戦後の疑惑、疑獄政治史


年表  

■闇物資払い下げ事件
■辻嘉六事件
■炭鉱国管疑獄
■昭電疑獄
■商工省繊維汚職
■東洋製粉汚職
■五井産業事件
■日発スキャンダル
二重煙突事件
■電通汚職
■砂糖汚職
■霊友会事件
■保全経済会事件
■日殖事件
■陸運疑獄
■日興連汚職
■造船疑獄
■東独カリ輸入問題
■電源開発疑惑
■売春汚職
■第1次FX選定事件
■虎ノ門国有地払い下げ疑惑
■吹原産業事件
■信濃川河川敷事件
■束京大証事件
■日通事件
■第2次FX選定疑惑
■総裁選7憶円疑惑
■田中金脈事件
■ロッキ‐ド疑惑
■ダグラス・グラマン事件
■ダグラス・グラマン事件
浜田幸一(自民党衆院)ラスベガスとばく発覚
■KDD事件
■撚糸工連事件
■平和相互銀行事件
■砂利船汚職事件
■リクルート事件
■東京佐川急便車件
■共和疑惑
埼玉土曜会(ゼネコン汚職)事件
■オレンジ共済組合事件
KSD汚職
インターネット
関連著作本




(私論.私見)

◆◆事件・不祥事による主な議員の辞職や失職◆◆(事件のあらまし−疑われた人物団体を含む=『週刊金曜日1997年10月31日号』参照)
1945(昭和20)年 東久邇宮(ひがしくにのみや)内閣
■闇物資払い下げ事件
 
終戦の前日8.14日鈴木貫太郎内閣は、降伏決定の手続き終了後、戦後対策委員会を内閣に設置し、「軍需用保管物資の緊急処分」を指示した後、翌8.15日総辞職した。つまり、つかの間の敗戦処理内閣となった。この結果、軍需物資が民間に大量に出回り、政商が暗躍した。当時の価格で約1000億円相当の軍需品(米.麦.雑穀.缶詰.砂糖.ガソリン.綿布.ゴム.鉄.銅電線など)が放出された。この決定は、どうせ占領軍に接収されるなら民間に払い下げようとしたものであったが、実際にはブローカーが暗躍し、一種無秩序状態のまま軍需工場の倉庫から分散させていくことになった。この間陸軍一部将校らによる終戦阻止の反乱があったが鎮圧された。



1947(昭和22)年 片山内閣
■辻嘉六事件
 
政界の黒幕が旧軍の隠退蔵物資ヤミ処分金を自由党政治家に分配した容疑。
■炭鉱国管疑獄
 
炭鉱国家管理法案審議権をめぐる炭鉱業者の政治家買収容疑。田中角栄逮捕(→後無罪)。


1948(昭和23)年 芦田内閣
■昭電疑獄
 
政官界の昭電復金不正融資汚職。芦田内閣崩壊。福田越夫逮捕


1949(昭和24)年 吉田内閣
■商工省繊維汚職
 
繊維資本家と商工省・政界の贈収賄容疑、吉田首相の名も出る。
■東洋製粉汚職
 
東洋製粉会社への復金融資に関わる汚職。


1950(昭和25)年 吉田内閣
■五井産業事件
 
警視庁出入業者・五井産業と警視庁幹部、吉田内閣首脳の疑惑。
■日発スキャンダル
 
最大の独占企業日本発送電会社分割に関わる政財界の汚職容疑。
二重煙突事件
 
特別調達庁が占領軍用に発注の二重煙突につき法務総裁に疑惑


1952(昭和27)年 吉田内閣
■電通汚職
 
電通官僚の天下り立候補資金集めおよび横領容疑。


1953(昭和28)年 吉田内閣
■砂糖汚職――官僚グループ火曜会が介在した裏件。農林省課長自殺で迷宮入り。
■霊友会事件――新興宗教霊友会の脱税事件で法相モミ消し奔走の疑い。


1954(昭和29)年 吉田内閣
■保全経済会事件――「投資銀行法案」〃買収〃をねらった「保全経済会」の政治献金問題。
■日殖事件――保全経済会同様、倒産した庶民金融と顧問の保守党政治家の癒着関係。
■陸運疑獄――交通公社・弘済会・高速度営団と運輸関係議員をめぐる黒い霧。
■日興連汚職――全国映画館経営者団休(日興連)の入場料引き上げに反対陳情に関わる汚職。
■造船疑獄――見返り資金・開銀融資の計画造船と利子補給法〃買収〃をめぐる大疑獄。


1955(昭和30)年 鳩山内閣

■東独カリ輸入問題――束独カリ輸入をめぐる政界人の暗躍。

■電源開発疑惑――自民党が選挙資金捻出のため電源開発の工事費を水増しした容疑。


1957(昭和32)年 石橋・岸内閣
■売春汚職――「売春防止法案」反対にからむ汚職。


1958(昭和33)年 岸内閣
■第1次FX選定事件――自衛隊の次期主力戦闘機選定をめぐる自民党幹部による汚職。


1964(昭和39)年 池田内閣
■虎ノ門国有地払い下げ疑惑――国有地転売による土地転がし不正事件。田中角栄、小佐野賢治。


1965(昭和40)年 佐藤内閣
■吹原産業事件――吹原産業社長による30憶円詐欺事件の裏に、政治献金の疑惑。


1966(昭和41)年−佐藤内閣 佐藤内閣
■信濃川河川敷事件――田中角栄ファミリー企業による河川敷買い占め疑惑。
■束京大証事件――政界人を利用し、インチキ手形で三億円詐欺容疑。


1968(昭和43)年 佐藤内閣
■日通事件――政府の食糧輸送の利権をめぐる日本通運による政治献金疑惑。
■第2次FX選定疑惑――次期主力戦闘機の選定をめぐる疑惑。事件にならず。


1972(昭和47)年 田中内閣
■総裁選7憶円疑惑――田中角栄首相選出をめぐつて中曽根派が7億円で買収されたのではないかという疑惑。
■田中金脈事件――田中首相の資産形成の過程で政治資金の悪用、脱税等による疑惑。田中内閣総辞職の引き金になる。


1975(昭和50)年 三木内閣
■ロッキ‐ド疑惑――ロッキード社のトライスタ−(旅客機)、P3C(対潜哨戒機)の売り込み工作で、田中元首相、佐藤孝行、橋本富美三郎ら政府高官が贈収賄(受託収賄)容疑で逮捕。


1979(昭和54)年 大平内閣
■ダグラス・グラマン事件――ダグラス・グラマン両社による航空機売り込み疑惑。松野頼三(自民党衆院)逮捕。
■税政連献全事件――税理士法一部改正案のため与野党議員に日税連が献金。
宇野亨衆議院議員が公選法違反で在宅起訴。


1980(昭和55)年 鈴木内閣
浜田幸一(自民党衆院)ラスベガスとばく発覚
■KDD事件――国際電信電話公社(KDD)の乱脈経理事件。


1986(昭和61)年 中曽根内閣
■撚糸工連事件――繊維業界の構造改善をめぐり、政界との癒着が間題化。横手文雄衆議院議員が受託収賄、稲村左近四郎衆議院議員が収賄で在宅起訴。有罪確定


1987(昭和62)年 中曽根内閣
■平和相互銀行事件――旧平和相銀の数千億円に及ぷといわれる乱脈経理と、住友銀行との合併をめぐる疑惑。金屏風で竹下登元首相の名前も。


1988(昭和63)年 竹下内閣
■砂利船汚職事件――関西空港の埋立て終了後、砂利船の営業船格上をめぐって業者から金銭を授受した疑惑(砂利船汚職)。公明党参議院議員・田代富士男が受託収賄で逮捕。有罪確定。
■リクルート事件――リクルート・コスモスの未公開株の譲渡をめぐっての疑惑。(上田卓三・衆社会、リクルート事件)


1989(昭和64)年
リクルート事件。池田克也 衆公明、藤波孝生衆議院議員が受託収賄で在宅起訴。 有罪確定。


1990(昭和65)年
国際航業事件、脱税事件。稲村利幸(自民)衆議院議員が所得税法違反(脱税)  で在宅起訴。有罪確定



1991(平成3)年 海部内閣
■東京佐川急便車件――数憶円の金が与野党100名以上の議員に不正献全された疑惑。
■共和疑惑――鉄骨メーカー「共和」のヤミ献金疑惑。
稲村利幸  衆自民  巨額脱税


1992(平成4)年
東京佐川急便事件―金丸信   衆自民  
共和汚職―阿部文男(自民)衆議院議員が受託収賄で逮捕。 有罪確定。


1993(平成5)年 宮沢内閣
■全丸脱税車件――数億円に上る資産隠し。所得税法違反(脱税)で在宅起訴。公判中に死去。
■学歴詐称―新間正次衆議院議員が公選法違反で在宅起訴。


1994(昭和6)年 細川内閣
■脱税事件―大谷忠雄衆議院議員が所得税法違反で在宅起訴。
埼玉土曜会(ゼネコン汚職)事件――中村喜四郎(自民)元建設相があっせん収賄で逮捕(中村被告有罪判決)。
■脱税事件―近藤豊衆議院議員が所得税法違反等で在宅起訴。


1995(昭和7)年
中西啓介  衆新進  長男の大麻事件     
近藤豊   衆日本新 税不正還付
大谷忠雄  衆新生  税不正還付
二信用組合事件―山口敏夫衆議院議員が背任等で逮捕。


1996(平成8)年 橋本内閣
■泉井献金疑惑――ベトナム油田開発権益獲得のため自民党山崎拓建設相(当時)にヤミ献金をした疑い。


1997(平成9)年 橋本内閣
■オレンジ共済組合事件――友部違夫参院議員が新進党の比例順位を金で買ったという疑惑、詐欺で逮捕。
菊池福治郎 衆自民  長男の公選法違反(買収)


1998(平成10)年
野田実   衆自民  事務所職員の公選法違反(買収)の拡大連座制で失職
■防衛庁汚職―中島洋次郎(自民)衆議院議員が受託収賄等で逮捕。上告中に自殺。   


1999(平成11)年
中島洋次郎 衆自民  飛行艇汚職、公選法違反事件。

【証券取引法違反事件・1999年】 新井将敬(自民) 証券取引法違反 逮捕直前に自殺

2000(平成12)年
建設汚職―中尾英一衆自民  受託収賄で議員辞職。
秘書給与詐取事件―山本譲司衆が詐欺等で逮捕。

【公職選挙法違反事件・2000年】 小野寺五典(自民) 公職選挙法違反(寄付行為の禁止) 有罪確定

【公職選挙法違反事件・2000年】 飯島忠義(自民) 公職選挙法違反(事後買収) 有罪確定


2001(平成13)年
KSD汚職―小山孝雄(自民) 参議院が受託収賄で逮捕、村上正邦参議院が受託収賄で議員辞職。

【やまりん事件&島田建設事件・2002年】
鈴木宗男(自民) あっせん収賄、受託収賄 1審中

【政治資金規正法違反事件&詐欺事件・2003年】
坂井隆憲(自民) 政治資金規正法違反、詐欺 1審中

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リクルート事件の概要

リクルート事件とは、

1988年(昭和63)6月の『朝日新聞』横浜支局のスクープ記事から発覚した戦後最大級の構造汚職疑惑で、問題の多い日本の株式市場のゆがみを利用して政・財・官界など特権階級の人々の金儲け主義(錬金術)が白日の下にさらされた。

事件の発端は、川崎市テクノピア地区へのリクルート社進出にからみ、同市助役へのリクルート社の子会社であるファーストファイナンス社の未公開株融資付き売買疑惑であったが、まもなく、リクルート・コスモス株の疑惑譲渡先として元閣僚を含む76人が発覚、さらには、コスモス社の松原社長室長から、この事件追及をすすめていた社会党(当時)楢崎弥之助議員に500万円の贈賄工作があったとの代議士自らの告発という事態に発展。この模様はテレビで放映され、世論は沸騰した。

88(昭和63)年10月東京地検特捜部は、リクルート社などを強制捜査、松原室長を贈賄容疑で逮捕。翌89(平成元)年2月にはリクルート社江副浩正前会長ら2名を贈賄容疑で、日本最大の企業NTT式場、長谷川の両元取締役を収賄容疑でそれぞれ逮捕、3月にはNTT会長真藤恒(ひさし)、元労働次官加藤孝、元労働省課長鹿野、前文部次官高石邦男らを各収賄容疑で逮捕、5月には第2次中曽根内閣の官房長宮であった藤波孝生(たかお)代議士と池田克也公明党代議士らを受託取賄容疑で在宅のまま取り調ベを行った。

疑惑が持たれた高級官僚や閣僚たちは、「妻が株をもらった。私は知らない。」とか「家族がもらった、秘書がもらった。」と釈明、当時「妻が、妻が…。秘書が、秘書が…」という言葉が小学生の間にまで流行した。

こうして事件は元閣僚、元代議士、事務次官2名、NTT元会長らをリクルートコスモス社未公開株収受による収賄容疑で起訴及び宮沢大蔵大臣辞任、竹下内閣崩壊というスケールに拡大。

特に、疑惑のコスモス株を秘書または家族名義を含めて9人の閣僚級政治家が密室の財テク的収受をしていた政府自民党幹部、中でも中曾根前内閣中枢に強い疑惑が集中した。当然、国会の証人喚問などでも追及されたが、多くの「灰色高官」たちの立件は行われないまま、事件は幕引きとなり、結局、戦後の他の大疑獄同様、核心の解明なしで終結、国民の間には、「政治不信」だけが残こることとなった。

 

リクルート事件経過表(肩書は当時)

83・12

藤波孝生被告が第2次中曽根内閣の官房長官に就任

84・ 1

日経連専務理事(当時)が就職協定無用論を打ち出す

    3

各省庁の人事担当者会議で就職協定順守を申し合わせ

86・ 9

リクルート側が藤波被告にリクルートコスモス株を譲渡

   10

コスモス株店頭公開

88・ 6

小松秀煕・川崎市助役への株譲渡が発覚

中曽根康弘前首相、竹下登首相、宮沢喜一蔵相ら側に株が譲渡されていたことが発覚

社会党楢崎弥之助代議士が、松原弘・リクルートコスモス社長室長からの贈賄申し込みを公表

   10

藤波被告へのコスモス株譲渡が発覚

   10

真藤恒・NTT会長、高石邦男・前文部事務次官ら側への 株譲渡が発覚

   12

宮沢蔵相が辞任

89・ 2

東京地検特捜部、リ社前会長江副浩正被告をNTT法違反(贈賄)容疑で逮捕

    2

鹿野茂・元労働省課長を逮捕

    3

真藤前会長逮捕

    3

加藤元次官、辰已雅朗・リクルート元社長室長を逮捕

    3

高石前次官逮捕

    4

竹下登氏が首相退陣表明

    4

竹下首相の元秘書、青木伊平氏が自殺

    5

特捜部、藤波被告と池田克也元衆院議員を受託収賄罪で在宅起訴

    5

東京地検、宮沢前蔵相の秘書ら4人を政治資金規正法違反で略式起訴

   12

東京地裁で政界ルート初公判。藤波、江副両被告が無罪を主張

94・ 9

藤波被告に無罪判決、検察側が控訴

   12

東京地裁で池田元議員に有罪判決⇒確定

96・ 6

東京高裁で藤波被告の控訴審初公判

97・ 3

藤波被告の控訴審で逆転有罪判決、被告側上告

99・10

最高裁が藤波被告側の上告を棄却⇒有罪確定

02・ 3

東京地裁での公判で、検察側は、「企業利益追求のため、わいろ提供を通して国政や公共的事業を私物化しようとし、国民の信頼を著しく失墜させた」と指摘し、「被告は贈賄の首謀者で事件の元凶。刑事責任は極めて重い」として元リ社会長江副浩正被告(65)に懲役4年を求刑した(3月29日

 

リクルート関係の裁判状況

▼政界ルート

藤波孝生・元官房長官;1審・無罪⇒2審・懲役3年、執行猶予4年=上告棄却・有罪確定

池田克哉・元衆院議員;1審・懲役3年、執行猶予4年=確定

▼文部省ルート

高石邦男・元文部事務次官;1審・懲役2年、執行猶予3年⇒2審・懲役2年6月、執行猶予4年=上告中

▼労働省ルート

加藤孝・元労働事務次官;1審・懲役2年、執行猶予3年=確定

鹿野茂・元労働省課長 ;1審・懲役1年、執行猶予3年=確定

▼NTTルート

真藤恒・元NTT会長;1審・懲役2年、執行猶予3年=確定

長谷川寿彦・元取締役;1審・懲役2年、執行猶予3年=確定

式場英・元取締役(故人);1審・懲役1年6月、執行猶予3年=確定

小林宏・元ファーストファイナンス社長;1審・懲役1年、執行猶予2年(贈賄)=確定

▼リクルート社

江副浩正・元リクルート社会長⇒1審公判中(懲役4年を求刑−02年3月29日)

辰巳雅朗・元社長室長;1審・無罪⇒2審・懲役1年、執行猶予3年=上告中

小野敏広・元秘書室長; 1審・懲役2年、執行猶予3年=確定

      「リクルート事件にかかわる検察捜査の総費用は合計1億5000万円(人件費を除く)」(法務省根来刑事局長の参院法務委員会での発言)

      なお、リクルート事件と規模や内容面でしばしば比較される1976(昭和51)年に発覚したロッキード事件の場合は1億7000万円。

      費用面では、リクルート事件の方がロッキード事件を下回ったが、両事件発覚時の物価水準を考慮すると、2000万円の差は逆転し、さらに開くことになる。

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リクルート事件最終報告

藤波被告控訴審判決要旨

企業・団体献金

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目次

法学―目次

時事問題のページ

3月05日 2:37

リクルート裁判:
事件から14年 政界の金権体質変わらず


 江副浩正被告に4日有罪判決が出たリクルート事件は、政財界にまたがる構造的な金権体質をあぶり出し、当時の竹下登政権を退陣に追い込むなど、その後の政治改革論議のきっかけになった。しかし、その後も東京佐川急便事件、ゼネコン汚職、KSD事件など「政治とカネ」の問題は絶え間なく続き、江副被告一審判決と同じ4日には自民党の坂井隆憲衆院議員の政策秘書が政治献金を不正処理していた疑いで逮捕された。リクルート事件から14年。政界の自浄能力の欠如は、今なお変わっていない。

 「リクルート事件から今日までいろんなカネにまつわる問題が続いている。しっかりそのことを受け止め、反省しながらやっていきたい」

 自民党の青木幹雄参院幹事長は4日の記者会見で、江副被告有罪判決の感想を語った。青木氏が秘書を務めた故竹下元首相は、故青木伊平元秘書らがリ社の未公開株(1万2千株)を受け取っていたことが引き金となって89年4月に退陣表明に追い込まれた。自民党は同年7月参院選で大敗。さらに92年に発覚した東京佐川急便事件をきっかけに竹下派(当時)が分裂し、93年には一時野党へと転落した。リ事件によって政界再編、連立政治の幕は開いた。

 94年には衆院の小選挙区制が導入され、95年1月から政党助成金制度がスタート。99年12月の政治資金法改正では、政治家個人への企業・団体献金が廃止された。

 しかし、カネのかからない政治の実現にはほど遠かった。中村喜四郎元建設相(94年・ゼネコン汚職事件)、中尾栄一元建設相(00年・旧建設省発注工事事件)、村上正邦元労相(01年・KSD事件)、鈴木宗男元官房副長官(02年・北方四島支援事業事件)と、自民党の実力議員が次々と逮捕された。今年も大島理森農相元秘書の口利き疑惑や、自民党長崎県連の違法献金事件が政権党を揺さぶっている。

 坂井議員の秘書逮捕が江副被告判決と重なったのは象徴的だ。未公開株を媒介にした「濡れ手で粟」に代わって、カネ作りの方法もさまざまになり、構造的体質にはほとんど変化がない。福田康夫官房長官は4日の記者会見で、坂井議員の秘書の事件について「また秘書にまつわることで、極めて遺憾に思う。政治全体の中でどうすべきかを考えていかなければならない」と語った。

 小泉純一郎首相は昨年来、公共事業受注企業からの献金制限を訴えているが、与党側は「企業献金は悪ではない」と及び腰だ。リクルート事件の風化とともに、金権体質を改善しようという意欲も失われている。

   【小林雄志】

[毎日新聞3月5日] ( 2003-03-05-02:35 )


政治資金規正法違反容疑で坂井衆院議員を逮捕 東京地検

 資金管理団体の不正経理事件で、東京地検特捜部は7日午後、衆院議員の坂井隆憲容疑者(55)=佐賀1区=を政治資金規正法違反(虚偽記入)容疑で逮捕した。同日午後1時からの衆院本会議で逮捕許諾が全会一致で議決されたことを受け、東京地裁が逮捕状を発付した。政策秘書らの逮捕で始まった事件は、そのわずか3日後に議員本人が逮捕されるスピード捜査となった。

 国会議員の逮捕は、02年6月にあっせん収賄容疑での衆院の逮捕許諾を受けた鈴木宗男・衆院議員(55)以来。調べによると、坂井議員は、資金管理団体「隆盛会」の事実上の会計責任者だった塩野谷晶(あき)(38)と元公設第2秘書の中山求(51)の両容疑者に指示し、01年までの5年間に、人材派遣会社「日本マンパワー」などから受けた約1億2000万円の献金を政治資金収支報告書に記載しなかった疑い。

 このほかにも裏献金があり、総額は2億円近くになる見通し。00年以降の献金については、資金管理団体が禁止されている企業・団体献金を受けた点も、同法違反の容疑が持たれている。