のためにたたかってきた。

 党は、日本帝国主義の植民地であった朝鮮、台湾の解放と、アジアの植民地・半植民地諸民族の完全独立を支持してたたかってきた。

 党は、これらのたたかいをつうじて、科学的社会主義であるマルクス・レーニン主義の思想を、わが国の人民大衆のあいだにひろげるためにたたかってきた。

 党は、天皇制権力の野蛮な弾圧のなかで、活動に重大な困難とつまずきをきたしたが、多くの同志たちは、革命的労働者や農民とともに敵の追及や投獄に屈せず、左右の日和見主義や裏切りに断固として反対し、党の旗をまもってたたかってきた。帝国主義戦争と警察的天皇制の暴虐によって、無数の人民の血がながされ、国土は焦土となったが、すくなからぬ共産主義者が、日本人民の忠実な働き手として、平和と自由のためにたたかい、その生命をささげた。

 

(2)

 第2次世界大戦における日独伊侵略ブロックの敗北、ソ連を中心とする反ファシスト連合国と世界民主勢力の勝利は、日本人民の解放のための内外の諸条件を大きくかえた。日本帝国主義は、重大な打撃をうけ、ポツダム宣言は、天皇制の支配のもとにくるしんでいたわが国人民が立ちあがるみちをひらいた。

 党は、戦後公然と活動を開始して、ポツダム宣言の完全実施と民主主義的変革を徹底的になしとげることを主張し、天皇制の廃止、軍国主義の一掃、国の人民的復興のために、労働者階級を中心とする民主勢力の先頭に立ってたたかってきた。しかるにわが国を占領した連合軍の主力が、原爆を武器として対ソ戦争の計画をもちあたらしい世界支配をねらうアメリカであったことは、日本人民の運命に重大な屈辱をもたらす第一歩となった。

 世界の民主勢力と日本人民の圧力のもとに一連の「民主的」措置がとられたが、アメリカ帝国主義者はこれをかれらの対日支配に必要な範囲にかぎり、民主主義革命を流産させようとした。現行憲法は、このような状況のもとでつくられたものであり、一面では平和的民主的諸条項をもっているが、他面では天皇の地位についての条項などわが党が民主主義的変革を徹底する立場から提起した「人民共和国憲法草案」の方向に反する反動的なものをのこしている。アメリカ帝国主義は、世界支配の野望を実現するためにポツダム宣言をふみにじり、日本は事実上かれらの単独支配のもとにおかれ、日本人民は、アメリカ帝国主義へのレイ属状態におちいった。アメリカ帝国主義は、飛躍的に発展強化していく社会主義世界にたいする戦争を準備するため、また植民地主義の鎖をたちきって立ちあがりつつあるアジア諸民族を支配するため、日本をその軍事基地としてかためつつ、日本の人民大衆の解放闘争を弾圧するとともに、独占資本を目したの同盟者として復活する政策を追及した。日本独占資本は、人民の手による民主革命をざせつさせ、日本人民にたいする搾取と収奪を維持するために、民族の利益をうらぎってアメリカ帝国主義のこの方向にしたがった。

 党は、アメリカ帝国主義の占領支配と日本独占資本の売国・反動・収奪の政策に反対し、即時全面講和を主張しつつ、民族独立、民主主義、平和と人民生活向上の統一戦線を組織するためにたたかってきた。

 中国革命の偉大な勝利、世界と日本の平和と民主主義と社会主義の勢力の前進に直面して、アメリカ帝国主義は朝鮮にたいする侵略戦争をおこないながら、日本をかれらの世界支配の重要拠点としてかためるみちをすすんだ。そしてアメリカ帝国主義は、かれらの目的を達するために、あたらしい手段をとった。1951年、アメリカ帝国主義と日本の売国的独占資本の共謀によって、ソ連邦や中華人民共和国などをのぞきサンフランシスコ「平和」条約がむすばれ、同時に日米「安全保障」条約が締結された。それは、一方では、ポツダム宣言の拘束をまったくすてさり、日本をソビエト連邦と中華人民共和国などに敵対させ、日本の支配勢力をより積極的にアメリカ帝国主義に同調させ、日本の軍国主義を復活し、アジア人をアジア人とたたかわせることを目的としたものであった。また他方では、ポツダム宣言にもとづく全面講和にたいする内外民主勢力の要求をそらし、日本人民の民族独立のたたかいをおさえるためのものであった。

 アメリカ帝国主義の全面的占領支配は、半占領状態にかわり、日本政府の統治権は以前よりも拡大され、日本はかたちのうえではいちおう主権国家とされたが、その民族主権は実質上いちじるしく侵害されており、真の独立は回復されなかった。

 沖縄、小笠原は、ひきつづきアメリカの直接の軍事占領下において属領化され、アメリカ帝国主義のアジアにおける最大の核ミサイル基地とされて、わが同胞は植民地的圧迫と無権利状態のもとにくるしめられている。わが国には数多くのアメリカ軍事基地があり、核兵器がもちこまれ、アメリカ帝国主義はわが領空、領海をほしいままにふみにじっている。戦後16年間、アメリカ帝国主義者の不法、野蛮な行為によって多くの同胞が殺傷され、はずかしめをうけている。広島、長崎への世界さいしょの原爆投下、ビキニの水爆被災など、日本人民は三たびアメリカ帝国主義の核兵器の犠牲とされたうえ、さらにアメリカ帝国主義のたくらむ新しい核戦争の危険にさらされている。

 日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍隊の掌握と指揮のもとにおかれており、日本独占資本の支配の武器であるとともに、アメリカの極東戦略の一翼としての役割をおわされている。国連において日本の政府代表は、しばしばアメリカ政府のための投票機械の役割をはたしている。

 アメリカ帝国主義は、日本の軍事、外交、金融、貿易などに、いぜんとして重要な支配力をもっている。

 アメリカ帝国主義と日本独占資本の合作によるサンフランシスコ体制――すなわちサンフランシスコ「平和」条約、日米「安全保障」条約などの一連の諸条約に法制化されている反ソ、反中国、反共の「講和」体制であり、同時に、アメリカにたいする日本の従属的な同盟、戦争準備と日本民族抑圧と収奪維持の体制――のもとで、労働者、農民をはじめとして勤労市民、知識人、中小企業家などブルジョアジーの一定部分をふくむ広範な人民諸階層の平和と独立のねがいはふみにじられ、生活と権利は圧迫されている。

 現在、日本を基本的に支配しているのは、アメリカ帝国主義と、それに従属的に同盟している日本の独占資本である。わが国は、高度に発達した資本主義国でありながら、アメリカ帝国主義になかば占領された事実上の従属国となっている。

 戦後の土地改革によって半封建的・地主的土地所有は、農地の面では基本的には解体されたが、それは妥協的なブルジョア的改革であったので、広大な山林原野は解放されず、その他の土地関係や経済的社会的諸関係に、いろいろ不徹底な面をのこした。にもかかわらず、商品的貨幣的諸関係はひろがり、国内市場は拡大された。日本の独占資本は、アメリカ帝国主義とむすびついて労働者階級をはじめとする勤労人民大衆への搾取をつよめることによって復活・強化し、売国的反動勢力の中心となった。

 戦前の絶対主義的天皇制は、侵略戦争に敗北した結果、大きな打撃をうけた。しかし、アメリカ帝国主義は、日本の支配体制を再編するなかで、天皇の地位を法制的にはブルジョア君主制の一種とした。天皇は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の政治的思想的支配と軍国主義復活の道具となっている。

 日本独占資本主義は、アメリカ帝国主義の支配するあたらしい条件のもとで再編・強化され、おくれた零細農経営や中小企業をひろくのこしながら、アメリカの資本と技術をうけいれ、巨額の国家資金を略奪し、「設備投資」「技術革新」「合理化」をおこない、対米従属的な国家独占資本主義としての特徴をつよめつつある。

 日本経済は、アメリカ帝国主義に金融的に従属し、石油その他若干の重要経済部門を直接にぎられ、重要資源と市場でアメリカに依存させられ、社会主義諸国との貿易を制限されて対米従属的な貿易を余儀なくされている。日本経済の自主的平和的発展はさまたげられ、日本民族は、経済的にもアメリカ帝国主義の圧迫と収奪をうけている。

 このような経済上の対米従属・依存と、おびただしい小商品生産、中小企業の存在とは、世界資本主義の全般的危機のあたらしい段階において、日本独占資本主義の諸矛盾をいちだんと複雑でするどいものにしている。日本独占資本主義のもとでは、工業にたいする農業のいちじるしいたちおくれ、独占体と中小企業との矛盾がからみあい、アメリカ帝国主義の支配・収奪とむすびついて、人口の圧倒的多数をしめる労働者、農民をはじめ人民各階層の生活は、ますます困難で不安定なものにされている。

 アメリカ的なあたらしい搾取形態と戦前からひきつがれたおくれた搾取形態との並存、これにもとづく低賃金制と劣悪な労働条件、首切りと災害が労働者をくるしめている。農民の土地と経営は収奪され、農民その他おびただしい小商品生産者の窮乏化とプロレタリア化がすすんでいる。中小企業は、独占体の支配と収奪のもとにおかれ、あるいは下請け化され、あるいは没落させられている。ぼう大な失業、半失業者群と極貧層の存在は恒常化している。これにたいして、ひとにぎりの独占体は、ますますどん欲に冨を蓄積し、巨大化している。独占体は、最大限の利潤をあげるために国家機構をつかって広範な各層人民を略奪し、弾圧し、上層官僚との腐敗した結合をつよめ、汚職、買収、不正をはびこらせ、日本独占資本主義の腐朽をふかめている。独占体はますます民族の利益とあいいれない存在になっている。

 しかも、日本独占資本は、ひきつづき勤労者への搾取をつよめ、海外市場への商品、資本のよりいっそうの進出をめざして、アメリカ帝国主義の原子戦争計画にわが国をむすびつけ、経済的には帝国主義的特徴をそなえつつ、軍国主義的帝国主義的復活のみちをすすんでいる。だが、日本独占資本の軍国主義的帝国主義的復活の前途は、戦前とまったくちがって、社会主義諸国と民族解放をかちとりつつある諸国が優勢である今日のアジアにおいては、重大な矛盾、困難に直面しないわけにはいかない。

 1960年に締結された新安保条約は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の侵略的軍事同盟の条約であるとともに、いぜんとして対米従属の屈辱条約である。それは、対外侵略の武器であるとともに、日本人民を抑圧する武器である。またこの条約は、日本を日本人民の意思に反してアメリカ帝国主義のたくらむ侵略戦争にまきこむ危険をつよめた。それは、日米支配層にたいする日本人民の不満と闘争、社会主義諸国の平和政策、アジア諸国の民族独立運動などとの矛盾、米日独占貿本間の矛盾、米日反動の支配の基礎の動揺などを、侵略的方向、反民族的反人民的方向で補強し打開しようとするものであった。

 アメリカ帝国主義と日本独占資本は、自衛隊の増強と核武装化をすすめ、弾圧機構の拡充をおこない、憲法の平和的民主的諸条項をふみにじってつくられた再軍備と抑圧の既成事実を合法化し、さらに、その方向をつよめるために憲法改悪をくわだて、軍国主義の復活と政治的反動をつよめている。そして、アメリカの全面占領の時期からひきつがれた弾圧法規、さらにあたらしい弾圧政策をもって、労働者階級をはじめとする人民大衆の進歩のためのたたかいを抑圧しており、軍国主義団体や売国的反動的暴力団体をはびこらせている。さらに思想、文化、教育の面にも攻撃をつよめている。

 しかし、かれらの反動支配は解決しがたい多くの矛盾をもっている。国際民主勢力と連帯した労働者階級を先頭とする人民の運動と組織は、民主主義的権利を武器として、歴史的な安保反対闘争をはじめとする諸闘争をつうじてアメリカ帝国主義と日本独占資本に大きな打撃をあたえて前進し、強力な力に成長してきている。

 第2次世界大戦後、国際情勢は根本的にかわった。社会主義が一国のわくをこえて、一つの世界体制となり、資本主義諸国の労働者運動はますます発展し、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどで植民地体制の崩壊が急速に進行し、帝国主義の支配を足もとからゆるがしている。資本主義の全般的危機はふかまり、資本主義世界体制は衰退・腐朽の深刻な過程にある。社会主義の世界体制、国際労働者階級、帝国主義に反対する勢力、社会の社会主義的変革のためにたたかっている勢力は、今日の時代における世界史の発展のおもな内容、方向、特徴を決定する原動力となっている。社会主義世界体制は人類社会発展の決定的要因になりつつある。世界史の発展方向として帝国主義の滅亡と社会主義の勝利は不可避てある。

 世界史の発展にさからう帝国主義陣営の内部では、アメリカ帝国主義は、軍事ブロックと経済「援助」をおもな手段にして、発達した資本主義国の主権をさえ侵害している。多くの国の独占ブルジョアジーは、成長し団結しつつある進歩勢力に自力だけでは対抗できなくなり、アメリカ帝国主義の力をかりるため自国の主権を犠牲にしている。資本主義の不均等発展により帝国主義陣営内部の矛盾はつよまっているが、帝国主義と反動の国際勢力は協力して社会主義陣営とたたかい、民族解放運動、民主運動、革命運動を抑圧するため、アメリカ帝国主義を盟主とする軍事的政治的同盟に結集している。こうしてアメリカ帝国主義は、世界における侵略と反動の主柱、最大の国際的搾取者、国際的憲兵、世界各国人民の共通の敵となっている。

 帝国主義の侵略的本質はかわらず、帝国主義のたくらむ戦争の危険はいぜんとして人類をおびやかしている。これにたいして、社会主義陣営は、民族独立を達成した諸国、中立諸国とともに世界人口の半分以上をしめる平和地域を形成し、平和と民族解放と社会進歩の全勢力と提携して、侵略戦争の防止と異なる社会体制をもつ諸国家の平和共存のために断固としてたたかっている。世界的規模では帝国主義勢力にたいする社会主義勢力の優位、戦争勢力にたいする平和勢力の優位がますますあきらかになっている。反帝平和の勢力が不断の警戒心をたかめ、団結してたたかうならば、戦争を防止する可能性がある。こうして、帝国主義がたくらむ国家問の戦争はさけることができないものではなくなり、平和共存は世界の広範な人民によって支持されるようになった。

 このような国際情勢のもとで、ヨーロッパにおける西ドイツとともに、アジアにおいて日本は、アメリカ帝国主義の侵略と民族的抑圧と反動のもっとも重要な拠点となっている。侵略的な日米軍事同盟は、日本の自主的平和的発展をさまたげているだけではなく、アジアの平和をおびやかしている。日本の労働者階級と勤労人民が自国の解放闘争を積極的におしすすめることは、帝国主義に反対する国際統一戦線の重要な一翼をになってアジアと世界の平和と進歩に大きな貢献をするものである。日本人民の解放闘争を勝利させることは、わが党と労働者階級の日本人民にたいする責務であるとともに国際的な責務でもある。そして、現在の国際情勢の発展方向は、日本人民がこのような責務をはたすうえで、大きなはげましとなっている。

 

(3)

 以上の全体からでてくる展望として、現在、日本の当面する革命は、アメリカ帝国主義と日本の独占資本の支配――2つの敵に反対するあたらしい民主主義革命、人民の民主主義革命である。

 労働者階級の歴史的使命である社会主義への道は、この道をとざしているアメリカ帝国主義と、日本の独占資本を中心とする勢力の反民族的な反人民的な支配を打破し、真の独立と政治・経済・社会の徹底的な民主主義的変革を達成する革命をつうじてこそ、確実にきりひらくことができる。

 当面する党の中心任務は、アメリカ帝国主義と日本の独占資本を中心とする売国的反動勢力の戦争政策、民族的抑圧、軍国主義と帝国主義の復活、政治的反動、搾取と収奪に反対し、独立、民主主義、平和、中立、生活向上のための労働者、農民、漁民、勤労市民、知識人、婦人、青年、学生、中小企業家をふくむすべての人民の要求と闘争を発展させることである。そしてそのたたかいのなかで、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配に反対する人民の強力で広大な統一戦線、すなわち民族民主統一戦線をつくり、その基礎のうえに独立・民主・平和・中立の日本をきずく人民の政府、人民の民主主義権力を確立することである。

 わが党の当面する行動綱領の基本はつぎのとおりである。

 党は、安保条約をはじめいっさいの売国的条約・協定の破棄、沖縄・小笠原の日本への返還、全アメリカ軍の撤退と軍事基地の一掃のためにたたかう。党は、アメリカ帝国主義との侵略的軍事同盟から離脱し、いかなる軍事同盟にも参加せず、すべての国と友好関係をむすぶ日本の平和・中立化の政策を要求してたたかう。党は、サンフランシスコ「平和」条約の売国的条項の破棄をはじめ、サンフランシスコ体制を根本的に打破し、日本の真の独立のためにたたかう。

 党は、世界の平和と、社会制度の異なる諸国の平和共存をめざしてたたかう。党は、核兵器の禁止を要求し、全般的軍縮のためにたたかう。党は、すべての国との国交を正常化し、経済・文化の交流を発展させ、日本人民と世界各国人民の友好親善関係をひろめるためにたたかう。党は、アメリカ帝国主義とわが国の売国的反動勢力が共同しておこなっている社会主義諸国とアジア・アフリカ諸民族への侵略戦争準備、原子戦争のいっさいの準備に反対する。

 党は、平和、民主主義、社会主義のために努力している世界のすべての人民大衆と手をたずさえ、世界のあらゆる反帝国主義・反植民地主義運動と連帯してたたかう。

 党は、「万国の労働者団結せよ」の精神にしたがって、プロレタリアートの国際的団結をつよめるために努力する。ソ連を先頭とする社会主義陣営、全世界の共産主義者、すべての人民大衆が人類の進歩のためにおこなっている闘争をあくまで支持する。

 党は、日本人民の民主的権利をうばいさろうとするすべての反動的なくわだて、議会制度・地方制度・教育制度などの改悪に反対する。憲法改悪に反対し、憲法に保障された平和的民主的諸条項の完全実施を要求してたたかう。党は、自衛隊の増強と核武装など軍国主義の復活に反対し、自衛隊の解散を要求する。天皇主義的・軍国主義的思想を克服し、その復活とたたかう。売国的で反動的な暴力団体、軍国主義的団体の禁止と右翼テロの根絶を要求する。アメリカ帝国主義と日本の反動勢力が人民のうえにおしつけているいっさいの弾圧諸法令、弾圧諸機関を撤廃し、人民の民主的権利の拡大、諸制度の民主化のためにたたかう。

 党は、社会の諸方面にのこっている半封建的なのこりものをなくすためにたたかう。

 党は、日米支配層が労働者、農民、その他の勤労人民にくわえている搾取と収奪に反対し、低賃金制を打破し、失業者・半失業者には仕事を保障して、人民大衆の生活を根本的に改善するために努力する。

 党は、すべての労働者の団結権、ストライキ権、団体交渉権を確保し、「合理化」、首切り、低賃金、労働強化に反対し、賃金の引き上げ、同一労働同一賃金を要求し、最低賃金制と週40時間労働制その他、労働者の生活と権利を保障する労働立法のためにたたかう。

 党は、アメリカ軍と自衛隊のための土地取上げに反対する。また小作地の取上げに反対し、小作地の国費による買上げと、現耕作者への譲渡のためにたたかう。独占資本と大山林地主の所有林野の国有化を要求する。国費による大規模の開拓・干拓・土地改良を要求し、国有・公有・大山林所有者の林野の可耕地・採草地・農用林を土地のない、また土地のすくない農民に解放するためにたたかう。

 党は、多数の勤労農民の土地を収奪し経営を犠牲にする売国的反動的農業政策に反対して、農民の生活と権利をまもり、重い税金、独占物価に反対し、営農資金およびひきあう農産物価格を要求し、農業協同組合の民主化のためにたたかう。とくに農業、農村労働者、貧農のために土地と賃金と仕事を要求してたたかう。

 党は、漁民の生活・漁業条件の改善のためにアメリカ軍と自衛隊の漁場制限、演習場の廃止、漁業にのこっている半封建的な遺制の一掃、独占資本の圧迫の排除、漁業協同組合の民主化、資金・資材の獲得などのためにたたかう。とくに漁業労働者のために仕事と賃金を要求してたたかう。

 党は、手工業者、小商人、自由業者など勤労市民の営業と生活を改善するためにたたかう。

 党は、未解放部落にたいする半封建的な身分差別がなお根づよくのこっている状態をなくすためにたたかう。

 党は、知識人の生活を擁護し、研究、文化活動の自由が圧迫され制限されている状態を打開するためにたたかう。

 党は、婦人の労働および社会生活におけるいっさいの不平等に反対し、婦人の民主的権利の拡大と地位の向上のために、また、母親にたいする援助と保護の国による保障、児童憲章の完全な実施、こどもの健康と福祉のための社会施設と措置の確立のためにたたかう。

 党は、男女の青少年・学生の民主的組織と活動の自由、勉学、スポーツ、文化活動、レクリエーションなどの設備や条件などの大はばな改善、労働および社会生活における地位の向上のためにたたかう。

 党は、労働者、農漁民、勤労市民、その他人民各層にわたる社会的貧困と失業、病気、身体障害者と不幸な老人などの生活のくるしみを解決する総合的社会保障制度の確立のためにたたかう。

 党は、アメリカ帝国主義の圧迫と日本独占資本の収奪と支配に反対する中小企業家の要求を支持してたたかう。

 党は、日本文化の意義ある民族的伝統をうけつぎひろめ、教育、科学、技術、芸術などの民主主義的発展と向上のために、また思想と表現の自由のためにたたかう。

 党は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の財政経済政策に反対し、経済の自主的平和的発展のためにたたかう。アメリカ帝国主義による貿易の制限を打破し、すべての国との平等・互恵の貿易を促進する。日本経済にたいするアメリカ資本の支配を排除するためにたたかい、アメリカ資本がにぎっている企業にたいする人民的統制と国有化を要求する。税制の民主的改革と、軍事費を徹底的に削減し、人民の福祉にあてることを要求する。国有企業、国有・公有林野の管理の民主化のためにたたかう。独占資本にたいする人民的統制をつうじて、独占資本の金融機関と重要産業の独占企業の国有化への移行をめざし、必要と条件におうじて一定の独占企業の国有化とその民主的管理を提起してたたかう。

 

(4)

 日本共産党は、以上の要求の実現をめざし、独立、民主主義、平和、中立、生活向上のためにたたかうなかで、労働組合、農民組合をはじめとする人民各階層の大衆的組織を確立し、ひろげ、つよめるとともに、反動的党派とたたかいながら民主党派、民主的な人びととの共同と団結をかため、民族民主統一戦線をつくりあげる。

 アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配に反対するこの民族民主統一戦線は、労働者階級の指導のもとに、労働者、農民の同盟を基礎とし、そのまわりに勤労市民、知識人、婦人、青年、学生、中小企業家、平和と祖国を愛し民主主義をまもるすべての人びとを結集するものである。

 当面のさしせまった任務にもとづく民主勢力と広範な人民の共同、団結の必要を、世界観や社会主義革命の方法についての意見の相違などを理由としてこばんだり、さまたげたりすることは、祖国と人民の解放の根本的な利益をそこなうものである。

 党は、すべての民主党派や無党派の勤労者を階級的には兄弟と考えており、これらの人びとにむかって心から団結をよびかけ、そのために力をつくすものである。それは、同時に、団結に反対し団結をやぶるいっさいの正しくない傾向とのたたかいを必要とする。

 日米支配層の弾圧、破壊、分裂工作、反共主義をはじめ各種の思想攻撃などとたたかいながら遂行されるこの偉大な闘争で、党は人民大衆とかたくむすびつき、その先頭にたって先進的役割をはたさなければならない。そして、とくに労働者階級をマルクス・レーニン主義とプロレタリア国際主義の思想でたかめ、わが国の民主革命の勝利と社会主義の最後の勝利を確信させ、その階級的戦闘性と政治的指導力をつよめる。それとともに農民の多数を党の指導のもとに結集して、民族民主統一戦線の基礎をなす労働者、農民の階級的同盟を確立しなければならない。民族民主統一戦線の発展において、決定的に重要な条件は、わが党を拡大強化し、その政治的指導力をつよめ、強大な大衆的前衛党を建設することである。

 この闘争において党と労働者階級の指導する民族民主統一戦線勢力が積極的に国会の議席をしめ、国会外の大衆闘争とむすびついてたたかうことは、重要である。国会で安定した過半数をしめることができるならば、国会を反動支配の道具から人民に奉仕する道具にかえ、革命の条件をさらに有利にすることができる。

 党は、人民を民族民主統一戦線に結集し、その基礎のうえに政府をつくるために奮闘する。この政府をつくる過程で、党は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の利益を代表する政府の打倒のために一貫してたたかうが、かれらの支配を打破していくのに役立つ政府の問題に十分な注意と必要な努力をはらう。そして、一定の条件があるならば、民主勢力がさしあたって一致できる目標の範囲でも、統一戦線政府をつくるためにたたかい、民族民主統一戦線政府の樹立を促進するために努力する。

 民族民主統一戦線のうえにたつ政府をつくることは、アメリカ帝国主義と日本反動勢力のあらゆる妨害に抗しての闘争である。この政府が革命の政府となるかどうかは、それをささえる民族民主統一戦線の力の成長の程度にかかっている。民族民主統一戦綿政府を革命権力につよめる土台は、当面するこの人民の民主主義革命の目標と任務にむかっての、民主勢力の広範な統一と大衆闘争の前進であり、それが発展すればするほど、アメリカ帝国主義と日本反動勢力をより孤立においやり、かれらの妨害をふせぎ、これを失敗させることが可能となる。

 党と労働者階級の指導的役割が十分に発揮されて、アメリカ帝国主義と日本独占資本に反対する強大な民族民主統一戦線が発展し、反民族的・反人民的勢力を敗北させるならば、そのうえにたつ民族民主統一戦線政府は革命の政府となり、わが国の独占貿本を中心とする売国的反動支配をたおし、わが国からアメリカ帝国主義をおいはらって、主権を回復し人民の手に権力をにぎることができる。労働者、農民を中心とする人民の民主連合独裁の性格をもつこの権力は、世界の平和、民主主義、社会主義の勢力と連帯して独立と民主主義の任務をなしとげ、独占資本の政治的経済的支配の復活を阻止し、君主制を廃止し、反動的国家機構を根本的に変革して人民共和国をつくり、名実ともに国会を国の最高機関とする人民の民主主義国家体制を確立する。

 独立・民主・平和日本の建設によって、日本人民の歴史は根本的に転換する。日本人民は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の抑圧、戦争政策、収奪から解放され、はじめて国の主人となる。あたらしい人民の民主主義とその制度は、労働者階級をはじめ農民、一般勤労者、祖国の自主的発展と平和、人民の自由をねがうすべての人びとが、国の政治に積極的に参加する道を保障する。民族の威信と自由は回復され、日本は侵略戦争の温床であることをやめ、アジアと世界の平和の強固ないしずえの一つとなる。日本の経済と文化は、各国との平等・互恵の交流をつうじて繁栄し、人民の生活は向上する。

 独占資本主義の段階にあるわが国の当面の革命はそれ自体社会主義的変革への移行の基礎をきりひらく任務をもつものであり、それは、資本主義制度の全体的な廃止をめざす社会主義的変革に急速にひきつづき発展させなくてはならない。すなわちそれは、独立と民主主義の任務を中心とよる革命から連続的に社会主義革命に発展する必然性をもっている。

 

(5)

 日本人民の真の自由と幸福は、社会主義の建設をつうじてのみ実現される。資本主義制度にもとづくいっさいの搾取からの解放、まずしさからの最後的な解放を保障するものは、労働者階級の権力、すなわちプロレタリアート独裁の確立、生産手段の社会化、生産力のゆたかな発展をもたらす社会主義的な計画経済である。党は、社会主義建設の方向を支持するすべての党派や人びとと協力し、勤労農民および都市勤労市民、中小企業家にたいしては、その利益を尊重しつつ納得をつうじ、かれらを社会主義社会へみちびくように努力する。

 社会主義社会は共産主義社会の第1段階である。この段階においては人による人のいっさいの搾取が根絶され、階級による社会の分裂はおわる。この社会主義日本では「各人は能力におうじてはたらき、労働におうじて報酬をうける」原則が実現され、これまでになくたかい物質的繁栄と精神的開花、ひろい人民のための民主主義が保障される。共産主義のたかい段階では、生産力のすばらしい発展と社会生活のあたらしい内容がうちたてられるとともに、人間の知的労働と肉体労働の差別が消えさるだけでなく、「各人は能力におうじてはたらき、必要におうじて生産物をうけとる」ことができるだろう。組織的、かつ系統的な暴力、一般に人間にたいするあらゆる暴力は廃絶される。こうして、原則としていっさいの強制のない、国家権力そのものが不必要になる共産主義社会、真に平等で自由な人間関係の社会が生まれる。

 日本共産党は、このような社会の建設をめざして、当面アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配と徹底的にたたかい、真の独立と民主主義を達成する人民革命の勝利のためにたたかうものである。




日本共産党綱領(1994年7月23日 一部改定)([English])

 目次 (※見出しは、読みやすくするために編集者がつけたものです)

第一章 日本共産党の創立と戦前のたたかい

第二章 戦後、日本はどう変わったか――アメリカの世界支配の拠点に

第三章 現在の日本の情勢の特徴

第四章 20世紀の大きな流れと今日の世界

第五章 国民大多数の利益をまもる新しい日本へ――当面する革命の性格と党の中心任務

第六章 独立、民主、平和日本の実現めざして

第七章 真に平等で自由な人間社会へ――社会主義、共産主義と人類史の展望

第一章 日本共産党の創立と戦前のたたかい


 日本共産党は、わが国の進歩と革命の伝統をうけついで、日本人民のたたかいとロシア十月社会主義革命など世界人民の解放闘争のたかまりのなかで、1922年7月15日、科学的社会主義の理論的基礎にたつ党として、創立された。
 当時の日本は、世界の主要な独占資本主義国の一つになってはいたが、農村では半封建的地主制度が支配しており、これらの基礎のうえに、絶対主義的天皇制が反動支配勢力の主柱として軍事的、警察的な専制権力をふるい、国民から権利と自由をうばい、アジア諸国にたいする侵略と戦争の道をすすんでいた。
 党は、支配体制のこうした特殊性にもとづいて、まず平和で民主的な日本を実現する民主主義革命を遂行し、ついでこれを社会主義革命に発展させて、社会主義日本の建設にすすむという方針のもとに活動してきた。
 党は、きびしい試練にたびたび直面したが、まず民主主義革命をという正しい方針をつらぬき、日本国民を無権利状態においてきた天皇制の専制支配とたたかい、天皇制をたおし、主権在民、国民の自由と人権をかちとるためにたたかってきた。
 党は、半封建的地主制度をなくし、土地を農民に解放するためにたたかってきた。
 党は、独占資本主義の搾取によって苦しめられている労働者階級の生活を徹底的に改善するために、またすべての勤労人民、知識人、女性、青年の権利の獲得と生活の改善のためにたたかってきた。
 党は、進歩的、革命的な文化の創造と普及のために活動してきた。
 党は、日本帝国主義のロシア革命と中国革命への干渉戦争に反対し、第二次世界大戦に道をひらいた中国にたいする侵略戦争に反対し、世界とアジアの平和のためにたたかってきた。
 党は、日本帝国主義の植民地であった朝鮮、台湾の解放と、アジアの植民地・半植民地諸民族の完全独立を支持してたたかってきた。

不滅の意義をもった平和、民主主義のたたかい

 帝国主義戦争と天皇制権力の暴圧によって、国民は苦難を強いられ、無数の国民の血が流され、国土は焦土となった。侵略戦争は、2,000万人をこえるアジア諸国民の生命をうばった。
 天皇制権力の野蛮な弾圧のなかで、党の活動には重大な困難があり、つまずきも起こったが、すくなからぬ日本共産党員は、迫害や投獄に屈することなく、さまざまな裏切りともたたかい、党の旗をまもってたたかった。このたたかいですくなからぬ党員が弾圧のため生命をうばわれるにいたった。
 他のすべての政党が侵略と戦争、反動を推進する流れに合流するなかで、日本共産党が平和と民主主義の旗をかかげて不屈にたたかいつづけたことは、日本の民主主義的な変革の事業にとって不滅の意義をもった。
 日本帝国主義は敗北し、日本政府はポツダム宣言を受諾した。反ファッショ連合国によるこの宣言は、軍国主義の除去と民主主義の確立を基本的な内容としたもので、日本の国民的な活路は、平和で民主的な日本の実現にこそあることをしめした。これは、党が不屈にかかげてきた方針が基本的に正しかったことを、証明したものだった。また、第二次世界大戦全体のこうした結末そのものが、侵略戦争を阻止しえなかったから日本共産党にも戦争責任があるとするたぐいの攻撃の、根拠のなさをあきらかにしている。

第二章 戦後、日本はどう変わったか
     ――アメリカの世界支配の拠点に

 第二次世界大戦における日独伊侵略ブロックの敗北、反ファッショ連合国と世界民主勢力の勝利は、日本人民の解放のための内外の諸条件を大きくかえ、天皇制の支配のもとに苦しんでいたわが国人民がたちあがる道をひらいた。
 戦後公然と活動を開始した日本共産党は、ポツダム宣言の完全実施と民主主義的変革を徹底してなしとげることを主張し、天皇制の廃止、軍国主義の一掃、国民の立場にたった国の復興のために、民主勢力の先頭にたってたたかった。党が、「人民共和国憲法草案」を発表したのは、この立場からであった。

一連の「民主化」措置とアメリカの占領支配

 わが国を占領した連合軍の主力が、原爆を武器として対ソ戦争の計画をもち新しい世界支配をねらうアメリカであったことは、日本国民の運命を、外国帝国主義への従属という歴史上かつてない状態にみちびく第一歩となった。世界の民主勢力と日本人民の圧力のもとに一連の「民主化」措置がとられたが、アメリカは、これをかれらの対日支配に必要な範囲にかぎり、民主主義革命を流産させようとした。現行憲法は、このような状況のもとでつくられたものであり、主権在民の立場にたった民主的平和的な条項をもつと同時に、天皇条項などの反動的なものを残している。天皇制は絶対主義的な性格を失ったが、ブルジョア君主制の一種として温存され、アメリカ帝国主義と日本独占資本の政治的思想的支配と軍国主義復活の道具とされた。
 アメリカ帝国主義は、世界支配の野望を実現するために、ポツダム宣言をふみにじって日本を事実上かれらの単独支配のもとにおき、日本を軍事基地としてかためながら、日本独占資本を目したの同盟者として復活させる政策をすすめ、日本人民の解放闘争を弾圧した。農地改革によって半封建的・地主的土地所有が農地の面では基本的に解体されたため、日本独占資本が反動勢力の中心となったが、日本独占資本は、民主主義革命をざせつさせ、その支配を維持するために、民族の利益を裏切って、アメリカ帝国主義のしめす方向に忠実にしたがった。
 党は、アメリカの占領支配と日本独占資本の売国・反動・収奪の政策に反対し、即時全面講和を主張し、民族独立、民主主義、平和と生活向上の統一戦線を組織するためにたたかった。

サンフランシスコ体制の成立

 中国革命の勝利など、世界とアジアの情勢の変化に直面して、アメリカ帝国主義は、その目的を達するために、新しい手段をとった。1951年、ソ連と中華人民共和国をのぞいてサンフランシスコ平和条約がむすばれ、同時に日米安全保障条約が締結された。これらの条約は、形式的には日本の独立を認めることで日本国民の民族独立のたたかいをおさえながら、一方では、ポツダム宣言の拘束をまったくすてさり、実際には、日本をアメリカの世界支配の重要拠点としてかため、日本の支配勢力をアメリカ帝国主義により積極的に同調させ、日本の軍国主義を復活・強化することを目的としたものであった。
 この二つの条約に法制化されたサンフランシスコ体制は、アメリカにたいする日本の従属的な同盟の体制であると同時に、アメリカ帝国主義と日本独占資本の合作による、戦争準備と人民収奪の体制、日本民族抑圧の体制だった。アメリカ帝国主義の全面的な占領支配は、半占領状態にかわり、日本政府の統治権は以前よりも拡大され、日本はかたちのうえではいちおう主権国家とされたが、民族主権は深く侵害されつづけ、真の独立は回復されなかった。
 また、サンフランシスコ平和条約が千島列島の放棄を規定したことは、第二次世界大戦中、連合国のあいだで公約された領土不拡大の原則に反する不公正な措置であった。
 日米安保条約は1960年に改定されたが、これは、日米共同作戦の条項や日米経済協力の条項をもりこむなど、日本をアメリカの戦争にまきこむ対米従属的な軍事同盟という内容をより本格的にしたもので、日本の主権と独立の侵害という実態はかえってつよめられた。

第三章 現在の日本の情勢の特徴

 現在、日本を基本的に支配しているのは、アメリカ帝国主義と、それに従属的に同盟している日本の独占資本である。わが国は、高度に発達した資本主義国でありながら、国土や軍事などの重要な部分をアメリカ帝国主義ににぎられた事実上の従属国となっている。

数多くの米軍基地、ふみにじられる領空、領海

 わが国には、数多くのアメリカ軍事基地があり、沖縄はアジア最大の軍事基地とされている。アメリカ帝国主義は、わが領空、領海をほしいままにふみにじっており、広島、長崎、ビキニと、国民が三たび核兵器の犠牲とされた日本に、核兵器さえもちこんできた。
 日本の自衛隊は、事実上アメリカ軍隊の掌握と指揮のもとにおかれており、日本独占資本の支配の道具であるとともに、アメリカの世界戦略の一翼をになわされ、海外派兵とその拡大がたくらまれている。
 アメリカ帝国主義は、日本の軍事や外交に、依然として重要な支配力をもっている。日本の政府代表は、国連その他国際政治の舞台で、しばしばアメリカ政府の代弁者の役割をはたしている。

困難で不安定になる働く人びとの生活

 日本の反動的な支配体制の中心である日本独占資本主義は、アメリカが支配する新しい条件のもとで再編・強化され、対米従属的な国家独占資本主義としての特徴をそなえつつ、日本の労働者階級と勤労人民にたいする搾取、収奪を最大の基盤にして、今日では、世界第二の経済力をもつにいたった。経済上の対米従属・依存は、工業にたいする農業のいちじるしいたちおくれ、おびただしい中小企業と大企業との矛盾などとむすびついて、日本独占資本主義の諸矛盾をいちだんと複雑でするどいものにしており、人口の圧倒的多数をしめる労働者、農民、勤労市民をはじめ、人民各階層の生活は、ますます困難で不安定なものにされている。
 戦前からひきつがれたおくれた搾取形態と戦後の新しい搾取形態との並存、これにもとづく低賃金制と長時間・過密労働、災害多発などの劣悪な労働条件、不安定な雇用と失業が労働者を苦しめている。農民は、「貿易自由化」の名によるアメリカ農産物などのおしつけ、家族経営の切り捨て政策などによって、経営条件を圧迫されうばわれている。とくに1993年、日本政府がガット(関税・貿易一般協定)でのコメ輸入自由化の「合意」に応じたことは、日本の農民と農業をいっそう深刻な状況に追いこんだ。この「合意」は、ガット存立の前提である各国の経済主権尊重の原則をふみにじったものであり、アメリカの経済的覇権主義を露骨にあらわしたものだった。勤労市民の生活も、重税や大企業の圧迫のもと、つねに困難にさらされている。中小企業は、大企業の支配と収奪のもとにおかれ、あるいは下請け化され、あるいは没落させられている。ぼう大な貧困者層の存在も恒常化している。

軍国主義、帝国主義の復活・強化の道すすむ日本独占資本

 これにたいして、ひとにぎりの大企業は、ますますどん欲に富を蓄積し、巨大化し、多国籍企業化している。その利潤優先の開発政策は、自然と生活環境の破壊を全国的な規模でひきおこしている。また最大の利潤をあげるために国家機構を使って広範な国民各層を略奪し、反動政治家・上層官僚との腐敗した結合をつよめ、汚職、買収、腐敗をはびこらせ、日本独占資本主義の腐朽をふかめている。その支配はますます民族の利益とあいいれないものとなっている。
 日本独占資本は、海外市場への商品、資本のよりいっそうの進出をめざし、アメリカの世界戦略にわが国をむすびつけつつ、軍国主義、帝国主義の復活・強化の道をすすんでいる。日本独占資本は、巨大な資本蓄積を基礎として、工業製品および資本の輸出で、国際的に有力な地位をしめるにいたり、世界の帝国主義陣営のなかで、アメリカ帝国主義の目したの同盟者の役割を軍事、外交、経済のあらゆる面で積極的・能動的にはたしている。同時に、低賃金などによる国際競争力をテコにした日本独占資本の世界市場進出は、アメリカその他の資本主義諸国とのあいだでの貿易摩擦を深刻にし、世界資本主義の矛盾の一つの重要な焦点となっている。
 アメリカ帝国主義と日本独占資本は、憲法の平和的民主的諸条項をふみにじってつくられた再軍備の既成事実を合法化し、自衛隊の増強をすすめ、これをアメリカの軍事戦略にくみこむ海外派兵と日米共同作戦の体制を強化し、そのために憲法改悪をくわだて、軍国主義の復活と政治的反動をつよめている。1994年に強行された小選挙区制の導入は、二大政党が多数を争うというかたちで、反動的党派が国会の圧倒的多数を独占することをねらったもので、軍国主義復活と政治反動の重大な一歩をなした。小選挙区制は、世界の大勢に逆らう時代おくれの反民主的な選挙制度であり、その廃止をできるだけ短期間にかちとることは、日本の民主主義の重要な課題となった。
 日本の商業マスコミは、全体として、反動支配の重要なささえという役割をはたしている。商業マスコミは、第二次世界大戦のさいの戦争協力にたいし一定の反省を表明したが、それは、天皇絶対礼賛の態度を存続させたことともむすびついて、誤った世論誘導への本質的な反省をともなわず、戦後も、安保条約の締結と改定、小選挙区制の導入など、政治の重要な局面で、反動勢力を支持する立場での報道を基本としてきた。
 しかし、アメリカ帝国主義と日本独占資本の反動支配は、解決できない多くの矛盾をもっている。この半世紀、日本人民の運動と組織は、民主主義的権利を行使し、歴史的な安保反対闘争をはじめとする諸闘争をつうじて、前進してきた。反動支配層は、ソ連の崩壊などの事態をも利用した反共主義を最大の手段として、人民の運動の分断、切りくずしと無力化をはかっているが、反動支配と国民大多数の利益との矛盾の激化は避けられない。

第四章 20世紀の大きな流れと今日の世界


世界平和と民族自決、社会進歩の事業の前進

 世界の資本主義は、20世紀とともに、独占資本主義、帝国主義の段階にはいった。それ以来約一世紀のあいだに、世界の平和と民族自決、社会進歩の事業は、多くの激動と曲折をへながらも確実に前進してきた。
 第一次世界大戦のさなかにロシアで起こった社会主義革命は、レーニンが指導にあたった時期には、おくれた社会・経済状態からの発足という歴史的な制約にもかかわらず、またすくなくない試行錯誤をともないながら、科学的社会主義の真価を発揮した業績によって世界の進歩に貢献した。とくに新しい政権が、民族自決、平和、男女同権、8時間労働制や有給休暇制、社会保障制度などを宣言し実行したことは、世界の勤労大衆と被抑圧諸民族をはげまし、資本主義諸国にも大きな影響をあたえた。その人類史的な意義は、スターリンらその後の歴代指導者の誤りの累積やその結果起こったソ連の崩壊によっても、失われるものではない。
 また、第二次世界大戦で、ソ連が、2,000万人もの犠牲をはらいながら、ヒトラー・ドイツの侵略を打ち破ったことは、反ファッショ連合国の勝利への大きな貢献となった。このことの歴史的な意義は、その後あきらかになったソ連指導部の内外政策での数かずの重大な誤りにもかかわらず、正当に評価されるべきである。
 第二次世界大戦後、ヨーロッパとアジアで一連の国ぐにが社会主義をめざす道にふみだし、世界の全域で植民地体制の崩壊がすすんだことは、帝国主義の世界支配に新しい大きな打撃をあたえた。大戦直後の変化につづいて、アメリカ帝国主義の侵略を打ち破ったベトナム人民の勝利をはじめ、一連の国ぐにで、帝国主義の支配と侵略に抗してのたたかいが前進したことは、社会進歩への重要な貢献となった。

戦後のアメリカ帝国主義の世界支配の野望

 帝国主義陣営の内部では、情勢の変化に対応するために、アメリカを中心とする軍事ブロック化がすすんだ。アメリカ帝国主義は、軍事ブロックを手段として、発達した資本主義国をふくむ多くの国ぐにの主権を侵害し、また各国の独占ブルジョアジーは、その支配を維持するなどの目的で、アメリカ帝国主義の力をかりるために、自国の主権を犠牲にしてきた。資本主義の不均等発展により、帝国主義陣営の内部の矛盾はつよまっているが、帝国主義と反動の国際勢力は、平和、民族独立、社会進歩の運動を抑圧し、世界諸国民への支配をつづけるため、アメリカ帝国主義を盟主とする軍事的・政治的同盟にひきつづき結集している。この軍事ブロック政策は、アメリカの経済的な覇権や権益を追求する経済的な覇権主義と不可分にむすびついている。
 アメリカ帝国主義は、その侵略政策を効果的に遂行するために、ときには、一方ではソ連や中国などへの「接近」と「協調」の政策をとりながら、他方で民族解放や社会主義をめざす道にたつ大きくない国ぐにに攻撃を集中するなどのわるがしこい戦術をとった。ニクソン政権が中国、ソ連を訪問して「友好関係」をうたいながら、ベトナム侵略戦争をやりとげようとしたのは、その典型であった。日本共産党は、アメリカ帝国主義のこの術策を早くから見抜き、各個撃破政策と性格づけて、それを打ち破るためにたたかった。
 帝国主義の侵略的本質は今日もかわっていない。ソ連覇権主義の崩壊後は、アメリカ帝国主義は、世界唯一の超大国として、核戦力をふくむ強大な軍備を保持しつづけ、世界各地の紛争に介入して帝国主義的「秩序」を維持するという、覇権主義的な「世界の憲兵」戦略を遂行している。アジア・太平洋地域でも、アジア太平洋経済協力会議(APEC)を設立して策動するなど、日本を目したの同盟者としながら、軍事的な干渉政策と経済的な覇権主義をむすびつけて、支配的な影響力の確立・拡大をめざす動きがいちじるしくなっている。アメリカ帝国主義は、依然として世界における侵略と反動の主要な柱である。

ソ連・東ヨーロッパでは、なにが「崩壊」したのか

 社会主義をめざす国ぐには、第二次世界大戦後、世界の広大な地域にひろがった。しかし、最初に社会主義をめざす道にふみだしたソ連では、レーニンの死後、スターリンを中心とした指導部が、科学的社会主義の原則を投げすてて、対外的には覇権主義、国内的には官僚主義・専制主義の誤った道をすすみ、その誤りはその後の歴代指導部にもひきつがれ、ときにはいっそう重大化した。覇権主義とは、もともと帝国主義の対外政策である覇権、侵略の政策のことであり、社会主義を名乗る国がこれをおこなうことは、社会帝国主義への堕落にほかならなかった。覇権主義の誤りは、社会主義をめざす他の一部の国ぐににもあらわれた。これらの逸脱から生まれた否定的現実は、歴史の発展にそむくものであり、世界の心ある人びとを悲しませた。とくにソ連などの覇権主義が、他国の党への干渉、さらには1968年のチェコスロバキア侵略1979年のアフガニスタン侵略など、他国にたいする軍事侵略としてあらわれたことは、重大だった。これらの干渉と侵略の行為は、それ自体が国際緊張の一定の要因となるとともに、ほんらい対外干渉や侵略とは無縁である科学的社会主義の理念を傷つけ、民族独立、平和、社会進歩のための連帯と闘争に困難と障害をつくりだした。こういう情勢のもとで、資本主義諸国の革命運動では、運動の自主的発展への原則的努力がいちだんと重要になった。日本共産党は、各国の革命運動、民主運動の自主性と科学的社会主義の原則的な立場を擁護し、日本の運動にたいするいかなる覇権主義の干渉にたいしても断固としてたたかってきた。国際的にも、アメリカ帝国主義の侵略についても、ソ連などの干渉についても、覇権主義を世界史の発展をさまたげる巨悪と位置づけ、そのすみやかな克服のために一貫した努力をそそいできた。
 ソ連およびそれに従属してきた東ヨーロッパ諸国の支配体制の崩壊は、科学的社会主義の失敗ではなく、それから離反した覇権主義と官僚主義・専制主義の破産である。これらの国ぐにでは、革命の出発点においては、社会主義をめざすという目標がかかげられたが、指導部が誤った道をすすんだ結果、社会の実態として、社会主義社会には到達しえないまま、その解体を迎えた。ソ連覇権主義という歴史的な巨悪の解体は、大局的な視野でみれば、世界の革命運動の健全な発展への新しい可能性をひらいたものである。

資本主義の矛盾と歴史の方向

 ソ連などの解体は、資本主義の優位性をしめすものではない。巨大に発達した生産力を制御できないという資本主義の矛盾は、現在、世界でも日本でも、広範な人民諸階層の状態の悪化、くりかえす不況と失業の増大、環境条件の破壊など、かつてない大きな規模と鋭さをもってあらわれている。核戦争の危険もひきつづき地球と人類をおびやかしている。アメリカを先頭とする帝国主義陣営の世界支配をめざす政策と行動は、世界の広範な地域で、国の政治的、経済的な独立のためのたたかいを諸国人民の切実な課題とし、帝国主義の支配を不安定にしている。軍事ブロック体制の強化と新旧植民地主義に反対する非同盟諸国の運動は、世界政治で重要な役割をはたしている。発達した資本主義諸国では、ソ連覇権主義への追随が多くの政治的道義的退廃を人民運動の一部に生みだし、それがおよぼした否定的影響には重大なものがあるが、そのなかでも、労働者階級のたたかいをはじめ、生活と権利、平和、民主主義をもとめるさまざまの運動が発展している。
 帝国主義に反対し、平和と進歩をめざす勢力が、ソ連などの覇権主義による否定的影響を克服し、反核・平和、民族自決、民主主義、社会進歩を要求して、それぞれの国でも、また国際的にも、正しい前進と連帯をはかることが重要である。世界史の発展には、多くの波乱や曲折、ときには一時的な、あるいはかなり長期にわたる逆行もあるが、帝国主義・資本主義をのりこえ、社会主義へ前進することは、大局的に歴史の不可避的な発展方向である。

核兵器廃絶は共産主義者の第一義的な任務

 40年にわたる軍拡競争のなかで蓄積された巨大な核兵器は、現在でも、数万発という規模で存在し、ひきつづき人類をおびやかす重大な脅威となっている。この脅威を一掃するために不屈にたたかうことは、共産主義者の第一義的な任務である。核戦争の脅威を根絶するには、核兵器の廃絶にかわる対案はない。アメリカなどが主張している核不拡散条約の体制の永続化とは、現在の核保有国による核兵器の独占を体制化することであり、核兵器を武器としたアメリカ帝国主義の覇権主義を世界におしつけようとするたくらみである。世界平和のためには、核兵器に固執する勢力のこういうたくらみをこそ、打ち破らなければならない。
 今日、「ノー・モア、ヒロシマ、ナガサキ(広島・長崎をくりかえすな)」という原水爆禁止世界大会のよびかけは、世界の各地にひろがっている。最大の核兵器保有国アメリカでさえ、1993年、首都ワシントンの住民投票で、「核兵器廃絶」をふくむ「憲法修正提案」が過半数の支持をえた。「文明国」を自称する国の政府が、いつまでも核兵器に固執するならば、人民との矛盾をつよめざるをえない。非核の目標で一致するすべての勢力が、思想、政治信条、信教上のちがいをこえて広範に結集するならば、核兵器固執勢力を孤立させ、核兵器廃絶を実現する非核の政府をつくることは、実際に可能である。非核の運動と世論をつよめ、核兵器に固執する勢力を孤立させることこそ、核兵器全面禁止の国際協定締結への展望をきりひらく道である。ソ連解体後の情勢のもとで、世界の平和運動の一部でとなえられている、平和の敵はなくなったなどの議論は、世界の現実をみないだけでなく、平和の事業における人民の運動の役割そのものの否定にいたる根本的な誤りである。
 同時に、世界平和のためには、諸民族の自決権を徹底して尊重し、その侵害を許さないことが、決定的に重要である。
 今日の世界情勢のなかで、日本は、アメリカ帝国主義の侵略と反動の政策のアジアにおけるもっとも重要な拠点となっている。アメリカは、アジア・太平洋地域における覇権主義的な体制の構築を重視しており、侵略的な日米軍事同盟は、日本の自主的平和的発展をさまたげているだけではなく、アジアと世界の平和をおびやかしている。日本の人民が、唯一の被爆国の国民として、反核・平和のたたかいと自国の解放闘争をおしすすめることは、アジアと世界の平和と社会進歩への重要な貢献となる。また、発達した資本主義国・日本における革命運動の前進が、世界史的な社会進歩の事業にとって、きわめて大きな役割をになうことも、確実である。日本人民の解放闘争を前進・勝利させることは、わが党と労働者階級の日本人民にたいする責務であるとともに、国際的な責務でもある。

第五章 国民大多数の利益をまもる新しい日本へ
    ――当面する革命の性格と党の中心任務

反帝・反独占の新しい民主主義革命

 以上の全体からでてくる展望として、現在、日本の当面する革命は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配に反対する新しい民主主義革命、人民の民主主義革命である。
 この革命をなしとげること、すなわち、アメリカ帝国主義と日本独占資本を中心とする勢力の反民族的、反人民的な支配を打破し、真の独立と政治・経済・社会の民主主義的変革を達成することは、当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益をまもる道であり、それをつうじてこそ、労働者階級の歴史的使命である社会主義への道をも確実にきりひらくことができる。
 当面する党の中心任務は、アメリカ帝国主義と日本独占資本を中心とする反動勢力の戦争政策、民族的抑圧、軍国主義と帝国主義の復活、政治的反動、搾取と収奪に反対し、独立、民主主義、平和、中立、生活向上のためのすべての人民の要求と闘争を発展させることである。そしてそのたたかいのなかで、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配に反対する強力で広大な人民の統一戦線、すなわち民族民主統一戦線をつくり、その基礎のうえに、独立・民主・平和・非同盟中立・生活向上の日本をきずく人民の政府、人民の民主主義権力を確立することである。

当面実現めざす目標

 わが党の当面する行動綱領の基本はつぎのとおりである。
 党は、日米安保条約をはじめ、民族の主権をそこなういっさいの条約・協定の廃棄、全アメリカ軍の撤退と軍事基地の一掃のためにたたかう。党は、アメリカとの軍事同盟から離脱し、いかなる軍事同盟にも参加せず、すべての国と友好関係をむすぶ日本の平和・中立化の政策を要求してたたかう。党は、サンフランシスコ平和条約の主権を侵害する諸条項の廃棄をはじめ、日本の真の独立のためにたたかう。党は、歯舞、色丹および全千島の返還のため、平和的、外交的に努力する。
 党は、人類にとって死活的に重要な緊急課題である核戦争の防止、核兵器廃絶を要求し、諸国民と連帯して核兵器全面禁止・廃絶の国際協定を実現するためにたたかう。党は、広島、長崎の被爆者への国家補償を要求する。
 党は、全般的軍縮とすべての軍事ブロックの解体、外国軍事基地の撤去、真の集団安全保障体制の確立、社会制度の異なる諸国の平和共存をめざす。
 党は、各国人民が自国の進路と運命を自主的に決定する民族自決権を擁護し、帝国主義、覇権主義によるこの権利のいかなる侵害にも反対する。
 党は、新植民地主義的な国際経済秩序に反対し、すべての国の経済主権の確立、平等・公平を基礎とする新国際経済秩序の確立をめざす。
 党は、地球的規模で環境と資源を破壊する多国籍企業などの無責任な利潤第一主義の行動に反対し、その国際的な規制をはじめ、地球の環境保全のために努力する。
 党は、「万国の労働者と被抑圧民族団結せよ」の精神にしたがって、労働者階級をはじめ、独立、平和、民主主義、社会進歩のためにたたかう世界のすべての人民と連帯し、人類の進歩をめざす闘争を支持する。
 党は、憲法改悪に反対し、憲法の平和的民主的諸条項の完全実施を要求してたたかう。党は、日本人民の民主的権利をうばいさろうとするすべての反動的なくわだてに反対し、小選挙区制の廃止を要求する。議会制度・地方制度・教育制度・司法制度などの改悪に反対し、主権在民の精神にたったその民主的改革を要求する。党は、自衛隊の増強と核武装、海外派兵など軍国主義の復活・強化に反対し、自衛隊の解散を要求する。天皇主義的・軍国主義的思想を克服し、その復活とたたかう。反動的な暴力団体、軍国主義的団体と政治テロの根絶を要求する。党は、国民の民主的権利の拡大のためにたたかい、破壊活動防止法や公安調査庁など国民の権利を侵害する弾圧法令、弾圧機関の撤廃を要求し、軍国主義と権利抑圧のための立法に反対する。
 党は、信教の自由を擁護し、政教分離の原則の徹底をめざす。
 党は、社会の諸方面に残っている半封建的な残りものをなくすためにたたかう。いわゆる部落問題については、ひきつづき国民的な融合に努力する。
 党は、日米支配層が労働者、農民、勤労市民その他にくわえている搾取と収奪に反対し、低賃金制を打破し、失業者・半失業者には仕事を保障して、人民大衆の生活を根本的に改善するために努力する。
 党は、すべての労働者の団結権、ストライキ権、団体交渉権を確保し、職場の自由と民主主義を確立し、資本主義的合理化、首切り、低賃金、労働強化に反対し、賃金の引き上げ、同一労働同一賃金を要求する。最低賃金制と労働時間の大幅短縮、非人間的な過密労働の規制その他、労働者の生活と権利を保障する労働立法を実現させる。
 党は、コメの輸入自由化や減反政策など、日本農業の自主的発展と農民経営を犠牲にし、日本の食糧確保を危うくする対米従属・独占資本本位の農業政策に反対し、農業を基幹的な生産部門として位置づけ、日本農業と農民経営の発展を保障する民主的な農業政策のためにたたかう。農民の生活と権利をまもり、農用資材の独占価格、重い税金の引き下げ、再生産を保障する農産物価格と営農資金を要求し、農業協同組合の民主的発展につとめる。農業・農村労働者のために賃金と労働条件の改善、安定した仕事を要求する。森林資源の保護、林業の自主的振興、国有・公有林野の管理の民主化、山村農民と林業労働者の経営と生活、権利をまもるためにたたかう。
 党は、国費による農用地造成、土地改良、国有・公有・大山林所有者の林野の農用適地を農民に解放すること、アメリカ軍と自衛隊がとりあげた土地の農民への返還を要求する。住宅用地など生活用地の確保のため、独占資本などによる土地の買い占めや土地価格のつり上げに反対し、独占資本の所有する未利用地の国や自治体への譲渡をはかる。
 党は、漁民の生活と経営の条件を改善するために、アメリカ軍と自衛隊の海上演習や漁場制限に反対し、独占資本の圧迫・収奪の排除、200カイリ水域の有効利用を要求する。資金・資材などの獲得のためにたたかい、漁業協同組合の民主的発展につとめる。漁業労働者のために、仕事と安全、賃金引き上げを要求する。
 党は、自営商工業者、自由業者など勤労市民の営業と生活を改善するためにたたかう。
 党は、わが国における少数民族というべきアイヌの生活と権利の保障、文化の保護などを要求する。
 党は、知識人の生活を擁護し、研究・文化活動の自由が圧迫され制限されている状態を打開するためにたたかう。
 党は、女性の労働および社会生活におけるいっさいの不平等に反対し、女性の民主的権利の拡大、男女平等と女性の地位の向上のために、また母親にたいする援助と保護の国による保障のためにたたかう。
 党は、男女の青少年・学生の民主的組織と活動の自由、勉学、スポーツ、文化活動、レクリエーションなどの設備や条件などの大幅な改善、労働および社会生活における地位の向上、とりわけ18歳選挙権を実現させる。
 党は、児童憲章および子どもの権利条約の完全な実施、子どもの健康と福祉のための社会施設と措置の確立を要求する。
 党は、労働者、農漁民、勤労市民その他、国民各層にわたる社会的貧困と失業、病気や障害、高齢などによる生活の不安と苦しみを解決し、健康で文化的な生活をいとなむことができる社会保障制度の総合的な充実と確立のためにたたかう。とくに高齢者の生活を保障するため、年金、医療、福祉、介護の体制の改善・拡充をはかる。
 党は、日本独占資本の収奪と支配およびアメリカ帝国主義の圧迫に反対する中小企業家の要求を支持してたたかう。
 党は、独占資本の活動や軍事基地などによる環境破壊と公害に反対し、自然と環境をまもる。
 党は、原子力の軍事利用に反対し、自主・民主・公開の三原則の厳守、安全優先の立場での原子力開発政策の根本的転換と民主的規制を要求する。
 党は、災害・事故の絶滅のために努力し、その根源となっている軍事優先、独占資本本位、人命軽視の政治の転換をめざす。とくに多くの人命が一挙に失われる航空事故など大量交通機関の事故をふせぐため、関係企業の安全無視の利潤追求体質にきびしい規制をもとめる。
 党は、日本文化の意義ある民族的伝統をうけつぎひろめ、教育、科学、技術、芸術、スポーツなどの民主主義的発展と向上のために、また思想と表現の自由のためにたたかう。
 党は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の利益を優先させる財政経済政策に反対し、経済の自主的平和的発展のためにたたかう。アメリカ帝国主義による貿易の制限を打破し、日本独占資本の帝国主義的対外進出に反対し、すべての国との平等・互恵の貿易を促進する。日本経済にたいするアメリカ資本の支配や特権を排除するためにたたかう。納税者憲章の制定、大企業への特権的優遇をやめさせて、勤労者の負担を軽くする税制の民主的改革、軍事費を徹底して削減し国民の福祉にあてることを要求する。国民の利益をまもる立場から、金融機関をふくめ独占資本にたいする民主的規制を要求する。

第六章 独立、民主、平和日本の実現めざして

民族民主統一戦線と党の役割

 日本共産党は、以上の要求の実現をめざし、独立、民主主義、平和、中立、生活向上のためにたたかうなかで、労働組合、農民組合をはじめとする人民各階層、各分野の大衆的組織を確立し、ひろげ、つよめるとともに、反動的党派とたたかいながら民主党派、民主的な人びととの共同と団結をかため、民族民主統一戦線をつくりあげる。この民族民主統一戦線は、労働者、農漁民、勤労市民、知識人、女性、青年、学生、中小企業家など、平和と祖国を愛し民主主義をまもるすべての人びとを結集するものである。
 党は、すべての民主党派や無党派の勤労者を階級的には兄弟と考えており、これらの人びとにむかって心から団結をよびかけ、そのために力をつくす。それは、団結に反対し団結をやぶるいっさいの正しくない傾向とのたたかいを必要とする。当面のさしせまった任務にもとづく民主勢力と広範な人民の共同、団結を、世界観や歴史観の相違などを理由としてこばんだりさまたげたりすることは、祖国と人民の解放の根本的な利益をそこなうものである。
 広範な人民の団結をめざすこの闘争で、党は大衆とかたくむすびつき、その先頭にたって推進的な役割をはたさなければならない。とくに労働者階級を科学的社会主義の思想、反核・平和と主権擁護の国際連帯の精神でたかめ、わが国の民主主義革命と社会主義の事業への確信をかため、その階級的戦闘性と政治的指導力をつよめる。それとともに、農漁民、勤労市民のあいだで党の影響力をひろげ、労働者、農漁民、勤労市民の階級的な連携を確立しなければならない。民族民主統一戦線の発展において、決定的に重要な条件は、日本共産党を拡大強化し、その政治的力量をつよめ、強大な大衆的前衛党を建設することである。日米支配層の弾圧、破壊・分裂工作、反共主義をはじめ各種の思想攻撃などとのたたかいは、この事業の全過程にわたって重要である。

統一戦線政府から革命の政府へ

 民族民主統一戦線の勢力が、積極的に国会の議席をしめ、国会外の大衆闘争とむすびついてたたかうことは、重要である。国会で安定した過半数をしめることができるならば、国会を反動支配の機関から人民に奉仕する機関にかえ、革命の条件をさらに有利にすることができる。
 党は、国民の多数を民族民主統一戦線に結集し、その基礎のうえに政府をつくるために奮闘する。この政府をつくる過程で、党は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配を打破していくのに役だつ政府の問題に十分な注意と努力をはらう。一定の条件があるならば、民主勢力がさしあたって一致できる目標の範囲で、統一戦線政府をつくるためにたたかう。
 民族民主統一戦線のうえにたつ政府の樹立は、日米支配層のあらゆる妨害に抗しての闘争である。そして、この政府を革命の政府、革命権力につよめる土台は、当面する民主主義革命の目標と任務にむかっての、民主勢力の広範な統一と大衆闘争の前進である。アメリカ帝国主義と日本独占資本に反対する強大な民族民主統一戦線が発展し、反民族的・反人民的な支配勢力を敗北させるならば、そのうえにたつ民族民主統一戦線政府は革命の政府となり、日本独占資本を中心とする支配をやめさせ、アメリカ帝国主義への従属関係をたちきって主権を回復し、人民の手に権力をにぎることができる。
 この権力は、労働者、農民、勤労市民を中心とする人民の民主連合の性格をもち、世界の平和と進歩の勢力と連帯して独立と民主主義の任務をなしとげ、独占資本の政治的・経済的支配の復活を阻止し、君主制を廃止し、反動的国家機構を根本的に変革して民主共和国をつくり、名実ともに国会を国の最高機関とする人民の民主主義国家体制を確立する。
 独立・民主・平和日本の建設によって、日本国民の歴史は根本的に転換する。日本国民は、アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配、抑圧と収奪から解放され、はじめて国の主人公となる。日本国民がかちとってきた自由と民主主義の成果は歴史的に継承され、市民的・政治的自由、生存の自由、民族の自由という三つの分野でさらに充実し、発展する。民族の主権と威信は回復され、日本は侵略戦争の温床であることをやめ、アジアと世界の平和の強固ないしずえの一つとなる。
 独占資本主義の段階にあるわが国の民主主義革命は、客観的に、それ自体が社会主義的変革への移行の基礎をきりひらくものとなる。党は、情勢と国民の要求におうじ、国民多数の支持のもとに、この革命を資本主義制度の全体的な廃止をめざす社会主義的変革に発展させるために、努力する。

第七章 真に平等で自由な人間社会へ
     ――社会主義、共産主義と人類史の展望

 日本人民の自由と幸福は、社会主義の建設をつうじていっそう全面的なものとなる。社会主義の目標は、資本主義制度にもとづくいっさいの搾取からの解放、まずしさからの最終的な解放にある。そのためには、社会主義建設を任務とする労働者階級の権力の確立、大企業の手にある主要な生産手段を社会の手に移す生産手段の社会化、国民生活と日本経済のゆたかな繁栄を保障するために生産力をむだなく効果的に活用する社会主義的計画経済が必要である。その推進にあたっては、農漁業・中小商工業など私的な発意の尊重、計画経済と市場経済の結合など弾力的で効率的な経済運営、社会主義的民主主義の発揚、民族自決権の擁護・核兵器廃絶を中心とする世界平和への積極的貢献などを重視し、堅持しなければならない。国民の消費生活を統制したり画一化したりするいわゆる「統制経済」は、社会主義日本の経済生活とは、まったく無縁のものである。
 党は、社会主義建設の方向を支持するすべての党派や人びとと協力する統一戦線政策を堅持し、勤労農民および都市勤労市民、中小企業家にたいしては、その利益を尊重しつつ、これらの人びとを納得をつうじて社会主義社会へみちびくように努力する。
 社会主義社会は共産主義社会の第一段階である。この段階においては、人による人のいっさいの搾取が根絶され、階級による社会の分裂は終わる。社会主義日本では「能力におうじてはたらき、労働におうじてうけとる」の原則が実現され、これまでになく高い物質的繁栄と精神的開花、広い人民のための民主主義が保障される。
 共産主義社会の高い段階では、生産力のすばらしい発展と社会生活の新しい内容がうちたてられ、社会は、「能力におうじてはたらき、必要におうじてうけとる」状態に到達する。組織的かつ系統的な暴力、一般に人間にたいするあらゆる暴力は廃絶される。原則としていっさいの強制のない、国家権力そのものが不必要になる共産主義社会、真に平等で自由な人間関係の社会が生まれる。
 人類は、こうして、ほんとうの意味で人間的な生存と生活の諸条件の保障をかちとり、人類史の新しい発展段階に足をふみだすことになる。
 日本共産党は、このような社会の建設をめざして、当面アメリカ帝国主義と日本独占資本の支配とたたかい、真の独立と民主主義を達成する人民革命の勝利のためにたたかうものである。





(私論.私見)

 

  不破(当時、幹部会委員長)は、2000年7月20日、日共創立78周年記念講話日本共産党の歴史と綱領を語る 戦後の党の歴史から―1950年代のソ連・中国の干渉と『軍事方針』」全文へ)で次のように述べている。

 自主独立の立場と党綱領の路線

 では次に、この二つの党大会でわが党がどのような路線を確立したのか、どのような方針を確立したのか、その問題に進みたいと思います。

自主独立の立場とは――外国の干渉を許さない、どんな外国の経験もモデルにしない

 一つの大事な点は、自主独立という立場であります。

 「五〇年問題」という本当に手痛い経験を通じて、そこからわが党はこの立場――自主独立の立場を確立しました。

 それは、
  どんな大国やその党であれ、外国からの干渉は許さないということ、
  どんな外国の運動や体制もお手本、モデルにしない。日本の条件に合った方式、進め方をつくりだしていくということ、
 これが基本でした。

 これは、当時の世界の共産党の中では、もっとも先進的な立場でした。そして、それが、口先だけのもの、言葉の上だけのものではなく、本物であったということは、その後のソ連の干渉との闘争、中国の干渉との闘争、こういうたたかいで十二分に試されたと思います。この自主独立というのが第一の点であります。

党綱領のいくつかの特徴点

 次は、第八回党大会で採択した綱領の内容であります。ここでは、そのいくつかの特徴点だけをお話しします。

 第一の点は、日本の社会と政治のどんな変革も議会の安定多数を得て実現することをめざす、つまり平和的、合法的な方法によって政府をつくることをめざす、このことであります。これは、干渉者が過去に押しつけてきたような武装闘争方針や暴力革命の路線をしりぞけるということを、党の綱領の上できっぱりと表明したものでありました。

 国民の多数、選挙で多数の支持を得て前進する――われわれはこの方針を「多数者革命」とよんでいますけれども、国民主権の旗を貫いてきた日本共産党としては、まさに当然の立場でした。

 第二の点は、当面の変革の内容について、民主主義革命論の立場をとったことであります。日本は高度に発達した資本主義国でありますが、資本主義から社会主義に進むということは今の課題ではない、「資本主義の枠内での民主的改革」が日本社会の当面の中心課題だということを見定めた方針でありました。

 とくにその内容として、日米軍事同盟を中心にしたアメリカへの従属関係をなくすこと、大企業の横暴な支配を打ち破ること、この二つの内容を大事な要(かなめ)として規定しました。日本の政治を変え、社会を変えるというとき、日米安保条約にもとづくアメリカへの追随・従属の問題、それから大企業の横暴な支配の問題、ここに最大の焦点があるということは、この綱領決定以来約四十年間にわたるわれわれの活動のなかで、またその間の日本の情勢の進展のなかで、十分に証明されたことであります。

 実は当時、世界の多くの国々、特に日本と同じような進んだ資本主義の段階にあった国々の共産党は、圧倒的多数が社会主義革命論をとっていました。そのなかで、日本共産党が社会主義革命論をしりぞけて、民主主義革命論――資本主義の枠内での改革・変革という方針を決めたことは、こういう問題でも、日本共産党の独自の立場を示したものとして、注目されました。

 第三の点は、この綱領が、社会は段階的に発展するものだという立場を貫いていることであります。共産党でありながら、社会主義革命をすぐの問題にしないで、まず「資本主義の枠内での民主的改革」をめざすということ自体が、段階的発展の考え方を示していますが、私たちは、綱領のなかで、さらに民主主義の問題にも、いろいろな段階があるという立場を明らかにしました。

 たとえば、綱領には政府の問題についての規定があります。民主的な改革を全面的に本格的にやりとげる政府が目標だが、それにいたる過程にもいろいろな段階の政府がありうるということが、綱領のことばでのべられています。これは、一口に民主主義革命といっても、その民主主義そのもののなかに、国民の間で問題が成熟する度合いに応じて、いろいろな時期、いろいろな問題提起がありうるということを示したものであります。

 改革の内容についても、たとえば綱領では、日本の民主主義を徹底する立場から、将来、君主制を廃止するという問題を、大きな目標にしています。しかし、当面の改革の内容を定めた行動綱領では、この問題をとりあげていません。同じ民主主義の問題でも、君主制の廃止が問題になるのは、もっと進んだ時期の問題。国民世論の間でこの問題が成熟するといいますか、これを解決することがそういう意味で日程にのぼってきた時に問題になるという位置付けで、当面の行動綱領からは省いているわけです。

 そういう点で、民主主義の問題でも、あるいは民主主義と社会主義との関係の問題でも、社会は国民多数の世論の成熟に伴って段階的に発展するという考え方を貫いていることは、この綱領の特徴です。

 第四の点としてあげておきたいのは、綱領が社会発展の全過程で、統一戦線と連合政権ということを、一貫した方針にしているという点です。いまの民主主義の段階では、もちろん統一戦線の方針を明記しています。しかし、将来、社会主義の改革が問題になるときにも、綱領では目標が一致するすべての党派、勢力と共同するという立場を明記しています。つまり、その時々、当面する改革の中身で一致する政党、団体、個人が共闘すること、そしてその共闘が国民多数の支持を得た場合には、そういう勢力による連合政権をめざすこと、これは日本の政治を変え、社会を変える大方針として、綱領が一貫した特徴としているところであります。

 当時は、革新政党といわれた社会党などは、綱領の文献で「社会党単独政権をめざす」ということを明記していました。しかし、私たちは、最初から、単独政権ということは問題にしませんでした。社会というのは、いろいろな考えの人々から成り立っているのですから、社会のさまざまな流れを代表するいろいろな政党がありうる。それぞれの時期に、改革の中身では一致しても、いろいろな政党がありうる。そういう政党・団体の協力・共同で、一歩一歩前進していく。これがわれわれの基本的立場であります。

 こういう内容の綱領路線を確立したからこそ、さまざまな時期に、状況にあった弾力的な対応ができる、そういう力を私たちの党の活動に、また政策に与えている。そこに綱領の大事な点があることをくみとっていただきたいと思います。

二つの大国の干渉との闘争

 この綱領を決め、自主独立の態度を決めたあと、日本共産党は六〇年代に新たな試練に見舞われました。それは、形は変わりましたが、再びソ連、中国という二つの大国の干渉にぶつかったということであります。

 六一年の党大会で新しい路線を決めたときには、党はまだ小さいものでした。党の内部の討論で、「五〇年問題」の過去の誤りを克服したといっても、いったん断ち切られた国民と党との間のつながりは、なかなか回復しませんでした。

 五九年に参議院選挙がありましたが、そのときの得票は全国区で五十五万票、一・九%でした。それから六〇年十一月、安保闘争のあとに総選挙がありましたが、そのときの得票は百十六万票、二・九%でした。議席でいうと、党の綱領を決めた第八回大会の時点では、衆議院三議席、参議院三議席、合計六議席というのが、われわれの議会勢力でした。

 そのまだ小さな力だった日本共産党に、六〇年代に再度の干渉が加えられてきたのです。

二つの大国の党が両側から同時攻撃――世界に他に例がなかった

 今度は五〇年代の干渉とは違って、ソ連、中国がお互い論争の関係にありましたから、それぞれ別個に干渉をくわだててきたわけであります。干渉の攻撃がはじまったのは、ソ連は一九六四年から、中国は一九六六年からでした。そのやり方は共通のものでした。

 党内にソ連派を組織する、中国派を組織する。そして内部から主導権を奪って、日本共産党を自分たちの支配下に置こうというやり方でした。そしてまた、日本共産党を日本の政界で孤立化させるために、他の政党との関係を利用する、こういう攻撃の手口もソ連、中国共通してとられました。

 こういう形で二つの大国の党から同時に干渉の攻撃を受けた党は、世界にはほかにはありませんでした。これは、日本共産党が自主独立の党であることの証明でもありましたが、証明だといって喜んではいられない、なかなか大変苛烈(かれつ)な事態でした。

 しかし、私たちはこれを完全に打ち破りました。二つの大国主義にたいする闘争とこの勝利は、私は、二十世紀の歴史に書き込まれるにふさわしいものだと思っています。(拍手

攻撃の旗印――ソ連は「応援団」化の要求、中国は暴力革命論のおしつけだった

 攻撃の旗印はそれぞれ違っていました。ソ連共産党の攻撃は、ソ連の対外政策を無条件に支持せよ、その応援団になれというものでした。そして、わが党を攻撃しただけではなく、原水禁運動など日本の平和運動をソ連の応援団に変えようとして、あらゆる策謀をめぐらせました。私たちは平和諸団体とも協力して、この干渉策動を完全に打ち破りました。

 中国共産党は、毛沢東たちが国内で「文化大革命」を起こしているのと並行して、日本への干渉攻撃をおこないました。内容はいろいろありましたが、その中心になったのは、再び暴力革命路線の押しつけでした。「鉄砲から政権が生まれる」――ここに中国革命の世界的な教訓があるとして、レーニンの『国家と革命』などをふりかざしての攻撃がおこなわれました。

 私たちは、これにたいして、レーニンを不変の真理、いつでもどこでも通用する絶対の真理扱いすることに反対し、マルクス以来の科学的社会主義の理論と運動のなかには、民主的議会制度をかちとる闘争、そしてまたそのもとで「議会の多数をえて革命にすすむ」という方針が一貫して流れていることを明らかにし、この無法な攻撃を理論的にも打ち破りました。

 最近、私が発表しているレーニンの研究は、それから三十数年たった段階で、当時の研究をより発展的に展開したものだと思って読んでいただければありがたいと思います。

 そして、いまあらためて痛感するのですが、中国からの当時の干渉は、ただ日本共産党への攻撃にとどまるものではありませんでした。いわゆる「過激派」を礼賛し、彼らが暴力行動をやると、新聞や北京放送でこれを賛美、激励する。さらに具体的に「すべての過激派大同団結せよ」というよびかけを発する。そこまでやったわけで、日本の内政にたいする外国からの目に余る干渉でした。

 しかし当時、日本共産党以外に、これを批判した政党は一つもありませんでした。反対に、「文化大革命」を礼賛し、だれが中国との関係の窓口になるかを争い合うというのが、社会党から自民党、公明党まで含めた日本の政界の圧倒的な流れになっていました。わが党に、いま根拠もなしに、「暴力革命論」をなすりつけようとしている反共派は、えりを正してこの歴史を振り返るべきではありませんか。(拍手

干渉問題の政治的決着はついた

 この二つの大国主義の干渉との闘争は、政治的にも明確な決着がつきました。

 ソ連とは、干渉の開始以来十五年たった一九七九年にソ連側が誤りを認めたので、それを基本として関係を正常化しました。ソ連はいろいろな国に干渉をやりましたが、干渉の誤りを公式に認めて関係を正常化したというのは、資本主義国の共産党との間では、これが最初にして最後のことでした。

 しかし、ソ連の大国主義、覇権主義とのたたかいは、アフガニスタン問題など、その後も続き、九一年のソ連共産党とソ連の崩壊に至りました。私たちはソ連共産党解体の時に、「歴史の進歩を妨げてきた巨悪が崩壊したものとして、これを歓迎する」という声明を発表しました(拍手)。これは、私たちの多年にわたるソ連大国主義との闘争の文字通りの実感を示したものでした。

 中国共産党とは、干渉が始まってから三十二年後の一九九八年に、中国の現在の指導部と関係を正常化しました。それに臨んだ中国側の態度には、私は、かつてのソ連に見られない誠実さがあったということを、ここで指摘しておきたいと思います。

 いまの中国の指導部は、大多数が「文化大革命」の時代に迫害されていた人たちであります。ですから、日本への干渉には直接の責任はありません。そしてまた、干渉の事実も具体的にはあまりよく知っていません。しかし、中国側は、私たちの指摘に応じて過去の歴史もよく調べ、毛沢東時代に明確な干渉の誤りがあったことを率直に認め、それを総括して是正することを明らかにし、しかも、われわれと合意したその内容を、テレビ、新聞などを通じて天下に公表し、今後の活動の教訓にするという態度まで示しました。

 一九七九年のソ連との関係正常化は、これとはまったく様子がちがっていました。誤りを認めたものの、認めたことをソ連の国民にはできるだけ知らせたくない、という調子が一貫していました。そして日本共産党には誤りを認めたが、その口の下で、もうすぐアフガニスタンへの侵略戦争を起こすという態度でしたから、本当にソ連の大国主義の病は救いがたいということを、われわれは関係正常化の後も痛感したものでありました。

 しかし、中国共産党との間では、それとはちがう誠実さを、私は感じました。

 中国共産党との関係正常化についての合意のその部分を紹介しておきます。

 「中国側は、六〇年代の国際環境と中国の『文化大革命』などの影響を受け、両党関係において、党間関係の四原則、とくに内部問題相互不干渉の原則にあいいれないやり方をとった(「内部問題相互不干渉の原則にあいいれないやり方」というのは、「干渉の誤りを犯した」ということです)ことについて真剣な総括(経験を総括して反省すること)と是正(誤りをただすこと)をおこなった。日本側は中国側の誠意ある態度を肯定的に評価した」

 この合意が日本共産党と中国共産党の、その後の二年間にわたる友好・交流の関係の固い基礎となっているわけであります。

 いま見てきたこの闘争というのは、自主独立の立場の点でも、議会の多数をえて政治の変革をすすめるという大方針の点でも、日本共産党の路線が、口先だけのものではない本物であることを、いわば党の生死をかけた闘争で実証した歴史となりました。

日本共産党をヨーロッパから見ると

 とくに自主独立の立場についていいますと、ソ連共産党の崩壊の前後に、ヨーロッパの共産党の幹部が、私たちにいろいろな感想を寄せてくれました。

 たとえば、スイスのある党の幹部は“日本共産党にたいするソ連の干渉をはねのけて、相手に誤りを認めさせて公正な決着をつけたあなた方の党のたたかいは、われわれにとってほんとうに驚きだった。いちおう党間の関係の基準はうたわれているのだが、実際にはソ連が絶対的で、ソ連指導部の意向には逆らえないというのが不文律だった。これが現状だった。フランス共産党はいうまでもないが、イタリア共産党も、ソ連と意見の違いがあっても、折り合い方をきちんと心得ていた”と語りました。つまり、自主独立という言葉はヨーロッパにもあったが、ヨーロッパのそれと、日本共産党のそれはまったく違っていた、という感想です。

 ベルギーの党の幹部はこういっていました。“われわれはソ連が誤りを犯した時には、慎重にそれを指摘してものはいった。しかし、当時は妥当だと思えたことも、いまからみると、非常にみみっちいことでしかなかった。率直にいって、当時は、あなた方の党を大胆不敵な党、「アンファン・テリブル」(異端児)とみていた。ヨーロッパ流の物差しをいくら引き伸ばしても、あなた方のようなソ連との対決の仕方はでてこなかった。しかし、その大胆不敵さが歴史の進歩に合致していたことが証明された”。

 こういう党だからこそ、私たちは、ソ連共産党の解体に際して、先のような歓迎の声明を発表することができたのであります。そしてまた、世界的には共産党の運動が困難な時期を迎えたとされる九〇年代に、党の歴史の上でも特筆すべき大きな前進を、全体として記録することができたのであります。(拍手


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今日の到達点

 自主独立の立場を確立し、党の綱領を決めてから、約四十年になりますが、この四十年間に、日本共産党のたたかいがどこまできたか、そのことを次にみてみたいと思います。

 総選挙で後退はしましたが、現在、日本の情勢とわが党の活動の到達点は、日本の将来にとってきわめて重大な転換点にあると思います。いくつかの角度からみてみましょう。

自民党政治の危機とゆきづまりはここまで来ている

 第一に、長期にわたって日本を支配してきた自民党政治が、ゆきづまりと危機に落ち込んでいることであります。

 二つの面をあげましょう。自民党の得票率は、私どもが綱領を定めた時期には、総選挙で五八%(一九六〇年)という水準でした。それが六〇年代後半から、四〇%台に落ちました。しかし、九〇年の総選挙では、まだ四六%でした。それが、九三年に三七%、九六年は比例代表選挙で三三%、今年の総選挙では比例代表で二八%、そこまで低下しました。九〇年代の十年間で四六%から二八%に後退したわけです。

 だからこそ、自民党は、単独政権がもはや不可能になっているのです。連立政権を組まざるをえない。しかし、その連立政権があらたな深刻な矛盾を生む。選挙制度をゆがめることで議席の多数を維持することができても、政治的な安定はきわめて困難な情勢に入りつつある。これが、得票の面から見た自民党政治のゆきづまりの現状であります。

 政治の内容ではどうか。さきほど筆坂さんからくわしい説明がありましたが、大企業中心主義が財政の大破たん、社会保障の大破たんを生み出し、自民党政治の枠のなかで、国民が納得できる活路を生み出すことは、いよいよ困難になってきています。

 外交面でも、軍事同盟中心という日本外交が、アジアでも世界でも孤立を深めつつあることは、きわめて明白であります。いまのサミットでも、これに先立つ形で先日外相の会談がおこなわれましたが、日本の目の前でおこなわれた朝鮮半島の南北首脳会談について、集まった各国外相が口をそろえてその意義を高く評価するのにたいして、日本の外相だけが渋い評価をし、まだ危険性が消えない、消えないといっていたと報道されました。そこには、日本政府の軍事同盟中心外交の孤立化が、絵にかいたような感じで現れています。

 得票面、つまり国民とのつながりの面と、政治の中身の面、この両面から、自民党政治のゆきづまりが新しい段階を迎えていることは、きわめて大事な点であります。

「日本改革」の提案は、綱領の今日的な具体化

 第二は、それにたいして、わが党が綱領の方針を「日本改革」の提案にまで具体化してきたことが大事であります。

 相手側の大企業中心主義の矛盾――予算の面で現れた矛盾、あるいは経済ルールの面で現れた矛盾などの深刻化をとらえて、私どもはこれを「日本改革」の提案に具体化しました。それは、ゆきづまった自民党政治に代わって、二十一世紀の日本の進路を開く国民的な対案となりうるものであります。

 私どもはこの道をさらに進み、その具体化を進めて、自民党政治に代わる新しい政治を切り開く役割を、この面でも大いに果たしてゆきたいと思います。(拍手

集中的な反共攻撃も、日本共産党の位置と役割の重大さを示している

 第三は、今度の選挙で大問題になった反共攻撃そのものが、日本共産党の現在の政治のなかでの位置と役割の重大さを示しているという点であります。

 「国民が主人公」の立場で一貫している日本共産党の存在と活動が、自分の政治のゆきづまりにおびえている相手側にとって、いよいよがまんのならないものになっている。そのことが、あの謀略的集中的な攻撃に現れているといえます。

 しかも、そこには明らかに彼らの衰えも示されます。七〇年代のわが党の躍進を食い止めるために、彼らは、七〇年代の中ごろから、大反共攻撃をやってきました。しかし、それは、どれも政党としての正面からの挑戦でした。自民党は「自由社会」キャンペーンをおこないました。公明党は憲法論争をしかけてきました。民社党も、宮本さんの戦前の治安維持法等事件をとりあげるという卑劣なものでありましたが、やり方は党の委員長が国会の代表質問でとりあげるという政党としての攻撃でした。

 しかし、今回の反共攻撃は、怪文書、謀略ビラによる暗やみの攻撃が特徴であります。執行部隊が公明党・創価学会であったことは、一部マスコミもずっと後追いして検証していますが、しかし、自民党も公明党も創価学会も、「知らぬ存ぜぬ」を決め込んでいます。つまり、昼間のお日様のもとではやれない攻撃だということを、みずから認めているわけです。

 これは、みなさん、七〇年代の反共攻撃にくらべて、大変な衰えぶりではありませんか。(拍手

 しかし、政権の危機が深いだけに、攻撃は手段を選ばぬものになっており、これを全面的に打ち破る闘争は、これからの日本の政治を切り開くためにもきわめて重要であります。

21世紀への転換に攻勢的に取り組む力量をもった党に

 第四に、日本共産党の発展が二十一世紀への情勢打開のカギだということであります。謀略攻撃で押し返されましたが、今度の選挙で得たわれわれの支持が、得票率の点で七〇年代の躍進の時期の峰を越えるものであったことは、冒頭にご紹介しました。二十一世紀には、ここから出発して、政治的にも組織的にも理論的にも、この転換の時期を攻勢的に打開できる力量をもった日本共産党をつくる、このことが、いま決定的に重要になっています。ここにいまの情勢の簡潔に見た到達点があるということを申しあげたいのであります。

世界と日本の未来像――社会主義の展望

 最後に社会主義の問題についてのべたいと思います。

資本主義は永久不滅のものではない

 反共派の綱領攻撃の中心点の一つは、社会主義の問題にありました。「日本共産党が資本主義の枠内での改革といっているのは薄化粧だ、本音は社会主義だ」、こういう種類の攻撃であります。

 これは、いわば日本と世界の未来をどう見るかにかかわる話であります。

 私たちが、いま必要な改革に真剣に力をつくしながら、日本と世界の将来像について資本主義の枠にとらわれない、より壮大な理想を掲げる、これは世界と人類、日本社会の進歩を大きく展望する政党としては、当たり前の立場ではありませんか。(拍手

 私は、私たちがその展望を持っていることを非難の対象にしようとしている人びとにたいして反問したいのであります。“あなたがたは資本主義を永久に不滅だと考えているのか”“またそう考える者でないと、いまの日本で政治の改革を唱える資格はないと考えているのか”。(笑い)

 だいたい、社会のしくみというものは永久不変のものではありません。この日本列島でも、最近の発掘によって、数十万年前から人間が生活していたことは明らかになってきましたが、最初から資本主義が続いたわけではありません(笑い)。原始共産社会と呼ばれる階級の差別も対立もない社会から、日本型の奴隷制社会にかわる。それがまた武家を中心にした封建制の社会にかわり、変革の時期はその封建制の時代にもいろいろありました。そして明治以後資本主義の日本にかわる。社会の交代を何回も経験してきたのが、日本の歴史であります。

 資本主義の時代というのは、数十万年にわたるこの列島での人間の歴史のなかで、まだ百数十年の短い時期のことであります。私たちは、利潤中心主義というこの体制がいつまでも続くとは考えておりません。それを乗り越え、資本主義時代に築かれた文化と経済の全成果のうえに、人間が中心となる新しい社会を築こうというのが、社会主義の理想であります。(拍手

 私たちは、この未来像について、細かい、精密な青写真を描くつもりはありません。それは、日本の国民が歴史的な歩みのなかで解決してゆく問題だからであります。

 党の綱領は社会主義についてのべていますけれども、それは私たちがいま持っているごくおおまかな見通しを示しているだけであります。しかし、その中にも、社会主義論の大事な点がいくつかあります。

ソ連社会は、社会主義とは無縁な人間抑圧の体制だった

 第一は、ソ連型の経済・政治体制、社会体制にたいする徹底した告発、これは、社会主義とは縁のない社会だったという認識であります。(拍手

 党の綱領は、「ソ連およびそれに従属してきた東ヨーロッパ諸国の支配体制の崩壊は、科学的社会主義の失敗ではなく、それから離反した覇権主義と官僚主義・専制主義の破産である。これらの国ぐにでは、革命の出発点においては、社会主義をめざすという目標がかかげられたが、指導部が誤った道をすすんだ結果、社会の実態として、社会主義社会には到達しえないまま、その解体を迎えた。ソ連覇権主義という歴史的な巨悪の解体は、大局的な視野でみれば、世界の革命運動の健全な発展への新しい可能性をひらいたものである」、こういう告発と認識をしめしています。

 それからまた、綱領のこの改定をおこなった第二十回党大会(一九九四年)で、それについて報告したとき、私は、こうのべました。

 「社会主義とは人間の解放を最大の理念とし、人民が主人公となる社会をめざす事業であります。人民が工業でも農業でも経済の管理からしめだされ、抑圧される存在となった社会、それを数百万という規模の囚人労働がささえている社会が、社会主義社会でないことはもちろん、それへの移行の過程にある過渡期の社会などでもありえないことは、まったく明白ではありませんか」(拍手

 スターリン以後のソ連の体制にたいするわれわれのこういう認識は、ソ連が解体してからにわかに生まれたものではありません。これは、三十年にわたるソ連の大国主義、覇権主義との闘争を通じて、私たちが到達した結論であります。

 私自身の実感をいいましても、まず最初、ソ連が六〇年代にあの乱暴な干渉をおこなってきたとき、困難ななかで活動している資本主義国の党にたいして、政権を握っている社会主義国の党が乱暴な干渉をおこなってそれを押しつぶそうとする、そんなものがいったい社会主義国の党であろうか、そういう根本的な疑問を持ちました。

 私たちは、そのことを、彼らにたいする手紙にもはっきり書きました。あなたがたがやっていることは社会主義ではない、と。

 しかし、その後も、わが党にたいする干渉が続くだけではなく、チェコスロバキアやアフガニスタンへの侵略が重ねられました。そういうことが平気で繰り返される体制が社会主義であるはずがない。私たちは、そういう問題にぶつかる一歩ごとに、ソ連の体制にたいする認識を深めました。

 私自身についていいますと、いまから十八年前、一九八二年に「スターリンと大国主義」という文章を「赤旗」に連載して、のちに新書にまとめましたが、そのなかで、彼らが社会主義のモデルだと主張している「ソ連型社会主義」というのは、社会主義の典型でないことはもちろん、社会主義のロシア的な道でもない、「スターリンとその後継者たちがおかしてきた多くの誤りや科学的社会主義の諸原則からの逸脱」を、体全体に刻みつけた異常な体制だと告発しました。

 そういうわれわれの批判的な認識の深まりが、ソ連解体後一挙に明るみに出た社会の内情についての材料の分析と結びついて、第二十回党大会でのあの結論――ソ連は社会主義でも、それへの過渡期でもなかった、抑圧型、人間抑圧型の体制だった、という結論になったのであります。

 ですから、私たちは、日本共産党がめざしている社会主義はソ連に近づくものだなどという攻撃にたいしては、このわれわれの立場を前面に押し出してこれをきびしく退けるものであります。(拍手

本来の社会主義は、資本主義時代の価値ある成果のすべてをうけつぐ

 第二は、われわれがめざす社会主義、本来の社会主義は、政治・経済・文化・社会の全体にわたって、資本主義時代の価値ある成果のすべてを受け継ぎ発展させるものだということであります。どんな分野でも、そこからの逆行は許されません。

 私たちが二十四年前、一九七六年の党大会で決定した「自由と民主主義の宣言」は、その精神でつくられたものであります。私たちはこれを、党の綱領に準ずる文書として扱っています。

 たとえば、私たちは日本の進歩の将来を展望した場合、いまの憲法ですえられた議会制民主主義の体制、政治的民主主義の体制が、その値打ちをしっかりと維持し、より充実・発展するべきものだと考えています。反共派は、共産党は独裁政治をめざすなどといいたてますが、われわれはそんなことはまったく許さないということが、「自由と民主主義の宣言」には明記されています。

 政党の問題では、この「宣言」はこう書いています。 「反対党をふくむ複数政党制をとり、すべての政党に活動の自由を保障し、選挙で国民多数の支持をえた政党または政党連合で政権を担当する。この議院内閣制(議会多数派で組閣)によって、政権交代制は当然維持される」

 私たちは、いまの日本の国民がかちとった議会制民主主義、政治的民主主義を、将来どんな社会の発展段階になろうがきちんと守り発展させることを、この宣言でそこまで明確に明記しているのであります。

 経済の問題でも、国民の権利の問題、人権の問題でも、あるいは民族の自由の問題でも同じであります。

 だから、そのことをふまえて党の綱領は、「日本国民がかちとってきた自由と民主主義の成果は歴史的に継承され、市民的・政治的自由、生存の自由、民族の自由という三つの分野でさらに充実し、発展する」、後戻りは許さないということを、社会主義をふくむ社会発展の展望のなかで明記しているのです。

利潤第一主義をのりこえる新しい社会の探究は必ず21世紀の世界的な課題となる

 第三は、では資本主義を乗り越えた新しい社会への体制的な特徴はどこにあるのかという問題であります。

 根本は、利潤第一主義を乗り越えることであります。人間による人間の搾取をなくすことであります。

 どんな問題でも、利潤が第一の原理、動機、目的になって経済が動く、政治が動く、そういう体制は未来永劫(えいごう)であってはなりません。これを乗り越える。そのためには、主な生産手段を社会全体の手に移すことが必要になる、その基盤の上にこそ、人間が主人公と呼びうる社会が築かれる、これがマルクスが資本主義社会の分析から引き出した結論でした。

 このことを「生産手段の社会化」とよびますが、それでは主な生産手段を社会が握るというやり方を、どういう形、どういう方式で実現するのか、その青写真はマルクスも描きませんでした。これは、それぞれの国でその必要を自覚するところまで進んだ国民が、そのみずからの英知、知恵と経験を結集してうみだすべきものであります。

 とくに今の世界には、社会主義の理想へ向かおうといって足を踏み出した国はありますが、発達した資本主義国でこれを探求する道に足を踏み出した国はまだ地球上にありません。それだけに、これは人類にとって“新しい挑戦”と呼ぶべきものであります。

 しかし、いま世界で深刻化している経済問題――大量失業、環境問題、南北問題、多国籍企業の問題、金融投機など、どの問題を取り上げても、これは、国境を越えた資本主義の利潤第一主義に根っこがある問題が大多数です。世界の歴史のなかで、資本主義そのものの是非が問われる情勢が一歩一歩進んでいることは、多くの方面から指摘されています。

 私たちは、二十一世紀には、世界的にも、利潤第一主義の克服が歴史的な課題になるときが必ずやって来ることを、確信しています。

 その世界の動きのなかでは、利潤第一主義の被害を最も鋭い形で受けているアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの発展途上国はひとつの重要な役割を果たすでしょう。同時に、この動きのなかで、日本のような高度に発達した資本主義国での国民の運動、たたかいが大きな意義を持つことも間違いないところだと思います。そこには二十世紀にはなかった新しい特徴があります。

 私たち日本はいま、「資本主義の枠内での民主的改革」という課題に直面しています。その改革で前向きの成果を上げ、国民の利益を中心にして政治や経済を国民の意思で動かすという経験を積むならば、将来、日本と世界がさらに進んだ改革の必要に直面したときにも、その成果と経験を踏まえて、日本の国民がその知恵を前向きに発揮するだろうことは疑いないことだと思います。

「人間は自分の歴史を自分でつくる」――歴史をひらく決意と勇気、そしてロマンをもって

 いまはまだ二十一世紀の前夜であります。私たちが現実に掲げているのは、二十一世紀の早い時期に民主連合政府をつくり、資本主義の枠内での民主的な改革、具体的には「日本改革」を実行するという“控えめ”な目標であります。しかし、“控えめ”といっても、これ自体が腰をすえたたたかいを必要とする壮大な課題であります。

 この当面の課題に真剣にとりくむと同時に、未来に属する大きな展望、利潤第一主義を乗り越え、本当に人間が主人公だといえる理想社会の建設をめざす志を失わないところに、歴史の進歩の立場に立つ政党の本領があり、この党のたたかいのロマンがあります。

 私たちが日本共産党という党名に誇りを持つのも、それが戦前戦後の歴史を刻んだ名前であると同時に、理想社会を追求するこの運動の初心を代表する名前だというところに、その根拠があります。(拍手

 みなさん、「人間は自分の歴史を自分でつくる」、こういう言葉があります。二十一世紀の日本の新しい歴史は日本国民が自分でつくるものであります(拍手)。今日の情勢にふさわしい決意と勇気、そして理想を追求するロマンを持ってこの運動に加わり、新しい国づくりの事業が二十一世紀の早い時期にその勝利をかちとれるよう、お互いの知恵と力をつくそうではありませんか。(拍手

 これで講演を終わります。どうも長い間ご清聴ありがとうございました。

大きな拍手